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eビターラの生産拠点はインド
このeビターラは、これまでコンセプトモデル「eVX」として世界各地で披露され、それぞれの市場でユーザーやメディアからの声をスズキは収集してきた。
初お披露目は2023年1月、インド・デリーでの「オートエキスポ2023」。さらに、同年の10月のジャパンモビリティショーでも公開され、直近で筆者が実車を見たのは2024年4月のタイ・バンコクモーターショーであった。そして、ミラノでのeビターラ公開となったわけだ。
こうした過去2年の流れを振り返ってみると、スズキとしてのEV世界戦略の大枠が見えてくる。
eビターラの生産拠点である、インドのスズキ・モーター・グラジャード社は、スズキにとって次世代事業の中核だ。インドにおいてのEV市場拡大、トヨタとのEV事業に関する連携、そして欧州や東南アジア向けの輸出拠点という位置付けだ。
また、日本市場に対しては、インドから全数輸出する「フロンクス」がすでにヒット作となっている。この流れを上手く使って、eビターラを日本に根付かせることも十分に可能ではないか、という印象を日本のユーザーや販売店がもち始めているように感じる。
ただし、鈴木俊宏社長はEV普及に対して「個社の努力だけではなく、社会全体との関係が重要」と常々語っている。
充電インフラ、補助金、そして国や地域として未来の社会をどのように育てていくのかというビジョンが、EV普及の最低条件であるということだ。
大衆車の代表格であるスズキが本気を出した世界戦略バッテリーEV、eビターラ。今後の成長を暖かく見守っていきたい。
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