2024年12月
TEXT:TET 編集部
「クルマづくり」と「システム最適化」を分業して自動運転バスの普及を目指す! アイサンテクノロジーが「Minibus 2.0」の販売を開始

自動運転のパイオニアと測量システムの雄がタッグを組む 現在、全国各地で社会実験が進められている自動運転バス。これに新たなモデルが登場する。 そのモデルは、自動運転の一般化に向けたオープンソースソフトウェアを開発しているティアフォーが開発を行った。一方で販売は、測量に関わるシステムの技術開発を祖業とし、現在は高精度な地理空間情報プラットフォームを用いて、モビリティ分野にも進出を図っているアイサンテクノロジーが担う。なお、両社はともに愛知県名古屋市に本社を構える企業だ。 「Minibus 2.0」と呼ばれる新型の自動運転EVバスは、日本政府が定める自動運転レベル4の基準に準拠している。従来モデルの「Minibus1.0」よりも安全性を向上させるための冗長システムをさらに強化しているという。 開発元のティアフォーは、先に述べた通りオープンソース型の自動運転技術開発を行っている。2023年には「ファンファーレ」という自動運転機能に対応した電気自動車(EV)の生産を加速させる新たなソリューションの提供を開始している。 このソリューションは、無人自動運転移動サービスの事業化を各地で進めていくにあたって、一般公道での走行が可能な道路運送車両法の保安基準に準じた、レベル4水準の自動運転EVの調達が難しいことが開発背景に挙げられる。 そこで、ティアフォーでは、完成車メーカーから提供される車両、つまりは保安基準に適合した車体に対し、ステアリングやブレーキ等の駆動系の電動化モジュールと、レベル4水準の自動運転機能を実現するアーキテクチャを開発することで対処している。加えて、納入先ごとに異なる自動運転機能の定義に対応していく総合的なソリューションが「ファンファーレ」だという。 一方の販売元であるアイサンテクノロジーは、ファンファーレで出来上がった自動運転EVを、納入先ごとの運行形態や事情に合わせてシステムの最適化を行うほか、納入時の運行研修や納入後の保守メンテナンスサービスを提供していくのが役割となる。 つまり、「大元となる自動運転EVバスはティアフォーで作りました。あとは導入する現場ごとの要望に合わせて、アイサンテクノロジーが最終仕様に仕上げて納車します」というのが両社の立ち位置のようだ。 「Minibus 2.0」は、先進的なセンサー(長距離・短距離LiDAR、物体検出カメラ、信号機検知カメラ、レーダー、慣性計測装置、全地球航法衛星システム)を搭載し、ティアフォーの電子制御ユニットや車両制御ユニットによってサポートされている。これにより、車両とシームレスに統合し、自動運転性能をさらに向上させることが可能だという。 同モデルは、日本各地での展開を目指しており、2024年末を目途に納品を開始する予定。アイサンテクノロジーは今後、地域ごとの企業主導の導入拡大に加えて、海外展開も視野に入れて同モデルの生産と推進を実施し、自動運転バスへの高まる需要に応えていく予定だという。

TAG: #EVバス #自動運転EV
TEXT:御堀直嗣
EVで電費を上げるコツはまず「モーターの種類」を知ること! 「滑空」と「回生」のどちらが効率的かはクルマによって異なる!!

EVの最大の特徴は回生 電気自動車(EV)の性能について、エンジン車と同じ指標で比較し、充電時間が長いとか一充電走行距離が短いなどの不満がいまだ聞かれるのは残念だ。EVの価値は、エンジン車と違う視点で語られるべきであるし、たとえばモード走行によるカタログ数値も、エンジン車と同じ運転の仕方で数値化されることの不都合があると思う。 EVの最大の特徴は回生だ。回生とは、消費したエネルギーを回収することを意味する。もちろん、100%の回収はあり得ないが、かなり多くの回収ができることを忘れてはならない。 逆にエンジン車は回生機能がない(一部、モーター機能付き発電機ISGを装備する車種では部分的に可能)。減速は、ブレーキによってエネルギーを熱に変え、大気中へ捨てるしかない。ほかに、アクセルペダルを戻せば、空気抵抗で徐々に速度が下がるくらいだ。つまり、加速で使ったエネルギーを取り戻す手段がなんらないのである。 しかしEVは、モーターと発電機が同じ機構であることを利用し、減速で発電してその電力をバッテリーへ戻せる。これを利用して、バッテリーの充電残量を加減することができる。これを最大に利用できるのが、アクセルによるワンペダル操作だ。停止までできれば申し分ない。そして、緊急事態を除き、ブレーキの使用を減らせば、使ったエネルギー(電力)を、無駄に大気中へ逃がしてしまうことを防げる。 発進から停止まで、ほとんどの運転操作をアクセルペダルだけで済ませられる運転をすることが、バッテリー充電量の減りを抑え、より長距離を走り続けられるようにするコツだ。 そのために、日産サクラを運転する際に私は、e-Pedalのスイッチを入れっぱなしにしている。一般道だけでなく、高速道路でも同様だ。これによって、ETCゲートを通過する際の減速も、回生で行うことができる。 また、シフトレバーは、一般道ではBレンジ、高速道路ではDレンジで走っている。一般道のほうが発進・停止を頻繁にするので、より回生が強く機能するBレンジを選んでいる。高速道路では、ETCの通過などでは強い減速を期待するが、それ以外は若干の速度調整が主体の、ほぼ一定速度での走りになるので、回生が強く働き過ぎないようDにしている。それでも、交通の流れ次第で速度の上下は若干あるので、e-Pedalを使い続ける。

