2024年11月
TEXT:斎藤充生
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは

貴重な資源の海外流出を食い止める 携帯電話やパソコンといったデジタル製品や高性能家電機器には、クロムやコバルトといったレアメタル、さらにはスカンジウムやイットリウムといったレアアースが用いられていることが多い。 これらのレアメタルのうち、とくにレアアースに関しては、中国が世界の埋蔵量の97%を保有していることから、今後も高性能機器を製造していくにあたっては、中国との関係性を友好的に維持しなければならない。しかし、情勢が不安定になりがちなことから、国内では並行してこれらを用いて製造された機器のリサイクルを徹底的に進め、素材の再精錬技術を磨き、リユースを推し進める必要がある。 そのため日本では、2013年に小型家電リサイクル法が制定され、リサイクルフローが確立され始めた。この動きに関しては、スマホや家電を適切に回収することで、山や地面を掘らなくても希少価値が高く高価な元素であるレアアースを国内からかき集めることができることから、「都市鉱山」というキーワードで例えられている。 これをクルマに置き換えると、目下全世界的に進められているクルマの電動化においては、車体の大きさから想像できる通り、家電とは比べ物にならない量のレアメタル、レアアースが含有されているそうだ。 と、ここまで書いているもの、ジャパンモビリティーショー ビズウィーク2024と併催された「CEATEC2024」のBASCブースを訪れるまで、EVのバッテリーも「都市鉱山の一部」であることをすっかり忘れていたことを白状しておきます。新型車のバッテリー性能がどうだとか、充電能力うんぬんは目にする機会も多いが、じゃあ使い終わった(廃車または買い替え)あとのことは? といわれると、申し訳ございません。中国の「EVの墓場」は報道に目にしていても、リユースまで意識がまわっておりませんでした。 ということで、バッテリーのリユースについてBASCブースで学びましょう。 BASCとは? BASCとは正式名称を「一般社団法人電池サプライチェーン協議会」といい、電池のサプライチェーン(部材・素材)を持続可能な形で発展させることで、日本、そして世界の電池産業に貢献していくことを目指した組織。 2024年10月時点では225社が加盟し、部素材メーカーでは住友金属鉱山や旭化成、電池メーカーではパナソニックエナジーやプライムプラネットエナジー&ソリューションズ、資源を調達する商社としては豊田通商や三菱商事といった錚々たる企業が名を連ねています。 主だったところでは、会員各社からの意見集約、および海外の諸規則に対する情報提供、分析を行っており、日本の電池産業として海外競争力を確保するための下地を整えている組織というのが大まかな活動内容といえます。 そのBASCが今回のCEATEC2024で訴えていたのは、電気自動車のバッテリー製造に不可欠なレアアース資源の調達から製造、廃車後のバッテリー回収から分解、リサイクル、そして取り出したレアメタル・レアアースを再精錬し、再びバッテリー製造へと向かう、リユースするためのサプライチェーンの構築と強化の重要性です。 これは、国内で素材が採掘できないこと、そして入手した素材を国内にとどめておく、つまりは折角入手した貴重な資源を海外に流出させず、国内で消費循環させることを目指したものだ。BASCでは、欧州で提唱された循環型経済を指す言葉「サーキュラーエコノミー」を用いて、このリユースの流れを紹介していました。 2050年のカーボンニュートラル社会実現に向けては、バッテリーの重要性がますます高まることが予想されており、EVに貯めた電気が走行用だけでなく、家庭や社会インフラに利用されることが想定されている。それだけに、今後ますますバッテリー、蓄電池の需要は高まり、製造するにあたって必要なレアアース類の価値上昇が見込まれています。 それだけに、このサーキュラーエコノミーを実現させることが、カーボンニュートラル社会の実現には非常に重要なものとなってくるでしょう。 使用済みEVから取り出したバッテリーは新品同等 ここで、ひとつ疑問が残る。バッテリーを製品から取り出し、分解および素材抽出を行ったのちに、再精錬したもので作ったバッテリーの性能は、すべて新品から作り出されたものに比べ、性能低下が起きるのではないかということ。 これについては、硫酸コバルトや硫酸ニッケルといった素材になるまで再精錬されたものは、その工程で元素レベルにまで一旦戻っているため、リサイクル材を何パーセントか含有していたとしても、ほぼ新品同等の性能を持つバッテリーに生まれ変わることが可能なのだそう。 実際に、2031年ごろから施行される予定の欧州の新たなバッテリー規則では、一定以上のリサイクル材を含んでいることが条件となるそうだ。つまり、「新品ではないけれど、新品同等のバッテリーですよ」、ということになります。 では、リビルトとは何が違うのでしょうか。 リビルトの場合は、取り出したバッテリーのうち、部品交換で今後も使えるものと使えないものに選別し、一部の部品交換して市場に提供します。一方で、この素材から製造、分解、再精錬という一連の「BASC流サーキュラーエコノミー」の過程を踏むバッテリーは、先述の通り分解しブラックマスを作り出し、そこから元素レベルまで再精錬されるため、まったくの別物といっていいでしょう。 EVを作る、乗る、性能向上といった類の部分には普段から目が行くものの、EV同士の買い替えや廃車後のバッテリーをどのように活用するかまでは意識がまわっていなかった……。スマホのバッテリーであれだけ「都市鉱山」だと騒がれていたにも関わらずです。 同時に、EVをはじめとしたモビリティだけでなく、EV充電設備やスマートハウス向けの家庭用蓄電池など、身近なところにも多くのバッテリーが存在し、レアメタル・レアアース資源の乏しいに恩において、BASCが提唱する「サーキュラーエコノミー」は今後さらに重要度が増して行くでしょう。 日本の蓄電池産業の発展と継続性に、BASCが果たす役割は大きいはずです。

