サクラとeKクロスEVの生産台数が10万台に到達
日本の電気自動車(EV)販売を牽引するのが、日産サクラと三菱eKクロスEVだ。両車をあわせた生産台数が、2022年5月の発売から2年5カ月で累計10万台に達した。
日産の初代リーフは、2010年12月に日米で発売が開始され、2014年1月に世界累計販売台数が10万台に達した。
生産と販売では、作ったというのと売れたという点で同列で比較するのは不都合だ。とはいえ、軽EVが国内での販売を目的に2年5カ月で10万台生産されたことは、日米欧を含め世界(グローバル)で販売を行ってきたリーフが3年2カ月で10万台を売ったのに比べ、どれほど短期間に人気を得たかを知ることに役立つ。そして、いかにサクラとeKクロスEVが、人々に喜ばれているかがわかる。
世間、あるいはいくつかの報道などでは、「軽EVはたった180kmしか走れない」という。だが、それは一充電での走行距離であって、経路充電で急速充電すれば、もっと遠くへ行ける。180kmしか走れないのではなく、満充電すれば最低でも180km走れると解釈すべきだ。
世界的に、1日のクルマでの移動距離は多くが50km前後とされている。だから、プラグインハイブリッド車(PHEV)のEV走行距離は、余裕を見て100km前後なのだ。たとえば、2代目アウトランダーで追加されたPHEV初代のEV走行距離は60.2kmであった。まさしく、1日のクルマでの移動距離の多数を占める50kmを視野に入れた性能といえる。
EVにおいても100km前後が日常的な利用の中心であり、ただEVでは充電したバッテリーの電力を使い切れば止まってしまうので、その分のゆとりを見て150kmほど走れれば一般に事足りることになる。
そのうえで、四季を通じ空調を使うことを考慮するなら、200km前後の基本性能をもっていれば、不安なくEVを使えることになる。サクラとeKクロスEVの一充電走行距離が180kmであるのは、日々の利用に適切な性能である。
さらに遠出をするのなら、経路充電すればいい。経路充電しなくても、目的地に基礎充電(200V)の設備があり、一泊するならそこで寝ている間に充電すれば、経路充電の必要さえなくなる。
これが、EVの基本だ。
諸元で、一充電走行距離が300~400kmないと遠出ができないといういい方や考えは、急速充電に30分かかるという数字しか考えず、利用の実態を見過ごした解釈の誤りだ。