TAG: #運転 #電費
TEXT:TET 編集部
レース中に後輪駆動と4WDが切り替わる新世代マシン「GEN3 Evo」がついに登場! 電気自動車の最高峰レース「フォーミュラE」シーズン11の注目ポイントはココだ

F1をも凌ぐ加速力「GEN3 Evo」マシンを全車使用 3月に日本初の公道を使用した四輪レースが開催されたことで、国内でも注目度が上昇した電気自動車(EV)によるレース「ABB FIA フォーミュラE 世界選手権」の新シーズン、シーズン11がいよいよ開幕する。 2024年12月17日にブラジルのサンパウロで行われる第1戦を皮切りに、年をまたいで2025年7月27日にイギリス・ロンドンで行われる最終戦まで、世界10か国を巡り全16戦が行われる。 このシーズン11から、マシンは新世代の「GEN3 Evo」に進化する。主な変更点は、四輪駆動になったこととレース中の急速充電に対応すること、さらにレース中の回生エネルギー量がそれまでより10%増え、50%まで回生できるようになったことだ。 最大出力は350kWと従来マシンのGEN3から変更はない。しかし、フロントパワートレインキットが解禁されたことで、グループ予選を勝ち抜いたあとに行われる1対1のトーナメント形式によるデュアル予選、ならびに決勝レースのスタート時とレース中に一時的なパワーアップが可能なアタックモードの使用時に限り、フロントにも駆動を与えて四輪駆動としてそのパワーを路面に伝えることが可能になった。つまり、決勝レース中はシチュエーションに応じて駆動方式が後輪駆動と四輪駆動に切り替わる。これにより、0-100km/h加速はわずか1.86秒しかかからず、F1より30%も速い加速力が備わった。 レース中の急速充電はシーズン10でも実施が検討されたが、技術的なハードルにより実現せず、シーズン11からの採用に先送りされていたもの。オフシーズンのテストでは、ピットレーンでロールフープ後方の充電口にケーブルを接続しているシーンが見られたものの、開幕戦では使用しないことが確定している。 しかし時期は未定ながら、今シーズン中の採用は決定しているため、シーズン中に急速充電を用いた新しいレース戦略への転換が各チームには要求される。 ちなみに、フォーミュラEの初代マシンGEN1の頃は、約60分のレース距離を走りきるだけのバッテリー容量が確保できず、レース中にピットでフル充電されたマシンに乗り換えてレースを続行するという、前代未聞のレース形式がされていたことを考えると、フォーミュラEもようやくここまで進化したかと感慨深いものがある。 一方でレース中の回生エネルギーにも進化が見られる。ブレーキング時の最大回生量は600kWであることには変わりがないものの、これまでレーススタート後から走行中にバッテリーの約40%分のエネルギーを回生することができていたものが、エネルギーマネージメントシステムの進化により約50%まで高められることになった。すなわち、従来に比べ積極的にエネルギーを消費してもよくなったわけで、昨シーズンに見られたアタックモードで過度なエネルギー消費をしないようケアして走るというようなことは、減少するかもしれない。 各チームは、この著しく性能が向上した新世代マシンGEN3 Evoを如何にして手なずけるかに手腕が発揮されるし、パワートレインを供給する各マニュファクチャラーはもっとも効率の良いパワートレインを開発できるかに、その成否がかかっているといっても過言ではない。 また、細かな部分ではあるが、全車共通のボディフォルムに手が加えられ、より堅牢で空力効果が高められたフロントノーズとボディワークが採用された。これによりフォーミュラE特有の肉弾戦とも呼べる超接近バトルが、より激化する可能性がある。 これらの性能向上に合わせて使用するハンコックのワンメイクタイヤも、グリップを従来から5~10%程度向上する取り組みがなされている。その一方、リサイクルされた持続可能素材を35%用いて製造されているあたりは、環境配慮型レースのフォーミュラEならではといえそうだ。