TAG: #BASC #CEATEC #バッテリー
TEXT:高橋 優
BYDがまさかの300万円切りドルフィンを日本で発売! 日産サクラに迫る安さで買える普通車EVの誕生でどうなる?

最注目は299.2万円の「Baseline」 BYDが最安モデルであるドルフィンに期間限定グレードを投入し、なんと補助金なしで299万円から購入可能という実質的な大幅値下げを実施しました。日産サクラなどと比較しても強烈なコスト競争力を実現してきたという最新動向を解説します。 まず、2023年9月に日本で販売スタートしたドルフィンは、エントリーグレードで44.9kWhのバッテリーを搭載することで、航続距離も400kmを確保。これは同セグメントの日産リーフの40kWh・322kmという航続距離と比較しても優れた性能です。それでいて価格は363万円からのスタートであり、日産リーフが408万円から発売されていることを踏まえると、乗用車というカテゴリーであれば、コスト競争力でドルフィンの右に出るEVはいないといえます。 他方で、2023年9月から2024年10月までのおよそ1年間程度での、日本国内のドルフィンの販売台数はおよそ1000台。日産リーフの2023年9月から2024年9月までの国内販売台数が6500台ですので、リーフがドルフィンを圧倒しています。販売ネットワークの規模感も雲泥の差であることから一概に比較できないものの、コスト競争力の高さに見合った販売台数には達していないという見方もできます。 そして、このドルフィンの最大のライバルとなっているのが軽自動車の存在でしょう。すべての車両販売に占める軽自動車の販売割合は概ね4割ほどであり、車両サイズが小さい分だけ車両価格が安く、そのうえ税制も優遇されているため、コンパクトカーを買うなら軽自動車を購入したいというニーズが強いわけです。 そして、この軽自動車セグメントには、EVの日産サクラが存在します。サクラは20kWhバッテリーという限られたバッテリーサイズによって航続距離は180kmしかないものの、現在256万円から発売中。しかも補助金額も55万円であり、ドルフィンよりも実質120万円ほど安価に購入することが可能です。やはりコンパクトなサイズ感も含めて、日常の足としてサクラをチョイスするユーザーが圧倒的に多いのが現状です。 いずれにしても、ドルフィンは日本のガラパゴス規格である軽自動車セグメントという大きな壁に苦しんでいるのかもしれません。 そしてBYDは、ドルフィンの需要をさらに喚起するために、日本導入1年を記念した特別仕様車を設定してきました。具体的には、「Baseline」と「Limited」、「ロングレンジLimited」という3種類です。まず、Limitedは基準車とまったく同じ値段設定ながら、エクステリアに対して複数の専用ラッピングを施しています。とくにロングレンジLimitedではボディを一周するストライプラインとなり、通常のツートーンカラーよりも存在感が増しているように感じます。また、ETCとドライブレコーダーも標準搭載です。 一方で、今回もっとも注目するべきはBaselineの存在です。このBaselineでは、充電ケーブル、NFCカードキー、フロアマット、三角表示板をオプション設定にすることで装備内容を簡素化、その分値下げを実施して299.2万円という、63.8万円引きを実現してきた格好です。

