2023年8月
TEXT:TET 編集部
元F1ドライバーのジェンソン・バトンが発注。世界に1台の「ロータス エヴァイヤ」は何もかも弩級だった

英ロータスは電動ハイパーカー「エヴァイヤ」の特注モデルを、米国カリフォルニア州モントレーで開催された「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」において世界初公開した。この車両はオーナーのために特別に作られた1台。そのオーナーというのは、元F1世界チャンピオンのジェンソン・バトン氏だ。 F1チャンピオンにふさわしい特別な仕立て 公開された「エヴァイヤ」は、ジェンソン・バトン氏の完全なオーダーメイド。バトン氏がロータスの社内デザインチームとコミュニケーションを重ねながら決めたという内外装は、彼の輝かしいキャリアを象徴するエクスクルーシブな仕上げとなっている。 エクステリアカラーは、2009年のF1グランプリで優勝したブラウンGPのマシンを彷彿とさせるアークテック・ホワイトにペイントされ、アクセントカラーとしてグリーンにも見えるヴァーヴ・イエローとカーボン・ブラックが入れられている。 足元はマット・ブラック・ハイライトが施されたグロス・ブラックのアルミホイールで引き締められ、内部にはボディのアクセントカラーであるヴァーヴ・イエローのブレーキキャリパーが収まる。もちろん、ホイールの締結はレーシーなセンターロック式で、ナットはモータスポーツにインスパイアされたアルマイト仕上げのシルバー。また、展開式のドアミラーカバーにはゼッケン番号「22」があしらわれている。 インテリアも、ロータスが顧客に提供可能なカスタマイズの一例として、バトンの華麗なレース遍歴を象徴する仕様とされている。シートセンターを縦に貫くアルミニウムの帯にはF1で挙げた15勝すべてのレース開催日と場所がレーザー刻印された。もちろん、これらの2006年から2012年までの勝利の中には、2009年のシーズンチャンピオン獲得に貢献した6勝も含まれる。 また、シートはホワイトとブラックのパンチングレザーで覆われ、ルーフとステアリングホイールはブラックのアルカンターラ仕上げとなる。コントラストステッチにはボディと同系統のライムイエローを採用。ペダル、センターコンソールのロータリースイッチ、スタート/ストップボタン、ステアリングホイールのモードスイッチ、エアベントの周囲にも同色の差し色が施されている。 バトンはこうしたディテールについて「ロータスのチームは、僕たちが一緒に夢見たデザイン案を実現するために素晴らしい仕事をしてくれた」とコメントを残している。 >>>次ページ 最高出力2000ps オーバーを達成

TAG: #エヴァイヤ #スーパースポーツ #発売前モデル
TEXT:烏山 大輔
ボルボ、「EX30」を発表!272ps、559万円のRWDから発売開始。立体駐車場に入る全高1,550mm

ボルボ・カー・ジャパンは、8月24日に3番目のBEV(バッテリー電気自動車)となる「EX30」を発表した。月額95,000円のサブスクリプションは10月2日から受付、通常販売は11月中旬より開始予定。年内の納車開始を予定している。 AWDモデルはおあずけ これまでTHE EV TIMESでも注目してきたEX30がついに日本で発表された。SUVのボディスタイルにもかかわらず、全高が1,550mm、全幅も1,835mmに抑えられたため、都市部に多い立体駐車場にも入る大きさだ。全長も4,235mmなので狭い道での取り回しも良さそうだ。 この1,550mmの全高は日本市場用に調整や“車高短化”されたわけではなく、もともとのサイズ。日本の担当者も「まさに日本のためのサイズ!」と胸をはっていた。 EX30には、ボルボ史上最速である0-100km/h加速3.6秒のAWDモデルもあり、注目していたが、このタイミングでの日本導入には至らなかった。関係者に聞くと「今後の展開を楽しみにしてください」とのことなので、いずれ日本にも入ってくることは間違いなさそうだ。 最初に日本導入されるのはRWDの中でも航続距離が480km(欧州参考値)と長い、エクステンデッドレンジバッテリーモデルだ。このモデルのバッテリー総容量は69kWhで、最大153kWの急速充電に対応しており、26分で10%から80%まで充電できる。 本国のウェブサイトを確認すると、バッテリーが51kWhのモデルもあるので、よりリーズナブルであろう「ノーマルバッテリー」モデルの導入があるのか、今後の発表を待ちたい。 2ヶ月で2,000台の意欲的な受注目標 10月2日から受付が始まるサブスクリプションは、300台限定で用意される。その内訳はモスイエローのボディカラーが100台、10月16日から受付開始となるクラウドブルーが200台だ。 サブスクリプションは、申込金や頭金が不要で、任意保険や諸費用も含まれ、最長24ヶ月の契約期間となる。3ヶ月前からの申し出で、ペナルティ無しでの解約も可能だ。ライバル車にあったように、年数が固定のリースではないところが、契約のハードルを下げることにつながるだろう。 通常の販売も11月中旬から開始予定だ。「オンラインで入手可能」だった「XC40 Recharge」と「C40 Recharge」とは異なり、ディーラーでじっくり実車を確認し、内外装カラーやオプションなどを営業マンと相談したいユーザーにとってはありがたい。 このような販売方法により、ボルボ・カー・ジャパンは、サブスクリプションの300台を含め、年内に2,000台の受注目標を掲げた。 昨年1年間に日本で新車販売されたBEVが約31,000台(軽自動車は除く、普通乗用車のみ)だったことを考えると、もし仮にこのペースで1年間販売できるとすれば、3台に1台がEX30になってしまうのだからすごい。 国や自治体の補助金を使えば、車両本体への支払額が400万円台に抑えられる559万円という価格、フレキシブルでハードルの低いサブスクリプション、日本に適したサイズも相まって、どこまでEX30が人気を呼ぶかに注目だ。 ボルボ EX30 Ultra Single Motor Extended Range 全長:4,235mm 全幅:1,835mm 全高:1,550mm ホイールベース:2,650mm 車両重量:1,790kg 乗車定員:5名 一充電走行距離:480km(欧州参考値) 最高出力:200kW(272ps)/6,500-8,000rpm 最大トルク:343Nm(35.0kgm)/0-4,500rpm バッテリー総電力量:69kWh モーター数:後1基 トランスミッション:1速固定 駆動方式:RWD フロントサスペンション:マクファーソンストラット リアサスペンション:マルチリンク フロントブレーキ:ディスクブレーキ リアブレーキ:ディスクブレーキ タイヤサイズ:前後245/45R19 最小回転半径:5.4m 荷室容量:318L 車両本体価格:5,590,000円