TAG: #フォーミュラE #モータースポーツ #ヤマハ発動機 #日産
TEXT:桃田健史
欧州の目は「水素」に向けられている! トヨタとBMWの「水素に関する」関係強化で燃料電池車はこの先どうなる?

燃料電池車の未来は見通せない情勢 燃料電池車はこれから先、いったいどうなっていくのだろうか? そんな疑問を持っているユーザーが少なくないはずだ。 燃料電池車の量産車は、日本車ではトヨタMIRAIに次いで、直近ではクラウン(セダン)FCEVとホンダCR-V e:FCEVが登場したものの、販売台数はかなり限定的だからだ。 そうしたなか、トヨタとドイツのBMWは9月、「水素社会実現に向けた協力関係を強化」に関して基本合意書を締結したと発表した。トヨタとBMWといえば、2010年代から燃料電池車に関する共同研究を進めてきており、「なぜこのタイミングで関係を強化するのか?」と、さらなる疑問をもつ人もいるだろう。 背景にあるのは、欧州連合(EU)やEU加盟各国が水面下で進めているエネルギーセキュリティ政策だ。 欧州ではとくに北欧で、2000年代から水素のエネルギー活用についてさまざまな施策を打ってきており、その後は欧州各国で再生可能エネルギーと水素の関係性についての議論が進んだ。それが、ロシアのウクライナ侵攻によって事態は急変する。欧州はいま、世界各地からさまざまな手法で水素を確保するために、極めて積極的な動きをみせているのだ。 一方、トヨタは昨年6月、乗用車や商用車(中型トラック)向け燃料電池車だけではなく、鉄道や定置型などB2B(事業者間取引)による燃料電池の外販を強化することを表明した。 今回、トヨタとBMWの提携は、燃料電池車に限定した話ではなく、燃料電池を含むさまざまな水素活用を視野に入れたものだといえよう。BMWとしても、欧州で進む水素社会構想に対して、トヨタがもつ技術が必要不可欠だと判断したと考えられる。 時代を振り返ると、日本では2000年代から、次世代自動車の筆頭として注目を浴びた。当時の小泉首相やトヨタとホンダの社長らが参加して首相官邸近くで実施した燃料電池車の公道試乗会は、大きなニュースとなった。 日本が世界をリードするとして、まさに”鳴り物入り”だったが……。本格的な量産が始まったのは、トヨタMIRAI。その登場に合わせて国は、2015年を「水素元年」と呼んだ。 家庭用のエネファームに加えて、燃料電池車の活用が増えることで、燃料電池の普及が一気に進めるという構想だった。水素インフラについても野心的な普及計画を公表するに至った。 しかし、現時点で乗用の燃料電池車の未来が見通せない情勢である。欧州での政治的な動きが今後、日本での乗用燃料電池車の普及にどんな影響を与えることになるのか。その動向を注視していきたい。

TAG: #FCEV #燃料電池車
TEXT:TET 編集部
BYD SEALが「RJCテクノロジーオブザイヤー」受賞! LFPブレードバッテリーとCTBボディ構造でEVの性能向上に貢献

