MX-30 Rotary-EVはレンジエクステンダーEVではない
こうしたレンジエクステンダーEVの条件は、「日常の近距離ユースはEV走行、休日に長距離ドライブするときはハイブリッドカーとして活用したい」というプラグインハイブリッドを求めるユーザーニーズとは相いれない部分もあります。しかも、レンジエクステンダーEVの条件を満たすことで税制や補助金などで有利という政策をとっている国や地域はほとんどないといえます。
あえて限定的なレンジエクステンダーEVの条件を満たすクルマづくりをする必要はなく、外部充電対応のそこそこ大きなバッテリーとおもに発電に使うエンジンを積むのであれば、プラグインハイブリッドにしたほうが商品力を高めることができるのが現状です。というわけで、レンジエクステンダーEVというカテゴリーは実質的に消滅したといえます。
ただし、基本的にはバッテリーで走り、航続距離を伸ばすために発電用エンジンを積む、というアプローチが過去のものになったわけではありません。
ロータリーエンジンを復活させたことで話題となったマツダMX-30 Rotary-EVは、基本的にはEVとして走り、充電量が減ったときにシングルローターエンジンを動かして発電、その電力で走行するというメカニズムになっています。
もっともMX-30 Rotary-EVの場合、バッテリー総電力量は17.8kWhとなっているのに対して、燃料タンク容量は50リットルもあります。WLTCモードでの航続距離はEV状態で107km、ハイブリッド状態で770kmと圧倒的にエンジンで走れるレンジが長くなっています。上記で紹介した「エンジンで走行できる距離はバッテリーの走行距離以下でなければならない」という条件を満たさないため、レンジエクステンダーEVとは呼べないのです。
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