TAG: #ドルフィン #特別仕様車
TEXT:齊藤優太
高速道路上のガス欠は違反! じゃあEVの電欠はどうなるか考えたらやっぱり違反の可能性アリ!!

高速道路上での電欠は違反か? 高速道路上でガス欠して止まってしまうと交通違反になります。では、電気自動車が電欠になってしまった場合は交通違反となるのでしょうか。道路交通法を見ると「燃料不足のため運転することができなくなることを防止するための措置を講じなければならない」と明記されているものの、“電欠”という表記はありません。今回は、電気自動車が高速道路上で電欠した場合に交通違反となるのか考察します。 そもそも高速道路は駐停車が禁止されている そもそも高速道路では、原則として停車・駐車が禁止されています。道路交通法第75条の8「駐車及び停車の禁止」には、次のような記載があります。 「自動車(これによりけん引されるための構造及び装置を有する車両を含む)は、高速自動車国道等において、法令の規定、警察官の命令、危険を防止するために一時停止する場合以外は、停車・駐車してはならない」 ただし、次の場合は停車または駐車することができます。 ・駐車するための場所(SA・PAの駐車場など)に停車または駐車するとき ・料金の支払いのために料金所で停車するとき ・高速バスが乗客の乗降や時間調整のために停車する場合 ・故障などにより停車または駐車することがやむを得ない場合 上記4つは法律上に定められている例外です。そのため、基本的に高速道路上で駐車または停車することはできません。 道路交通法に「電欠」と明記されていないが違反になる可能性は高い 高速道路を走行するときは、道路交通法第75条の10に明記されていることを守らなければなりません。 【道路交通法第75条の10「自動車の運転者の遵守事項」】 「高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、燃料、冷却水もしくは原動機のオイルの量または貨物の積載の状態を点検し、必要がある場合においては、高速自動車国道等において燃料、冷却水もしくは原動機のオイルの量の不足のため当該自動車を運転することができなくなることまたは積載している物を転落させ、もしくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない」 いい換えると、高速道路上で原動機を動かすためのバッテリー不足によって運転できなくなることを防止するためにあらかじめ充電をしておかなければならないといえるでしょう。 電気自動車のバッテリー残量は、エンジン車における燃料です。つまり、電気自動車のバッテリー不足によって運転できなくなった場合、交通違反として取り締まられる可能性が高いといえます。 ギリギリまで粘らず早めに充電しよう! 高速道路上で電欠よって立ち往生しないためにも、バッテリー残量が底をつきそうになったときは早めに充電しておきましょう。 もし、高速道路上で電欠してしまうとクルマが止まってしまい、その後の予定変更をしなければならなくなります。また、本線道路上で停まってしまうと追突事故をはじめとする二次事故発生の可能性が高くなるため非常に危険です。 「あと少し」や「まだ大丈夫だろう」と思わず、バッテリー残量が4分の1を切ったら充電しておくとよいでしょう。