BYDの技術が日本を驚かせた 国内でも存在感をどんどん増している中国メーカーのBYD。同社が日本市場に導入しているモデルはすべてBEVとなり、そのなかでもフラッグシップとなるSEALは、発売から約1カ月間の累計受注台数が300台を超えたことでも話題となった。 そのSEALに採用される「LFPブレードバッテリーとCTBボディ構造」が、2025年度「RJCカーオブザイヤー」の「RJCテクノロジーオブザイヤー」を受賞。今年のもっとも優れた自動車関連技術として認定されたかたちとなる。 LFPバッテリーは、正極材にリチウム、鉄、リンを用いたバッテリーの一種で、三元系のリチウムイオンバッテリーに比べ、バッテリーが損傷を受けた場合でも熱暴走の恐れが極めて低く、充放電による劣化も少ない(長寿命)といった特徴がある。 そのLFPバッテリーをブレード(刃)状に成型したことで、限られたスペースにより多くのバッテリーを搭載することを可能にしたのが、「LFPブレードバッテリー」なのだ。結果として、高い安全性を担保しながら、エネルギー密度を大幅に高めることに成功している。 受賞したもうひとつの技術が、CTB(Cell to Body)構造。ひとつめの技術であるブレードバッテリーを車体構造の一部として搭載する技術であり、このCTBの採用により、高いボディ剛性と安全性を確保したことで、SEALは欧州の新車評価プログラム「Euro NCAP」で最高評価の5つ星を獲得している。 さらに、理想的な前後重量バランス、低重心化によって、優れた操縦安定性も実現した。 今回のRJCテクノロジーオブザイヤーの受賞は、これらふたつの技術が総合的に評価された結果となる。 BYDは、国内上陸して間もないメーカーでこそあるもののその歴史は長く、とくに電動化の技術においてはそもそもの大もとがバッテリー製造を行う会社ということもあり、長年に亘るバッテリーの研究・開発による知見が蓄積されている。 RJCテクノロジーオブザイヤーの受賞は、BYDの培ってきた高い技術力、商品開発力が日本国内でも評価されていることを如実に示しているといってよいだろう。

TAG: #BYD #テクノロジー #輸入車
TEXT:高橋 優
テスラ・モデルSを実走テスト! 充電性能は抜群だが航続距離はカタログ値を下まわる結果に

モデルSの航続距離と充電性能をチェック! テスラの高級セダンであるモデルS AWDで恒例の航続距離テストと充電性能テストを行いました。テスラのフラグシップEVがどれほどのEV性能を実現することができたのか? リアルワールドにおける航続距離や充電スピードを詳細リポートします。 *航続距離テスト まず、航続距離テストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速100kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・充電残量100%までサービスエリア下り線で充電したあと、途中のインターで折り返して、同じサービスエリア上り線まで戻ってくる。充電残量は10%程度以下まで減らし切る ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のモデルS AWD・19インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離との乖離はなし) 結果:蓮田SA下り→白石IC→蓮田SA上り ・走行距離:567km ・消費電力量:95.9%→3.09% ・平均電費:6.76km/kWh(148Wh/km) ・外気温:24℃〜30℃ よって、航続距離テストの結果から、充電残量100%状態からSOC0%になるまで、611kmを走破可能であることが確認できました。 *ハイスピードテスト 次に、ハイスピードテストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速120kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のモデルS AWD・19インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離との乖離はなし) 結果:蓮田SA下り→佐野藤岡IC→蓮田SA上り ・走行距離:77km ・消費電力量:88.8%→73% ・平均電費:5.46km/kWh(183Wh/km) ・外気温:28℃〜25℃ よって、ハイスピードテストの結果から、充電残量100%状態から空になるまで、487kmを走破可能であることが確認できました。 *充電性能テスト ・使用充電器:250kW級V3スーパーチャージャー(テスラ/液冷ケーブル) ・SOC10%〜80%充電時間:29分 ・最大充電出力(SOC):250kW(31%) ・30分回復航続距離(航続距離テストベース):442km

TAG: #充電 #長距離
TEXT:琴條孝詩
こんなカーライフなんだ! オーナーが語るエンジン車から電気自動車に乗り換えて感じる新しさ3つ

実際に所有してわかったEVの新しさ ICE(内燃機関)車に乗り慣れているドライバーの皆さんが、EVを購入して感じる”ICE車ではあたりまえだった”ものがなくなったことがいくつかある。私は、EV購入前に試乗したとき即感じることもあったが、実際に所有してわかる”あたりまえがなくなった感”もいろいろとある。今回はそれらのなかで代表的なものトップ3をご紹介しよう。 <エンジンメンテナンスの煩わしさから解放される> まず、EVに乗るともっとも顕著に感じるのは、エンジンに関連するメンテナンスが不要になること。ガソリン車では定期的なオイル交換が必須であり、エンジンの状態を維持するために欠かせない作業であった。しかし、EVにはエンジンが存在しないため、オイル交換の概念自体がなくなる。当然ガソリン臭さもまったくない。 また、エアフィルターの交換やスパークプラグの交換、冷却水の補充・交換など、エンジンまわりの細かなメンテナンス作業も不要となる。これらの作業は、ガソリン車オーナーにとっては当たり前の日常であったが、EVではそれらの煩わしさから完全に解放されるのである。 さらに、エンジンオイルの減り具合を気にする必要もなくなる。長距離ドライブの際に、オイル量をチェックする習慣も過去のものとなるだろう。

