もっともコスパの高いEVはヒョンデ・インスター
それでは、CEV補助金を車両価格から差し引いた実質の購入金額と、EVにおいて重要な指標となる航続距離との相関関係を示したグラフから、どのEVがどれほどのコスト競争力を実現しているのかを比較していきたいと思います。縦軸が値段、横軸が航続距離を示しており、つまり右下に行けば行くほどコスト競争力が高いことを示します。
まず、コンパクトセグメントについて、インスターはまだ補助金額が発表されていないものの、概ねフィアット500eと同じく57.4万円の補助金額が適用可能となる見通しであり、その補助金額を適用しています。このとおりインスターは電費性能に優れているため、航続距離400km程度で実質250万円程度と、競合の追随を許さないコスト競争力の高さを実現し、BYDドルフィンのコスト競争力すらも上まわっています。
次に、このグラフはSUVセグメントの主要車種を比較したものです。このセグメントでもヒョンデのIONIQ5が競合の追随を許さない、圧倒的なコスト競争力を実現している様子が見て取れます。また、テスラ・モデルYも、モデルチェンジによる電費改善のおかげも相まって、日本国内で発売されている電動SUVとしてはコスト競争力の高い部類に該当します。
その一方で、日産アリアは競争力の低さが露呈しており、同等のコスト競争力でドイツ御三家のアウディQ4 e-tronが存在するような状況です。
最後にセダンセグメントについて、テスラ・モデル3とBYDシールが同等のコスト競争力を実現しています。とくに補助金額でテスラが優遇されている点を考慮に入れると、シールの車両価格がかなり安価に設定されているといえるでしょう。
そして全車種の実質の値段と航続距離との相関関係を比較すると、2025年度においてもっともコスパの高いEVはヒョンデ・インスターであることがわかります。航続距離1kmあたり6000円を切っており、史上最安といってもいいレベルでしょう。
また、テスラ・モデル3も航続距離あたりのコスト競争力に優れており、とくに2025年度からはRWDグレードも補助金が87万円に増額されたことによって、迷うことなくRWDグレードを購入するのがいいと思います。
いずれにしても、中韓勢やテスラのコスト競争力が非常に優れている一方、とくにEV販売トップの日産は、ここ数年におけるリーフとアリアの値上げによって、優遇されている補助金を加味しても、残念ながらコスト競争力ですでに勝負になっておらず、実際に販売台数が低迷しています。果たして新型リーフがどれほどのコスト競争力を実現してくるのかに注目でしょう。
また、2025年末にかけて投入されていく、ホンダN-ONEのEVバージョン、トヨタ連合の商用軽EV、スズキe VITARA、モデルYのコンパクトモデルとなるレッドウッド、なんといっても新型日産リーフの最新動向についても注目です。