TAG: #道路交通法 #電欠
TEXT:TET 編集部
スズキ初の電気自動車「e VITARA」初公開! 完全新設計のBEV世界戦略車第一弾に期待大

スズキ初の電気自動車はクロスオーバーSUV 多くのメーカーが電気自動車(BEV)をラインアップに加えるなか、長らく内燃機関搭載車のみで戦ってきたスズキが満を持してブランド初の電気自動車を欧州にて発表した。 その名は「e VITARA」。2023年1月にインドで開催されたAuto Expo、次いで同年10月に日本で開催されたJAPAN MOBILITY SHOWで公開したコンセプトモデル「eVX」をベースとした量産仕様であり、スズキのBEV世界戦略車第一弾を担うモデルとなる。 エクステリアは、「High-Tech & Adventure」をテーマに、BEVの先進感とSUVの力強さを併せ持ち、冒険心を刺激する力強いたたずまいとなっている。大径タイヤとロングホイールベースによって、存在感もバッチリだ。 インテリアでは、フル液晶となったメーターパネルとセンターディスプレイが統合されたインテグレーテッドディスプレイがEVらしい先進的な印象をもたらす。また、タフさを期待させる独特の造形をもったパネル類やセンターコンソールは、レザーやピアノブラックなどといった上質な仕上げによって高級感も手にしている。 注目のパワートレインは、もちろん完全新設計。モーターとインバーターを一体化した高効率のeAxleと、安心・安全を追求したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用する。 プラットフォームは電動車用に新設計された「HEARTECT-e」となり、軽量な構造、高電圧保護、ショートオーバーハングによる広い室内空間を特長としている。 また、同時に見逃せないのが4WDモデルだ。というのも、e VITARAの「VITARA」とは、悪路走破性に優れるスズキのSUV「エスクード」の海外名。それだけに、このe VITARAも単なる都会派SUVとは一線を画したタフネスさを備えている。 それを実現しているのが、「ALLGRIP-e」と呼ばれる新設計の電動4WD機構。これは前後に独立したふたつのeAxleを配置したもので、パワフルな走りだけではなく、レスポンスに優れた緻密なコントロールも可能としている。 また、片側のタイヤが浮くような路面でも空転したタイヤにブレーキをかけ、反対側のタイヤに駆動トルクを配分(LSD機能)することで悪路からスムーズに脱出できるTrailモードも備えるというから、その悪路走破性には期待していいだろう。 このe VITARAは、2025年春よりインドのスズキ・モーター・グジャラート社で生産を開始し、2025年夏頃から欧州、インド、日本など世界各国で順次販売を開始するとされている。 現段階では日本仕様の価格やスペックは未発表となっており、続報が楽しみなところだ。

TAG: #BEV #SUV #国産車
TEXT:すぎもと たかよし
ヤリスクロスより小さいのに「堂々たる」ジープを表現! 注目のEV「アベンジャー」のデザインの秘密

コンパクトながら安定感のある佇まい 2024年9月26日、ジープ・ブランドでは約2年ぶりとなる新型モデル、アベンジャーが発売になりました。同ブランド初となるEVとして早くも各方面で話題になっていますが、新鮮なスタイリングにも注目が! そこで、今回はあらためてエクステリアデザインの見所をチェックしてみたいと思います。 まず、何より意外なのはそのコンパクトさでしょう。パッと見は豊かなボリューム感もあって「それなり」の大きさを感じるのですが、全長4100mmは。先行したレネゲードより150mmも短く、国産コンパクトSUVのヤリスクロスと比べても80mmも短いのです。 それにしても堂々と見えるなあ……、と思わせるのはスタンスのよさゆえで、じつはホイールベースを見るとヤリスクロスと同じ2560mm。となれば、前後のオーバーハングは自ずと短くなり、小さくてもしっかりした佇まいになるワケです。 基本的なスタイリングは、ザックリいうと同ブランドのなかでもグランドチェロキーやコマンダーの流れにあるようですが、その端正さにジープの起源であるウィリスのワイルドさを加えたのが特徴のようです。 たとえばワイド感を強調したフロントはグランドチェロキー的ですが、抑揚あるボディに合わせ、より立体感を持たせた点が独特。自慢の7スロットグリルとヘッドライトとの「段差」も大きいし、グリル自体にも「折り」が加えられて奥行きがあるのです。 で、同車は最近のEV車の流行である「ノッペリ顔」でない点も見所。もちろん海外市場では内燃機関版が用意されていることもありますが、グリルはブランドを示す重要な要素ですから、EVだからといって安易に「フタをする」選択をしなかったのは正解だと思えます。

TAG: #JEEP #アベンジャー #デザイン
TEXT:TET 編集部
メルセデス・ベンツが新会社設立で「EV急速充電ネットワークの整備」を強化! 2026年末までに計100口の設置を目指す