TAG: #カーライフ #メンテナンス #電気自動車
TEXT:TET 編集部
これがジャガーの未来を示すコンセプトモデルだ! 過去の価値観を鮮烈に塗り替えるEV「TYPE 00」発表

新生ジャガー初のコンセプトモデル 先日、「 Copy Nothing」のテーマのもとに、これまでとはまったく異なる方向性のデザインビジョンを示し、全世界の度肝を抜いたジャガー。その波紋が広がるなか、マイアミ・アートウィークにて発表されたのは、斬新すぎるコンセプトカーであった。 TYPE 00と名付けられたこのコンセプトカー。その車名には、E-TYPEをはじめとしてジャガーで用いられてきた伝統的な称号にくわえ、排出ガス”0″と新生ジャガー”0″番目というふたつのゼロという意味合いが込められている。 また、公開されたふたつのカラーのうち、ロンドンブルーはジャガーのルーツである英国の伝統を表現し、マイアミピンクはアイコニックなアールデコ建築にちなんでいる。 シンプルなフラッシュサーフェスが特徴のエクステリアは、流れるようなルーフラインをもつファストバックスタイルのプロポーション。この未来的なデザインは、独自の電動専用アーキテクチャであるJEA(Jaguar Electrical Architecture)によって実現されたという。 アクセントとしてサイドにあしらわれた真鍮のインゴットには、ジャガーのシンボル「リーパー」がレーザーエッチングによって描かれる。このインゴットは格納式となっており、必要に応じてリヤビューカメラが出現する。このカメラと同じく、充電ポートなども基本的には格納される。 バタフライ・スタイルのドアを開けるとあらわれるインテリアもまた、シンプルかつ未来的。3本の真鍮の ラインがフロントからリヤに貫くようにあしらわれ、新たなモダンスタイルを表現している。室内のディスプレイもまた、必要のないときは格納されており、スリークなインテリアの内装にひと役買っている。 全ラインアップを電気自動車で構成するラグジュアリーブランドという方針を示している新生ジャガー。2025年後半にはその初号機となる4ドアGTが投入される予定であるとアナウンスされている。 その詳細は明かされていないが、WLTPモードで770km、EPAモードで692kmの最大航続距離と、15分で321km分の急速充電が可能というスペックがターゲットだという。デザインにおいては、この「TYPE 00」に盛り込まれたデザインテーマが採用されることだろう。 史上稀に見る大転換を果たしつつあるジャガーの動向に、引き続き注目だ。

TAG: #コンセプトカー #コンセプトモデル #輸入車
TEXT:TET 編集部
ホンダから似て非なる2台の電動2輪「ACTIVA e:」&「QC1」がデビュー! 2030年までに30車種投入するうちの12・13車種目の注目ポイントとは

