コラム
share:

スペック上はポルシェ・タイカンターボもテスラ・モデルSも凌駕! シャオミSU7 Ultraは世界最強の4ドアEVとなるか?


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
TAG:

プロトタイプはニュルで4ドア車最速タイムを達成!

中国シャオミからSU7のハイパフォーマンスグレード「Ultra」が正式発表されました。最高出力1139kW、0-100km/h加速が1.98秒、最高速度350km/h、そしてプロトタイプはニュルで4ドア車最速タイムを達成するなど、超高性能なスペックを解説します。

まず、シャオミは2021年中にもEV事業への参入を正式に表明して、ようやく2024年3月29日に、初の量産EVとなる中大型セダンのSU7の正式発売をスタート。4月頭から中国全土で納車をスタートして、現在急速に規模を拡大中です。最新の10月度の納車台数は月間2万台の大台に達したと発表されています。

グラフ

そして、このシャオミの発売するSU7は、現在3グレード展開です。最上級グレードのMaxでは、最高出力495kWを発揮し、0-100km/h加速も2.78秒、最高速度も時速265kmに到達するという高性能仕様です。他方で、そのSU7の発表会において、Maxがベンチマークとして設定していたのはポルシェ・タイカンターボとテスラ・モデル3パフォーマンスでした。よってシャオミが、タイカンターボGTやモデルS Plaidをベンチマークに据える、真の最上級グレード「Ultra」を追加設定してくるのではないかと噂されていたわけです。

SU7 Ultraのスペック

※シャオミはSU7 Maxのベンチマークにタイカンターボを設定。

そして、シャオミはUltraグレードの存在を発表し、ひと足さきにプロトタイプとして、おもにサーキット走行に特化したレース車両をお披露目していました。そして今回、そのUltra Prototypeを使用して、ニュルブルクリンクの北コースにおけるラップタイムの更新にチャレンジしました。なんと結果は6分46秒874という、4ドア車最速のタイムを達成することに成功したわけです。

SU7 Ultraのサーキットタイム

そして、そのプロトタイプの市販車バージョンである「SU7 Ultra」の発表会が開催されました。プロトタイプでは公道を走行させることができませんが、サーキット走行にも耐えながら、日常の足としての使い勝手を両立する市販車バージョンとして開発されています。

そのスペックでまず注目するべきは、シャオミの独自内製最新モーターであり、最高回転数が2万7200rpmを実現する「V8s」をリヤ側にふたつ。さらに最高回転数が2万1000rpmを実現し、すでにMaxグレードに採用されているV6sをフロントに搭載するトライモーター仕様によって、その最高出力は1548馬力、最大トルクも1770Nmを実現。よって0-100kmh加速は、ワンフットロールアウトを差し引いて1.98秒と驚異的な加速力です。

さらに200km/hまで5.86秒、400mを9.23秒で加速することが可能。最速速度も350km/hと、スーパーカーを凌ぐ動力性能です。

SU7 Ultraのスペック

次に、EVのサーキット走行においてもっとも大きなボトルネックとなるバッテリー性能について、Maxでも搭載されているCATL製のQilinバッテリーの最新世代として、Qilinバッテリー2.0を世界初採用しました。冷却性能をさらに高めながら、電圧を引き上げることによって最大放電Cレートは16C、最大1330Wに到達。また、SOC20%の段階でも800kWもの出力を発揮可能。充電性能もCレートで5.2C、最大480kWの超急速充電に対応して、SOC10-80%を11分で充電可能です。今回のUltraでは93.7kWhの三元系バッテリーを採用することで最大電圧が897Vを実現しています。

SU7 Ultraの発表会のようす

そして、サーキット走行における熱対策という点で、45ccコンプレッサー、400Wの冷却ファンをふたつ、530Wのウォーターポンプ、そして28kWのパワーを有するパワートレイン冷却システムを合わせることで冷却性能を飛躍的に向上。よってニュルの連続走行においても熱ダレすることなく走破できると主張しています。

SU7 Ultraの発表会のようす

また、サーキット走行では加速力だけではなく制動力も重要です。Ultraには曙製のカーボンセラミックブレーキを採用することで100km/hからの制動距離も30.8メートルを実現しながら、180km/hからの急停止を10回繰り返したとしてもブレーキがフェードすることがないとアピールしています。EVにおいて有利となる摩擦ブレーキの消費を抑える回生ブレーキも、最大減速Gが0.6Gに到達し、400kWもの回生力を備えています。

SU7 Ultraの発表会のようす

さらに、ハイパフォーマンスEVとして、加速減速の際の専用の擬似エンジン音を採用。車外にも擬似エンジン音を流せるように40Wもの外部スピーカーを搭載。その上、サーキット走行の様子をさまざまに確認・記録できるように、中国国内の20ものサーキットと連携して、そのサーキット走行における走行状況を同期。サーキット走行時の走行データ、さらにはサラウンドカメラを活用して、走行映像も録画可能です。何といってもそれらの走行データや映像を解析しながら、それ以外のUltraオーナーのサーキット走行データと共有して比較することも可能となります。

SU7 Ultraの発表会のようす

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
メルセデスから新型EQS登場! さらなる装備の充実とバッテリー大型化でEV航続距離最長モデルへ進化
電動化してもベントレーブランドは揺るがない! 新経営戦略「ビヨンド100+」を発表
20ページの短編小説は必見! 「フィアット×ルパン三世」コラボ第3弾が登場
more
コラム
スペック上はポルシェ・タイカンターボもテスラ・モデルSも凌駕! シャオミSU7 Ultraは世界最強の4ドアEVとなるか?
気になったら迷わず買ってよし! キャブイジリまでしていた生粋のエンジン車好きがEVにどハマリしたワケ
もっとも長く走れるモデルは東京から青森までノンストップ! いま日本で買える航続距離が長い電気自動車TOP10
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択