コラム
share:

イーロン・マスクの目は「EV販売台数」から「自動運転普及」へ! BYDとの販売台数争いは眼中なしか


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
TAG:

イーロン・マスクは自動運転に注力か

テスラの2025年シーズンにおける注目動向について、やはり新型車の投入動向には目が離せません。まず注目は、モデルYのモデルチェンジバージョンである通称ジュニパーです。EV性能や装備内容をさらに充実させてどれほど完成度を高めてくるのかが期待されています。さらに、2025年前半に投入することを正式発表している、より安価なモデルである通称レッドウッドの存在です。テスラは2025年シーズンの販売台数目標について、2024年比で20〜30%の成長を目標に掲げてきており、この廉価モデルとなるであろう新型モデルが、2025年の成長のメインドライバーとなるはずです。

テスラの新型車のイメージ

さらに、テスラにおいて重要な動向が、既存車両に対する「FSD Unsupervised」の投入です。すでにテスラが公式に表明している通り、ロボタクシーの投入は2026年中とアナウンスしながら、ロボタクシーと同等の自動運転性能となる、いわゆるレベル4のFSD Unsupervisedは2025年末までに一般ユーザー向けにリリースをスタートする方針です。

このFSD Unsupervisedのリリースにおける最大の課題は、テスラの技術的な問題ではなく関連当局の認証プロセスにあると考えています。そして、このことにいち早く気づいたイーロン・マスクが取ったのが、次期政権に近づくために、トランプ政権を強力にバックアップするという手法です。

テスラ車の室内のイメージ

トランプは一見すると反EV政策を主導していくことから、なぜイーロン・マスクが強烈に支援したのか不明に感じる人もいるはずでしょう。ところがイーロン・マスクが見据えていたのはEVシフトではなく、自動運転の方だったのではないかということなのです。テスラがなぜ2.5万ドルの小型EVの投入を諦めたのか。それはBYDを筆頭とする中国勢とのコスト勝負ではなく、自動運転によるゲームチェンジにフォーカスしたかったからではないかということです。

その際の最大のボトルネックは、テスラの自動運転システムの能力の方ではなく、結局それを認可する決定権を有する政府や関係当局の裁量の方です。とくにイーロン・マスク率いるテスラと距離のある民主党では、仮に2026年にロボタクシーを完成させたとしてもロボタクシー事業を認可してくれるはずがなかったでしょう。

トランプとイーロンマスク

いずれにしても、2025年のテスラにとって最大のハードルだった当局の認可というハードルは一気に下がったことから、むしろロボタクシー事業という観点で、2025年はテスラにとって最大のチャンスの年になると見ています。

さらに、EV販売で直接対決をしている中国BYDと販売台数を比較しましょう。このグラフは四半期別の販売台数を比較したものです。BYDはQ4で150万台を突破した一方、テスラは50万台弱であり3倍の差がついています。

グラフ

さらに、BEVに絞った販売動向を確認しても、BYDはテスラを上まわりトップのBEV販売台数を達成しています。

グラフ

確かに年間BEV販売台数ではテスラがわずかにリードしているものの、その差はわずか。もしかしたら2025年シーズンはテスラを年間ベースでも上まわることになるかもしれません。

グラフ

果たして、テスラが新型モデル投入によって販売台数を大きく伸ばし、年間BEV販売王者の座を死守するのか、それともBYDが史上初めて年間BEV王者の座を射止めるのか。デッドヒートとなるであろう2025年シーズンのBEV販売対決の行方には目が離せません。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
ゲームにインスピレーションを得た姿に若い世代はぞっこん!? 「ゲーミングEVでも作ったろ」の精神で開発されたヒョンデ「インステロイド」
ヒョンデのFCEVが2代目に大進化! 初代とは似ても似つかないタフなスタイリングで新型ネッソが飛躍を狙う
このご時世にあえて値下げに踏み切り300万円以下で狙えるEV登場! BYDがより身近に感じられる価格改定に踏み切った
more
コラム
コスパで比較するとEVはヒョンデが圧倒! スズキやホンダの新EV登場でますます激化する日本の電気自動車市場
毎回無料充電器を使えばEVはかなりお得……だけどそれってアリ? EVの充電マナーを考える!
中国にはBYD以外にも多数のEVメーカーが存在! BYDの成功で日本に押し寄せることはある?
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択