メルセデス・ベンツが充電器を増設へ メルセデス・ベンツは日本で電気自動車(EV)の普及を加速させるべく、11月1日に新会社「メルセデス・ベンツ・ハイパワー・チャージング日本合同会社」の設立を発表した。 新会社は、高出力の急速充電ネットワーク(HPC:High Power Charging Network)の設置を通じて、すべてのEVユーザーにメルセデス・ベンツならではの充電体験を提供することを目的に、急速充電施設の設置及び運営を行う組織として設立された。 高出力の急速充電インフラ(HPC)の整備により、EVの充電時間を短縮し、EVユーザーの利便性向上が見込まれる。また、より急速充電ニーズの高い3大都市圏の周辺を中心に導入を進めることで、長距離移動時や基礎充電設備の不足による充電の不安を解消し、EVの実用性を高めるとしている。 なお、新会社「メルセデス・ベンツ・ハイパワー・チャージング日本」は、HPCの設置および運営事業に関して、大型蓄電池の製造・販売、EVチャージステーションのサービス展開で実績のあるパワーエックス社と事業提携し、共同で協議・検討を進めていくことを発表した。 これにより、充電設備のスペックならびに具体的な設置予定箇所は未公表ながら、2026年末までに25カ所50基、合計100口の急速充電設備を設置していく予定であることも発表。 ドイツのプレミアムブランド各社が急速充電ネットワークの拡充を推し進めるなか、メルセデス・ベンツも追随する姿勢を示したことは、同社のEQシリーズを検討および保有しているユーザーにとっては心強いのではないだろうか。今後の発展に期待したいところだ。

TAG: #パワーエックス #メルセデス・ベンツ #急速充電
TEXT:御堀直嗣
電気自動車に積む「リチウムイオン電池」には2種類がある! レアメタル不足問題を解決する「LFP」ってどんなバッテリー?

中国ではLFPを積極採用 中国製の電気自動車(EV)が、ひとつの優位性を誇るのは、リン酸鉄を正極(+極)に使うリチウムイオンバッテリーだ。 現在、もっとも高性能なリチウムイオンバッテリーとして多くのEVが採用するのは、三元系と呼ばれ、ニッケル/コバルト/マンガン(NCM)を組み合わせた金属リチウムを+極に使う方式だ。一方で、世界的なEV普及の流れになると、ことにコバルトやニッケルは希少資源のため、奪い合いや価格高騰につながる懸念がある。 対するリン酸鉄は普遍的な資源であるため、価格競争力をもつとされ、中国のEV用バッテリーで積極採用している。同様に、米国のテスラも、一部の車種でリン酸鉄のリチウムイオンバッテリーをすでに使用している。 ただ、モノには何でも長所と短所がある。 リン酸鉄のリチウムイオンバッテリー(LFP)は、三元系に比べ容量が小さいとされる。したがって、航続距離を問うEVでは、一充電走行距離に不足を生じる懸念があった。 それを突破したのが、中国のBYDだ。ブレードバッテリーと呼び、1セルの電極の面積を細長く板状にして、より多くの面積を確保した。1セルが大きいことから、電極をつなぐ配線を減らせる構造になり、これも面積を稼ぐのに役立つ。あるいは、セルをモジュール化せず積層したり、バッテリーパックを車体と一体構造にしたりすることで、車載容量を増やす技術もある。こうして、三元系に迫る容量を確保した。 たとえばBYDの4ドアセダンであるシールの場合、82.56kWhのバッテリー容量から、後輪駆動車で640km(WLTC)の一充電走行距離を得ている。

TAG: #バッテリー #リチウムイオンバッテリー #リン酸鉄
TEXT:TET 編集部
2024年末の発売を目指すヒョンデ中型EVバスを展示! 「エレクシティタウン」が富士スピードウェイのホームストレートを走った

