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バッテリーがあがってしまう可能性もゼロではない!
4)補機用12Vバッテリーはあがらない
エンジンの始動を12Vバッテリーが担っているように、EVにおいてもシステム起動には12Vの補機バッテリーを使っている。この補機バッテリーの存在を知らないユーザーもいるようだが、たとえ駆動バッテリーが満充電であっても、補機バッテリーがあがってしまうとEVは走り出すことはできない。
基本的にはメインの駆動用バッテリーから適宜、補機バッテリーを充電しているため、正常に動いている限りは補機バッテリーがあがってしまうことは考えづらい。ただし、いまどきのバッテリーは突然寿命を迎えて電圧降下してしまうことがある。そのため、EVでもバッテリーあがりの可能性はゼロとはいえない。
5) EVはリセールバリューが低い
自動車におけるリセールバリュー(残存価値)は、「買取価格」といいかえることもでき、中古車相場からも推し量ることができる。少なくとも日本においては、中古EVの流通量が多いとはいえず、しかもある程度の期間において相場観を評価できるのは日産リーフくらいといえる。
そして、オーナーにとっては残念といえるかもしれないが、リーフのリセールバリューはけっして良好とはいえない状況にある。エンジン車、ハイブリッドの人気SUVや希少なスポーツカーなどが誇っているような高いリセールバリューと比べると、リーフのそれは褒められたレベルにないのも事実だ。
ただし、中古車市場におけるEVにおいては、メーカー希望小売価格から各種補助金を引いた金額が、実質的な新車価格として判断されがちで、そこから年式や距離によって相場が形成されることになる。そのため、メーカー希望小売価格だけでみると、実際以上にリセールバリューが悪いように見える部分もあるのだ。
いずれにしても、本質的なリセールバリューには市場ニーズも大きく影響するわけで、現時点で「EVのリセールバリューがどうだ!」と断言するのは難しいといえるのではないだろうか。
6)EVはエンジン車より維持費は安い
一般的に、クルマの維持費(ランニングコスト)を構成する要素として『燃料代(EVの場合は電気代・充電使用料)・各種税金や保険・メンテナンスコスト』の3つが挙げられる。
いまのところ、自動車税については、登録車EVは1リッター以下と同等扱いになっているほか、そもそも免税されている期間があるなど維持費の面では有利だ。メンテナンスにおいても、EVはエンジンオイルの交換が不要となっていることでランニングコストが下がっているのはいうまでもないだろう。
ランニングコストにおいて気になるのは、エンジン車の燃料代とEVの電気代の比較となるが、はっきりいえば、この計算は非常に難しい。最大の要因は、EVの充電コストがケースバイケースで大きく異なる点にある。すべての走行を基礎充電で行った場合と急速充電を使ったケースで試算するにしても、現時点では急速充電は時間単位での課金であり、急速充電器の性能によって時間あたりで充電できる電力量は変わってくる。また、前述したようにバッテリーや気温といったコンディションによっても充電性能は変化するからだ。
とはいえ、いわゆるガソリン税のような重い税負担が、家庭での電力消費にはかかっていないため、基礎充電をメインに運用すれば、EVのランニングコストはエンジン車より低くなる傾向にあるといえるだろう。
まとめると、巷間流れているウワサの多くは事実を含んでいる。ただし、さまざまなモデルが登場してきている昨今において「EV」という主語は大きすぎるキライもあるといえるのではないだろうか。とくに気温と充電性能の関係については、最新モデルになるほど影響が小さくなっている傾向にある。
ウワサは事実無根とはいわないが、本気でEVを狙っているのならば個別の性能や評判をチェックするほうが建設的といえそうだ。