コラム
share:

「EVはラジエターがないからグリルレス」→「つまり冷却が必要ない」は間違い! 電気自動車はアチコチが冷却との闘いだった


TEXT:山本晋也 PHOTO:山本晋也/アイシン/TET 編集部
TAG:

水冷・空冷・油冷を適材適所で活用

パッシブ制御といって特別な冷却系統を用意せずに、走行風などにより成り行きで冷やす設計もある。いずれにしても、コストと性能のバランスを考えて冷却系は設計されているものだ。

しかしながら、急速充電での性能やバッテリー劣化を防ぐには、水冷式システムによってしっかりと温度管理をするというのが、昨今のEVにおけるトレンドだ。

充電のイメージ

さて、バッテリーから出ていった直流の電気は、インバーターを介して交流に変換されモーターに伝達される。そうした役目をインバーター内で果たしているのがパワー半導体であり、こちらも動作に伴い熱を発してしまう。そのまま放っておいてはオーバーヒートして正常に作動しなくなるので、やはり冷却することが求められる。もちろん、最終的に駆動力を生み出しているモーターも発熱してしまう。

モーターやインバーターの冷却において、主流となっているのが水冷式と油冷式だ。そして、バッテリーと違って温める必要はなく、冷やすことがメインとなるため、バッテリーとは異なる冷却系統となっていることがほとんどだ。

イーアクスルのイメージ

最近ではインバーターとモーターを一体化した「e-Axle」の採用が広まっているが、その場合においてはインバーターとモーターを同系統で冷却するといった設計として無駄を排することが求められる。その結果として油冷式を採用するケースが増えているようだ。

なお、小型EVなどでは、どちらも空冷式とすることで冷却系のコストや重量増を抑えているケースもある。どの冷却方式が優れているという話ではなく、必要な冷却性能と車両コンセプト(コスト、耐久性、メンテナンス性)のウェルバランスを実現することが重要と捉えるべきだろう。

とはいえ、総電力量の大きなリチウムイオンバッテリーになれば、温度管理によって加速性能といったパフォーマンスや急速充電の受け入れ性能が左右されるのも事実。バッテリーの冷却性能については愛車選びの段階でチェックすべきポイントといえそうだ。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
日本は3年連続「日産サクラ」がトップ! じゃあ中国・欧州・アメリカで一番売れてるEVってなにか調べてみた
電気自動車って「お金的に」得? エンジン車と諸々の費用を比べてみた
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
more
ニュース
新型エルグランドがいよいよe-POWERで登場!? 「EVの雄」日産のジャパンモビリティショー2025は電動モデルが盛り盛り
トヨタの新型モビリティでお台場周辺が一気に便利になる! 「eパレット」と「C+walk」が街全体の活性化にも貢献
ホンダがカーボンニュートラル実現に向け二輪の電動化を加速中! 欧州でネイキッドモデル「WN7」を発表
more
コラム
そりゃ中国がEVで世界をリードできるわけだ! 日本との違うはひとえに「国策」にアリ!!
モニターもなきゃ急速充電もない……がなんの問題もない! N-ONE e:のエントリーグレードは「EVの本質」を追求したクルマだった
再生中の日産が早くもヒット作を生み出した! あえて日産らしさを封印した「N7」のデザインに天晴れ!!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
黒船はBYDの軽EVだけじゃかなった! Kiaが商用バン「PV5」で日本のEV市場に殴り込み【ジャパンモビリティショー2025】
ホットハッチ大好き英国人も唸らせたホンダ「スーパーワン」! 2026年の発売を前にプロトタイプを日本初公開【ジャパンモビリティショー2025】
2026年春発表予定のSUBARU「トレイルシーカー」 BEVであってもお客様第一主義と安全性へのこだわりは健在!【ジャパンモビリティショー2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択