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電気で走るいすゞの路線バスが誕生……「エルガEV」をサプライズでワールドプレミア[2023.10.26]


TEXT:福田 雅敏/ABT werke PHOTO:福田 雅敏/ABT werke
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いすゞ・エルガEV(photo=ABT werke)

ZFの電動アクスルを採用し後部までフルフラットの室内を実現
海外のEVバスと遜色のない高い完成度の予感

【THE 視点】いすゞ自動車は10月25日、「ジャパン・モビリティ・ショー2023」(JMS)において、新型のEVバス「エルガEV」を発表した。予告がなかっただけに、サプライズのワールドプレミアとなった。

長さ11,545×幅2,485×高さ3,330mmの大型路線バスで、乗車定員は最大80人。モーターの性能は125kW(170ps)×2/最大トルクは480Nm(49.0kgm)。バッテリーは全てフロントルーフに搭載され総容量は220kWhとなっている。普通充電・急速充電(CHAdeMO)を採用するが、充電時間や航続距離等は非公表。

車内は通路が後ろまで段差なしの低床のローフロア(LF)なのも特徴だ。LFの実現には、モーターが大きく関係していると考えられる。モーターメーカーは非公表だったが、リアアクスルにはZFと刻印されたことから、先に発売されている「エルフEV」と同様モーターもZFを採用したと思われる。しかも「AVE130」という型と出力が一致する2モーター仕様。メルセデス・ベンツのEVバスなどにも採用実績があるユニットだ。

このモーターの特徴は、左右のブレーキ・アクスルにモーターが組み込まれており、中央部分が出っ張りのない構造。このおかげで低床の段差がないローフロアが実現したわけだ。

バッテリーをルーフに搭載したこともローフロアと広々とした車内の実現に一役買っている。しかもこのバッテリーは水冷式を採用しているという。メーカーは非公表だが、「エルフEV」が韓国LG製を採用しているため踏襲したのだと推測する。

筆者は、先日ベルギーで行われたバスワールドに視察に行っているが、日本に戻り今回発表となった「エルガEV」をみて、海外製のEVバスと遜色ない作りだと感じた。いすゞがようやく国産EVバスを発表したことに嬉しさを感じた。

なお生産はいすゞと日野の合弁のバスメーカー「ジェイ・バス」が行なうという。もしかしたら、現行の路線バス同様に「日野・ブルーリボンEV」としてOEMデビューもあるかもしれない。

発売は2024年度中と発表されているが、価格は未定とのこと。早く試乗したいものである。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

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……富士吉田市・放課後児童クラブの小学生向けに「自動運転EVバスの乗車体験学習会」が開かれた。自動運転EVバスは、富士急行/富士急バス/ボードリーなどが共同で、10月21日(土)〜11月10日(金)まで小室浅間神社前〜下吉田駅間で実証運行中で、一般人も乗車が可能。

デイリーEVヘッドライン[2023.10.26]

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