大衆セグメントで圧倒的な強さを見せるBYD
さらに、このグラフはBEVに絞った販売ランキングトップ30を示したものです。このBEVランキングで注目するべきは、注目の新型車が次々とランクインしているという点です。とくに第27位にランクインしたXpengのフラグシップセダンP7+、第19位のファーウェイLuxeed R7、第18位のZeekr 7X、第16位のXpeng Mona M03、第11位のGalaxy E5、そして第7位のシャオミSU7というように、すべて2024年から発売をスタート、とくにSU7以外は2024年後半から発売をスタートしている最新BEVです。
そして、その車種別の販売動向をさらに詳細に分析するために、今回は大衆セダンとプレミアムBEVセダンとSUV、および高級車という注目セグメントをそれぞれ分析します。
まず初めに、大衆セダンセグメントの販売動向について、やはりBYD Qin PlusとQin L/Seal 06がそれぞれ5.6万台、6.3万台を1カ月に売り上げて圧倒しています。フォルクスワーゲンLavida/Sagitar、トヨタ・カローラ/レヴィン、ホンダ・シビック/インテグラ、そして日産シルフィという大衆車が揃って前年比マイナス成長であり、補助金政策があるにもかかわらず、BYDに対抗できなくなっている様子が見て取れます。
また、BYDと日本メーカー勢という大衆セグメントの販売が中心の大衆ブランドの月間販売台数の変遷を見てみると、BYDが前年同月比で59.3%もの成長を実現するなか、トヨタのみ10.3%のプラス成長を実現したものの、日産は15.8%ものマイナス成長、ホンダは27.9%という大幅なマイナス成長を記録。
これでガソリン車に対する補助金がなくなる2025年シーズン、レガシーメーカーがどれほど販売台数を維持できるかが懸念されます。
次に、プレミアムBEVセダンセグメントに関して、11月はモデル3の販売台数が急増してシャオミSU7超えを達成しました。シャオミSU7は11月単体で2.3万台強を発売しており、すでに月間生産能力の上限に到達しているものの、現状週間ベースで6000台の確定注文を獲得。つまり、このペースというのは現状の生産能力の上限の需要が続いているということを示します。
また、モデル3とSU7に対抗するのが、Xpengが11月に発売開始したP7+の存在です。11月の数週間で6950台を発売することに成功しています。
また、2025年に注目するべきはプレミアム電動SUVセグメントです。これまでモデルYが不動の王者であったものの、2024年以降、競合が続々参入中です。なかでもLi AutoのL6とL7、さらにファーウェイAITO M7というEREVの存在感が高まるなか、Zeekr 7Xが1.1万台強と大躍進中。そして、ファーウェイLuxeed R7も1.1万台と人気です。そして、NIOの大衆ブランドOnvoのL60が5082台を達成しながら、12月中に月間1万台、25年3月までに2万台を目指しており、モデルYの最大のライバルとなる見込みです。
そして、なんといっても注目なのが、ついにシャオミが公式に2車種目として2024年7月までの正式発売スタートを表明したSU7のSUVバージョンとなるYU7です。全長4999mm、全幅1996mm、全高1600mm、ホイールベースが3000mmの中大型SUVセグメントに該当しながら、前後にモーターを搭載することで最高出力も508kWとハイパフォーマンス仕様です。
これらの競争力の高い電動SUVがモデルYにどこまで対抗できるのか。販売台数の推移に注目です。
最後に注目したいのが高級車の販売動向です。トップに君臨しているのがファーウェイのAITO M9の存在であり、ドイツ御三家のアウディA6LやBMW 5シリーズなどの人気モデルを上まわっています。しかも、アウディはA6Lにおいては、最大14万元以上(約300万円)もの大幅値下げを断行中であり、現在A6Lは30.81万元(約620万円)からのスタートと、もはや高級車ではなくなってしまっています。
いずれにしても、最直近2024年11月最新の中国市場のEV販売動向を詳細に分析していくと、
・大衆セグメントはBYDが圧倒的な支配力を発揮しており、対する日本メーカーの販売台数がさらに低下中
・中国市場が稼ぎどころでもあるドイツ御三家も、ファーウェイ、Li Auto、NIO、BYDの台頭によって大幅値下げを強いられている状況
・テスラ・モデル3とシャオミSU7、Xpeng P7+というBEVセダンの三つ巴の激しい戦い
・Zeekr 7X、Luxeed R7、Onvo L60、そしてシャオミYU7というモデルY包囲網の形成
といったことがわかります。
これらの動向を2025年も継続的に注目していきたいと思います。