富士のストレートをEVバスが初めて走った日 2024年末からの発売を控えているヒョンデの新型中型EV路線バス「ELEC CITY TOWN(エレク シティ タウン)」が、10月27日に開催された「ジャパントラックショー in Fuji Speedway 2024」に展示された。 当日は富士スピードウェイのコース上を走行する姿も披露し、安全性と走行性能の高さを来場者にアピールした。なお、この走行は富士スピードウェイにおいて初めてEVバスがコースを走行した記念すべきシーンにもなった。 現在の日本市場においては、EVバスの国内外のメーカーラインアップが限られている。環境問題に対応できる車両の導入が、公共交通機関を運営する自治体や事業者などにとって急務である状況を踏まえると、適切なサイズでしかも部品供給体制が整い、アフターサービスの充実しているメーカーの参入が強く望まれていた。 そこで、ヒョンデは課題解決に向け、一定の需要が見込まれる郊外路線やコミュニティバスなどに向け、日本のバス車体規格ガイドラインに準拠し、日本市場のニーズに合わせた開発・設計を行って誕生させたのが、この「エレク シティ タウン」である。 すでに当サイトでお伝えしている通り、ヒョンデは同社が販売している大型観光バス「ユニバース」と同様に、部品の国内翌日納品率を95%以上にすべく初期部品在庫の準備を進めている。また、フロントガラスやサイドミラー、タイヤパンクなどについては、充実した修理・交換サービスの提供が予定され、導入自治体や事業者に対し、アフターサービスの充実性をアピールしている。 同時に、CHAdeMO急速充電器適合試験にも合格。日本独自のインフラ体制にも十分に対応していることを証明済みだ。 イベント当日には、8月から富士スピードウェイ初のEVオフィシャルカーとなった同社のハイパフォーマンスEV「アイオニック 5 N」も同時に展示された。 乗用車、バスの両面で、ヒョンデは日本市場でEVのリーディングブランドとして確固たる地位を築き上げようとしている。

TAG: #EVバス #hyundai #エレクシティ #ヒョンデ
TEXT:山本晋也
電気自動車はガソリンスタンドに行かないだけに「日常メンテ」を「見落とし」がち! 常日頃からここだけは見ておきたいポイントとは

タイヤのチェックを怠らないようにしたい ハイブリッドを含むエンジン車に乗っていたドライバーにとって、EV(電気自動車)に乗り換えるというのは、カーライフにおけるルーティンが大きく変わることを意味しています。なぜなら長年利用してきたガソリンスタンド(サービスステーション)を訪れ、愛車に給油するという行為が不要になるからです。 そのかわりに、自宅などに設置したコンセントから普通充電を行ったり、自動車ディーラーやサービスエリアなどにある公共充電器を利用して急速充電を行ったりする必要は出てくるのですが、ともかく日常的にガソリンスタンドに行かなくなるというのは、カーライフの大きな変化といえるでしょう。 ここで注意したいのはタイヤ空気圧のチェックについてです。 エンジン車に乗っているときは給油時に立ち寄ったガソリンスタンドのサービスを利用してタイヤのエアチェックを行い、足りなければ空気を入れることができますが、給油をしないEVでそうしたサービスだけをフリーライドするというのは社会人として失礼といえます。 また、セルフではない有人サービスタイプのガソリンスタンドであれば、タイヤが摩耗していることを教えてくれたりもします。なかには、新品タイヤを売るためのセールストークであることもありますが……。 いずれにしても、EVオーナーはしっかりと意識していなければ、タイヤのコンディションについて無頓着になりがちかもしれません。そこでオススメしたいのは、ハンディタイプの空気入れ(電動ポンプ)と空気圧を測定するエアゲージを用意しておくことです。 冒頭でも記したように、EVに乗り換えると、ガソリンスタンドに寄らなくなるかわりに急速充電器を利用するケースが増えます。充電をしている間、車内でスマホをさわって時間をつぶすだけでなく、タイヤのコンディションを確認して、必要であれば空気を入れるようにすれば時間の有効活用になります。 エンジン車のときは無料で入れられたタイヤエアのためにお金を払って電動ポンプを買うのはバカバカしいと思うかもしれませんが、タイヤ管理はパワートレインにかかわらず重要な行為ですから、愛車で気もちよく走るために意識を高め、手間をかけてほしいと思います。 空気を入れるための電動ポンプを買ったとて、EVのメンテナンスにかかるコストはエンジン車とは比べものにならないほど低く抑えることができるからです。 エンジン車の定期的なメンテナンスといえば、代表的なのはエンジンオイルの交換ですが、EVはエンジンを積んでいません。当然ながら、エンジンオイル交換というメンテナンスは不要です。 さらにいえば、いわゆる多段式トランスミッションをもっているEVもほとんどありませんから、ミッションオイルの交換も不要です。モーターとデファレンシャルをつなぐギヤは存在しているので潤滑油をまったく使っていないわけではありませんが、オイル交換にかかっていたコストの大部分は、EVに乗り換えることで不要になるわけです。

