コラム
share:

マツダ「MX-30 Rotary-EV」が日本市場に登場!他に類のない「マツダらしい」技術が満載


TEXT:桃田 健史 PHOTO:桃田 健史
TAG:
マツダ「MX-30 Rotary-EV」。広島市内で筆者撮影

マツダが新型「MX-30 Rotary-EV」の国内予約販売を2023年9月14日から始めた。発売は2023年11月初旬を予定している。マツダの真骨頂であるロータリーエンジンを発電機として使うシリーズハイブリッド車であり、プラグインハイブリッドでもある。今回、その実車に触れてみた。

ロータリーエンジンが復活

マツダのロータリーエンジンがついに復活した。

搭載するのは、SUV「MX-30 」をベースとした「MX-30 Rotary-EV」だ。ただし、ロータリーエンジンそのものによって駆動するのではない。

ロータリーエンジンを発電機として使う、シリーズハイブリッド車である。

シリーズハイブリッド車といえば、日本車では日産「e-POWER」やダイハツ「e-SMART HYBRID」がある。これは、ガソリンエンジンを発電機として使い、駆動はモーターで行う。

これらに対して、ロータリーエンジンのメリットはエンジン本体のコンパクトさだ。

MX-30 Rotary-EVが搭載するのは、新規開発したロータリーエンジン「8C」。

シングルローターで排気量は830cc、また最高出力は53kWである。

この「8C」を車体前部に搭載する高出力モーター(最高出力125kW)と薄型高出力ジェネレーターと同軸で結ぶ構造とした。

e-SKYACTIV R-EVの実力

新型「8C」と「13B」の比較展示。筆者撮影

「8C」では低燃費と低エミッション化を追求した。

まず、ガソリン燃料による混合気を点火プラグ近くに均一に分布させ、効率的な燃焼を実現した。また、微細化したガソリン燃料を低温時でも十分に気化させることで、余分な燃料噴射を抑制した。

また、燃料室の形状も最適化した。燃焼室内での高い流動性を持たせて急速かつ効率的な燃料を実現した。

こうした燃料に係わる技術は、マツダが2010年代前半から市場導入してきた、SKYACTIV技術によるガソリンエンジンやディーゼルエンジンで研究開発を進めてきた。今回登場した「8C」はまさに、新時代ロータリーエンジンである。

プラグインハイブリッドという選択

「MX-30 Rotary-EV」の、もうひとつの特長が、プラグインハイブリッドであることだ。

通常、シリーズハイブリッドであり、かつプラグインハイブリッドである事例はこれまでの自動車産業界においてコンセプトモデルを含めて極めて珍しい。

そもそも、「MX-30」日本仕様にはマイルドハイブリッドとBEVがすでに販売されている。

そこに、同じ車体でプラグインハイブリッドを投入するのだ。

充電方法は、交流による普通充電では、出力6kWで満充電まで約1時間50分。また、CHAdeMO規格の直流による急速充電にも対応する。充電器の出力が40kW以上の場合、満充電まで約25分とした。いずれも、SOC(ステート・オブ・チャージ)は20~80%を想定。

外部給電も可能でV2L(ヴィークル・トゥ・ロード)やV2H(ヴィークル・トゥ・ホーム)に対応する。

「MX-30 Rotary-EV」のパワーユニット。筆者撮影

搭載するバッテリー量は17.8kWh。これで最大107kmをBEVで航続できる。

また、電池モジュールの高密度に搭載したことに加えて、冷却装置を薄型化したことで電池パックの厚みを抑制した。

燃料タンクは、無鉛ガソリン50リットルとした。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
「マルチポートEVチャージャ」(photo=日立インダストリアルプロダクツ)
日立が発売「魔法のようなマルチ充電器」1基で数十台の充電に対応が可能、出力も自在[2023.10.02]
バッテリキューブ(photo=日立製作所)
トレーラー型の緊急用バッテリー登場……三菱・日立、使用済みバッテリーの再活用を事業化へ[2023.09.29]
WeCharge(photo=ユビ電)
充電料金を“普通の払い方”に……ユビ電、「WeCharge」にkWh単位の課金方式を導入[2023.09.28]
more
ニュース
ヒョンデ、新型電気自動車「コナ」の予約受付を開始、予定価格は税込400万円から
BYDの新型EV「ドルフィン」は363万円から。補助金で200万円台も可能
大型トラックのEV化進む。メルセデスが航続距離500kmの「eアクトロス600」を発表
more
コラム
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回
トヨタの全固体電池量産に向けた技術進化を実感。“夢の電池”ではなく、量産目前の現実味が。
ギガキャストの試作品(写真右)。プレス工程と溶接工程を必要とする従来品(写真左)と比べて工程数は一気に減る。出典:トヨタ
トヨタ「ギガキャスト」の正体を初公開の明知工場で見た。これからのクルマ作りには必須技術か
more
インタビュー
電気自動車で自由に旅できる世界を目指して。シュルーターさんと「ID.BUZZ」の旅物語
ボルボ「EX30」は「脱炭素」をキーワードにインテリアの“プレミアム”を再定義する
フォルクスワーゲン「ID.BUZZ」は人や荷物だけでなく笑顔もはこぶクルマ
more
試乗
“EVセダン”の決定版か!? 新型BMW「5シリーズ」セダンの電気自動車「i5」に試乗した
ホンダのEV「e:NP1」はマイルドにもスポーティにもなる走り!来年からの新型車にも注目
中国でもホンダイズムは健在!電気自動車としても進化している「e:NP1」のインテリアとは
more
イベント
自動車部品&輸入販売の超・老舗とBYDがコラボ、東京・品川に新ディーラーをオープン
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=日本EVクラブ)
今年の最長距離の参加者は⁉︎……「ジャパンEVラリー白馬2023」は充電計画も愉しい
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=福田 雅敏)
ぶっちゃけトークの夜がやっぱり本番⁉︎……72台のEVが集まった「ジャパンEVラリー白馬」
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択