インドに最適化された電動二輪「Activa e:」と「QC1」 2040年代にはすべての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することを目標にしているホンダが、新たな電動二輪車を発表した。 今回登場したのは「ACTIVA e:」と「QC1」の2車種で、二輪車の需要が旺盛なインド市場に向け、現地のユーザー嗜好を取り入れ、インド国内で生産されるインド専用の電動二輪パーソナルコミューターだという。2車種はパッと見の印象こそ同じように見えるが、モーターの形式も違っていれば、搭載バッテリーそのものもまったく異なる。この似て非なるふたつの電動二輪についてみていこう。 バッテリーシェアリングサービスも受けられる「ACTIVA e:」 まずは「ACTIVA e:」から。ベースとなった「ACTIVA」は、インド市場全体のみならず、ホンダの二輪車全体を見渡してみてももっとも売れているモデルで、年間約250万台も販売されているという。その人気モデルのボディフレームをベースに新規開発された電動二輪が「ACTIVA e:」だ。。交換式バッテリーの「Honda Mobile Power Pack e:」を動力源として2個搭載しているのが特徴で、車格としては排気量110㏄のバイクに相当する電動コミューターモデルとなっている。 ホンダが独自開発した自社製のホイールサイドモーターを採用し、定格出力は4.2kW、最大出力は6.0kWを発揮する。一充電航続距離は102kmだ。 バイクとスマートフォンをBluetoothで接続することで、通話やナビゲーション機能などが利用できる「Honda RoadSync Duo」を装備したタイプも設定されている。 また、インドの主要都市、ベンガルール、デリー首都圏、ムンバイの3都市では、Honda Mobile Power Pack e:を用いたバッテリーシェアリングサービス「Honda e:Swap」を提供することにより、ユーザーがバッテリー切れの不安や充電の待ち時間から解放され、移動の効率化が図られる。 日常使いの足に最適な「QC1」 一方の「QC1」は、通学や日常の近距離移動に最適な動力性能をもち、経済性重視のユーザーにとって理想的な1台として開発されたモペットだ。よくよく見れば、フロントディスクブレーキの有無や、シート下の充電口がQC1には付くなど、ACTIVA e:とは異なる電動二輪であることがディテールからもよくわかる。 動力用電源は1.5kWhの固定式バッテリーを採用し、専用充電器により家庭での充電が可能になっている。後輪にコンパクトなインホイールモーターを搭載し、定格出力は1.2kW、最大出力は1.8kWを発揮する。一充電航続距離は80kmだ。 5インチの液晶メーターを採用したほか、フロント部の内側にはUSB Type-Cソケットを標準装備する点が目新しい。 ホンダは2024年を「電動二輪車のグローバル展開元年」と位置付けている。インドネシアに2車種投入したのを皮切りに、今回のインド専用モデル2車種で早くも12・13機種目になるという。ホンダが2023年11月29日に行った電動二輪事業説明会の場で公表した「2030年までに、グローバルで電動モデルを30機種投入」するという目標に対し、約1年で折り返し間近まで達してしまう急ピッチな展開には脱帽するしかない。 ホンダ全体で2050年のカーボンニュートラル実現に向けて動くなかでも、二輪の動きは四輪に比べても活発だ。それも我々が想像する以上のペースで電動化が進んでいる印象で、バッテリーシェアリングサービスを含めたホンダの電動二輪事業の動きは、今後も要注目だ。

TAG: #EVバイク #ホンダ #電動バイク
TEXT:御堀直嗣
オイル交換もないしブレーキパッドも減りにくい! EVはエンジン車よりも「維持費が安い」は本当か?

パッドやローターは交換せずに済むことも 電気自動車(EV)も、公道を走るクルマである以上、定期点検や車検は必要だ。 とはいえ、整備内容や交換部品など、エンジン車に比べ部品点数や消耗品の少なさもあり、整備金額はエンジン車に比べ抑えられるといわれている。 象徴的なの、エンジンオイルという定期的な交換項目がないことだ。昨今のエンジンオイルは化学合成油なので、約1万kmまで交換せずに済む。とはいえ、四季を通じて温度差が大きいと1万km未満の走行距離でも交換を勧められる場合がある。 ほかに、ブレーキパッドは、エンジン車もEVも必要だが、EVは減速に際し回生というブレーキ効果があるので、いわゆる油圧でパッドをローターに押し付けるブレーキ機構を利用する機会が減る。結果、パッドやローターの減りが抑えられる。もしかすると、買い替えまで交換せずに済む人もいるかもしれない。 一方、あまりにブレーキを使わないと、長い期間駐車したまま置かれたあとには、パッドとローターが密着し、次に走るときの動き出しで、パッドとローターがはがれるショックが出るかもしれない。いったん走り出せば、走行に支障はないと思うが、かすかな振動を感じ続けるようであれば、ローターの錆具合など点検してもらうといいかもしれない。 次に、長期間乗ったエンジン車の場合、排出ガスを浄化する触媒性能が劣化する。そこで、かなりの距離を走ったエンジン車では、触媒性能の確認が必要だ。あるいは、消音マフラーが錆などから穴が開き、音漏れすることもあり得る。そうした排気系の劣化があれば、交換することになる。 ただ、EVでも、長距離を走り込んだ場合は、駆動用のリチウムイオンバッテリーの劣化が考えられる。その際の交換費用はかなりの金額になるはずだ。しかし、中古バッテリーの再利用で高い性能を維持したものに交換することも、一部車種では不可能でない。これを利用すると、新品バッテリーの半額近くで済むのではないか。 同時にまた、近年のリチウムイオンバッテリーは劣化がそれほど進まないとされており、新車で購入した場合は、バッテリー交換の心配をほぼせずに済むのではないか。 そのためにも使い方が大切だ。可能な限り200V(ボルト)での普通充電を基本とし、高電圧での急速充電は遠出などで必要なときのみに限るとよい。

TAG: #メンテナンス #点検 #車検

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