TAG: #メンテナンス
TEXT:TET 編集部
補助金を受ければ約215万円で輸入EVが買える衝撃! BYD ドルフィンにお買い得な限定車と特別仕様車が登場

100台だけのスペシャルプライス! 衝撃的なプライスを提げて上陸し、多くの人の注目を集めることに成功したBYDから、日本での発売開始から1年を記念して、売れ筋モデルのドルフィンに記念限定車と2種類の特別仕様車が設定された。 注目は「BYDドルフィン ベースライン」と名付けれた記念限定車だ。なぜなら輸入車のBEV(バッテリー式電気自動車)として、初めて車両本体価格が300万円を切っている点にほかならない。 これに各種補助金を加味するとさらに安くなる。東京都で購入した場合を例にすると、35万円のCEV補助金、45万円の東京都の自治体補助金、エコカー減税などの税制優遇を含め、総額で約85万円の補助金が受けられる。そのため、実質の車両本体購入価格は215万円前後となり、軽EV並みの金額で普通車のBEVを購入できる算段となる。 この価格を実現した背景には、ベースモデルとなる「BYDドルフィン」の標準装備の見直しがある。元々、BEVのコンパクトカーとしては充実した装備を誇るドルフィンではあるものの、この記念限定車「BYDドルフィン ベースライン」では、充電ケーブル、NFCカードキー、フロアマット、三角表示板をオプション扱いにすることで価格を抑えているのだ。 また、購入後に複数回の利用実態アンケート、レポートに協力することが購入条件として設定されていることにも注意が必要だ。これらの諸条件はあるものの、ベースモデルから税込み63万8000円安い299万2000円の車両本体価格は、十分に魅力的な価格設定なはず。ボディカラーはサンドホワイト、アーバングレー、コーラルピンクの全3色展開。100台限りの特別価格なので、気になっている人はまたとないチャンスといえそうだ。 一方、ドルフィンの発売1周年を機に設定された2種類の特別仕様車「BYDドルフィン リミテッド」と「BYDドルフィン ロングレンジ リミテッド」の内容は次の通りだ。 「BYD ドルフィン リミテッド」 一充電航続距離が400kmのドルフィンをベースモデルに仕立てた「BYDドルフィン リミテッド」は、ボンネットとリヤフードに特別デザインのホワイト・グレーのストライプのラッピングを装着。レーシーなイメージを与えている。また、ETCとドライブレコーダーが特別装備されている点も嬉しい。 ボディカラーはサンドホワイトとアーバングレーの2種類を用意。各販売店の12月最終営業日までの受注生産となる。車両本体価格はベースモデルと同額の税込み363万円だ。 「BYDドルフィン ロングレンジ リミテッド」 もう1種類の特別仕様車「BYDドルフィン ロングレンジ リミテッド」は、その名の通り一充電航続距離を476kmまで伸ばした「ドルフィン ロングレンジ」がベースモデルだ。 フロントのヘッドライトからボディ側面のウエストラインを通り、リヤゲートのガラス下部を経て、ボディーを1周するストライプラインがラッピングで施されている。また、ドアミラーにも特別デザインのラッピングを施し、ロングレンジモデルならではのツートーンカラーをより際立たせている。 ボディカラーはサーフブルー×アーバングレー、アトランティスグレー×ブラック、スキーホワイト×アーバングレーの全3色。ドルフィン リミテッドと同様に、ETCとドライブレコーダーが特別装備され、各販売店の12月最終営業日までの受注生産となる。車両本体価格もベースモデルと同額の税込み407万円だ。 11月9日(土)、10日(日)には、ドルフィンの日本導入1周年を記念したフェアの開催も予定されている。詳しくはBYDのホームページで確認してもらいたい。

TAG: #BYD #特別仕様車 #限定車

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