ハイエンドモデルと同様のADASを採用
そして、この新型シールでもっとも重要なアップデート内容が、自動運転システムの刷新という点です。シールには正面ルーフ部分にLiDARが追加されながら、BYDのハイエンド自動運転システムDiPilot 300を採用。これは、現在Denza N7やYangwang U8など、ごく限られたハイエンドモデルにしか採用されていない、現状のBYDの最高峰ADASです。
通称God’s Eyeと名付けられたこの自動運転システムは、高速道路上だけでなく、市街地における信号や右左折、交差点への対応、障害物の回避挙動など、あらゆるシチュエーションをカバー可能なADASです。
じつはシールのSUVバージョンであるSea Lion 07にはDiPilot 100を採用。これは高速道路上における追い越しや分岐、障害物の回避挙動などにしか対応することができません。よってシールでは、シャオミSU7やZeekr 007などの市街地NOAを採用するプレミアムEVと張り合おうとしてきているわけです。
実際に、それらの主要な競合車種となり得る、シャオミSU7、テスラ・モデル3、Zeekr 007、Luxeed S7とのEV性能を比較してみると、650kmもの航続距離、230kWもの超急速充電、ゼロヒャク5.9秒、最高速240kmもの動力性能を踏まえると、これらの競合に劣らない性能を実現しているように見えます。
また、標準装備内容を徹底的に比較してみると、今回の新型シールは15.6インチのタッチスクリーンとともに、ヘッドアップディスプレイ、そのインフォテインメントシステムを駆動するのが、プロセスノード6nmのSoCを採用する最新のDi Link 100。セントリーモードを追加実装。さらに助手席側にもランバーサポートを追加。
静粛性向上のために、リヤにも2重ガラスが採用されたことで全面2重ガラス化を実現。ガラスルーフには旧モデルと同じくオプション設定で調光機能を搭載可能で、さらにフレグランス機能を追加実装。
そしてDiPilot 300を採用することで、高速道路だけでなく、市街地におけるNOAにも対応。これはたとえばテスラ・モデル3では130万円級のオプション設定です。
そして、乗り心地のさらなる改善のために、BYDの独自内製電子制御サスペンションシステム、Disus-Cを採用。いずれにしても競合のEVセダンと比較して、あらゆる観点で飛躍的に完成度を高めてきている様子が見て取れるでしょう。
このように、今回BYDがシールのフルモデルチェンジを行い、シールの弱点とされていた充電性能、装備内容を改善したことで、競争力が増したことは間違いありません。果たして、BYDがいまだに苦戦を続けるプレミアムセグメントでどれほどの販売台数を実現できるのか。シールの販売台数の行方には注目です。
そして、我々にとってもっとも気になるのは、この新型シールが日本市場にいつやってくるのかという点です。これはおそらく2025年末ごろになるのではないかと推測します。
というのも、まず日本国内に導入されるのはSea Lion 07の方でしょう。すでに公道でのテスト走行の様子も目撃されていることから、個人的には2025年早々の導入になるのではないかと推測しています。
なんといっても、日本ではようやくシールの納車がスタートしたばかりであることからも、少なくとも1年以上は、新型シールが導入される可能性は低いと推測可能でしょう。
いずれにしても、この新型シールを待つのか。それとも現行シールを割安な値段設定で購入するのか。スペックと導入時期、値段を総合して判断するのがベターでしょう。