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規格違いによる不具合をなくせ……東陽テクニカ、EV充電の実験・評価サービスを国内で開始[2023.09.26]


TEXT:福田 雅敏/ABT werke
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「EV充電評価サービス」(photo=東陽テクニカ)

自前の施設を用意することで世界中の規格を国内でスピーディに検証可能
乱立する充電規格によるトラブルの低減・解消に不可欠なサービス

【THE 視点】東陽テクニカは9月21日、テュフラインランドジャパンとともに「EV充電評価サービス」を開始したと発表した。

東陽テクニカのR&Dセンター(東京都江東区)に「EV充電テストラボ」を開設した。さまざまな充電規格に合わせて充電評価試験が可能だという。両社はこれまでも充電評価サービスを試験運用してきたが、ラボの開設を機に本格的なサービスに移行した。

「EV充電テストラボ」に、ドイツ・コメムソ社製のEV充電シミュレータなどを組み合わせた設備を整備した。複数の主要な充電規格に対応し、規格の更新や大容量化に適合した評価モードで測定ができる。さらに充電系/制御系/通信系の同期計測が可能。施設内のセキュリティも高度化し、開発中の車両でも人目につくことなく実験ができるとのこと。

評価サービスを東陽テクニカとともに行なうテュフラインランドジャパンは、第三者検査機関として本社のあるドイツをはじめヨーロッパ諸国、その他海外へ輸出される工業製品の安全試験・認証を提供している企業。日本においても担当省庁の許可・指定により国内向けの評価サービスを展開している。

今回のサービスは、東陽テクニカのラボで評価測定を行ない、テュフラインランドジャパンがその評価内容についてレポートを作成し提供するものとなる。

評価可能な範囲は、急速充電の「CCS Type1/Type2」「CHAdeMO」「GB/T27930」に加えて、普通AC充電の「IEC」「SAE」「GB/T」など。電源容量は、1,000V/500Aで、最高出力350kWに対応。コンフォーマンスとして「ISO 15118-4/-5」「DIN 70122」「CharIN test cases」「GB/T 3657.2」「GB/T 34658」などに適合している。

「EV充電テストラボ」を利用すれば、自動車メーカーなどは現地法人に頼ることなく国内で試験評価ができるようになるため、輸出仕様を製作する際に大きなメリットがある。もちろんコストも抑えることができるだろう。その逆も然りで、輸入EVが国内の急速充電を利用できないといったトラブルを減らすことができると思われる。東陽テクニカに加えてテュフラインランドジャパンがレポートを作成することでお墨付きとなるので、信頼性も高い。

EVの充電規格は、スマートフォンなどの電子機器の充電企画のように乱立気味なのが現状だ。それぞれの機関がそれぞれの思惑でビジネス展開をしているため、一気に統一することは難しいと思われる。

日本では「CHAdeMO」が主流だが、テスラ方式の「NACS」が日本に導入される動きもある。その両方を利用できるよう変換コネクタなども登場してくるだろうが、いずれにせよ正しく機能するか試験が必要になる。東陽テクニカが展開するようなサービスは、今後需要が増すものと思われる。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★ユビ電、従量課金方式の充電サービスを実装へ
……充電インフラ「WeCharge」において、kWh単位への課金方式を10月1日から開始する。同インフラを導入する建物や施設に特例計量器を設置することで正確な計量を行なうという。

★★ファミリーマート、秦野中井インター店に「テスラ・スーパーチャージャー」を設置
……神奈川県秦野市にある「秦野中井インター店」に、テスラの急速充電インフラ「スーパーチャージャー」を導入した。神奈川県内の店舗では初だという。設置台数は4基。埼玉県内ではすでに2店舗に導入している。

★★8月のEV世界販売台数は108.8万台
……調査会社のマークラインズが公表した。主要11カ国とノルウェー・スウェーデン・フィンランドを足した計14ヵ国の値。シェアは前月比2.0ポイント増の21.5%。販売首位はBYDで、右肩上がりの増加だという。

★★ルノー・トラックス、商用バン「E-テック・トラフィック」を欧州で発表
……都市部での配送に特化させたミディアムセグメントのEVバンとなる。最高出力90kW(122ps)/最大トルク245Nm(24.9kgm)で、航続距離は297km(WLTP値)。様々な荷室容量のバージョンを用意し用途に合わせた選択が可能だ。

★住友金属鉱山、正極材開発企業に出資
……リチウムイオン・バッテリーの正極材の製造技術を開発するカナダのナノ・ワン・マテリアルズ・コーポレーションに出資し共同開発を行なう。出資額は1,690カナダドル(約19億円)。バッテリー材料企業への投資は初だという。

★三菱自動車、PHEVの再利用バッテリーを電源化
……「アウトランダーPHEV」の使用済みバッテリーを集めてトレーラー型の移動式蓄電池「バッテリーキューブ」を作成。日立ビルシステムのV2Xに接続し、エレベーターを稼働させる共同実証実験を開始した。

★MINI、新型SUV「カントリーマン」がアメリカで初公開
……MINIが設立したスタートアップ育成プログラム「URBAN-X」の主催イベントで公開された。

★日産、福島県喜多方市と地元企業とEVの活用で提携
……「日本電動化アクション ブルー・スイッチ」施策の一環。喜多方市や同市内に拠点を持つマツモトプレジションの公用・社用車のEV導入を支援し、災害時の活用なども共創する。

★日産、音楽ユニットの「ゆず」とコラボした「サクラ」を展示
……横浜市みなとみらい地区にオープンする大型音楽アリーナ「Kアリーナ横浜」において「ゆず」が開催するこけらおどし公演を記念して作成した特別ラッピングカー「ゆずサクラ」を展示する。日産グローバル本社ギャラリー<横浜市西区>で9月29日(金)〜11月30日(木)まで。

★九州で初の半導体専門展示会が開催
……「第1回[九州]半導体産業展」が、「マリンメッセ」<福岡市博多区>で9月25日(水)・26日(木)に開催される。経済産業省ほか九州の各県が後援となっている。

デイリーEVヘッドライン[2023.09.26]

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