航続距離はCLTC基準で630km
ここからは、ベンチマークに設定されているタイカンやモデルS Plaidなどと比較して、どれほどの性能やコスト競争力を実現できているのかを確認しましょう。まず初めにEV性能について、SU7 UltraはCLTC基準で630kmと実用的な航続距離を確保。電費性能も16.5kWh/100kmとモデルS Plaidよりも優れています。さらに充電性能はSU7 Ultraが480kWの最高出力によって11分で充電できるのに対して、モデルSは250kWで28分、タイカンも320kWで18分とSU7 UltraのEV性能が頭ひとつ抜けています。
そして、動力性能について、SU7 Ultraが1139kW、1770Nm、0-100km/h加速1.98秒、最高速度350km/hであるのに対して、モデルS Plaidは750kW、1424Nm、0-100km/h加速2.1秒、最高速度322km/hと、すべての観点でUltraの後塵を排しています。さらに、タイカンターボGTのヴァイザッハパッケージでも、760kW、1240Nm、0-100km/h加速2秒、最高速度305km/hと、やはりUltraには敵いません。
※ポルシェ・タイカンターボGT
さらに、ブレーキ性能も、SU7 Ultraの制動距離が30.8mであるのに対して、ターボGTはおよそ32mとUltraが一歩リード。とくにUltraにはタイカンターボGTと同様にカーボンセラミックブレーキを採用。フロント側には430mmのローターと6ピストンの曙製ブレーキキャリパーを搭載しています。
ただし、今回のSU7 Ultraにおける最大の弱点が車両重量でしょう。発表会において車両重量は2.4トンを超えないとアナウンスされたものの、Plaidは2183kg、ヴァイザッハも2220kgと車両重量が軽いです。この車両重量という側面はサーキット走行において絶大な影響を及ぼすことから、市販車バージョンのUltraがニュルでどれほどのタイムを達成することができるのか。とくにタイカンターボGTヴァイザッハが2024年1月に記録していた7分7秒55というタイムにどこまで迫ることができるのかに注目です。
そして、値段設定について、今回シャオミが明確に競合として設定してきたのがモデルS Plaidです。ズバリPlaid とまったく同じく81.49万元という値段設定を発表。他方でPlaidはオプションでトラックパッケージを購入する必要があり、ミシュランパイロットスポーツ4S専用タイヤも含めると96万元オーバーと、この段階でUltraよりも日本円で300万円ほど高額となってしまいます。
その上で、SU7 Ultraではカーボンセラミクブレーキや大型リヤウイング、電動リヤディフューザー、シャオミのハイエンドADASであるXiaomi Pilot Maxをすべて標準搭載。Xiaomi Pilot Maxは、Nvidia Drive Orin Xプロセッサーをふたつ搭載しながらLiDARも装着することで、市街地NOAと自動駐車機能に対応しています。
それに対してPlaidの場合は、日本円で130万円ほどの完全自動運転オプションを購入しなければならず、これらの装備内容を正確に比較すると、SU7 Ultraのコスト競争力の高さが見て取れるでしょう。
いずれにしても、正式発売がスタートする2025年3月以降、Ultraの登場でシャオミのプレゼンスがさらに高まることに期待できそうです。とくに市販車バージョンがニュルにおいてどのようなタイムを達成できるのか、シャオミの動向からは目が離せません。