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
出光の再生可能エネルギー施策のイメージ図(photo=出光興産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
出光が一般家庭から太陽光電力を買取り……さいたま市と共同実施、余剰電力をEVの充電に活用[2023.08.24]

電力地産地消のうえに提供側にお金を還元する好循環 太陽光発電設備の設置義務化なら導入費用相殺につながる施策を検討せよ 【THE 視点】出光興産とさいたま市は8月9日、市内の一般家庭が設置している太陽光発電の余剰電力を買い取ると発表した。 出光とさいたま市は、「ゼロカーボンシティ実現に向けた共創推進に関する連携協定」を締結している。その協定のもと、市内一般家庭の太陽光の余剰電力を「idemitsuでんき」を介して買い取り、10月から市内の公共施設と出光のステーション「セルフ浦和中尾SS」に使用する。 「セルフ浦和中尾SS」では、今年7月にEV用急速充電器を設置し再生可能エネルギーの電力を使用している。太陽光発電設備、蓄電池およびエネルギーマネジメントシステムも導入済みだ。 この協定により実現する再生可能エネルギー施策のフローは以下となる。 1……「idemitsuでんき」が市内の一般家庭の太陽光発電の余剰電力を買い取るとともに、出光グループの「ソーラーフロンティア」が太陽光発電システムのメンテナンスや機器交換などに対応。 2……買い取った太陽光の余剰電力を、「idemitsuでんき」の再生可能エネルギー電力「グリーンプラス(CO2フリー)」として、さいたま市の公共施設と「セルフ浦和中尾SS」に供給。 3……「セルフ浦和中尾SS」にて、EV用急速充電サービスに使用。 4……「セルフ浦和中尾SS」の太陽光発電システムの電力をSS内で使用。同時に余剰電力を蓄電池に充電し、電力逼迫時に放電するエネルギーマネジメントを行なう。 この出光の取り組みは、「VPP」(バーチャルパワープラント:仮想発電所)の一例ともいえる。電気の地産地消とEVを組み合わせた新しい取り組みの良い例ではないだろうか。 東京都などでは、太陽光発電設備の新築への導入が義務付けられるが、余剰電力をどうするかまでは議論が進んでいないように思われる。余剰電力の取り扱いは、すでに全国で問題になり始めている。 余剰電力をEVに活用することは良い施策だと思う。定置型の蓄電池と組み合わせれば、夏場の電力ピーク時などでも安定してグリーン電力をEVに供給できる。なにより、電力の買い取り先があることは、太陽光発電を導入した一般家庭にとって大きなメリットになると言えよう。 「卒FIT(固定価格での買取期間<住宅用太陽光発電の場合10年間>)だけでは、導入コストを回収することは無理」だと、知人が新築の際に住宅メーカーの担当者から実際に言われたと聞いている。導入を義務化するなら、補助金だけではなくそのコストやメンテナンス費などが帳消しになるような長期的な施策も考案すべきである。 出光とさいたま市のこの施策は、それらの問題の解消につながる新しい取り組みと言えよう。今後他の地域でも増えることを期待する。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、新世代のEVモデル「ノイエ・クラッセ」「MINIクーパー」「CE 02」をワールドプレミアへ……「IAAモビリティ 2023」<ドイツ・ミュンヘン/9月5日>にて ★★ベルエナジー、EV用のポータブル急速充電器「Roadie V2」のレンタル事業を開始……9月1日より開始(料金は要相談)、オプションとしてテスラ車用のアダプターも用意 ★★エネチェンジ、EV向けのワイヤレス充電の実証実験開始の意向……出資しているワイトリシティと協業し普及を推進 ★東北大学、車体自体をバッテリー化できる素材を開発……3Dプリンタを活用した3次元構造のカーボン材料、車体フレームにエネルギーの貯蔵が可能に ★フォルクスワーゲン、「フォルクスワーゲン浜松西」および「浜松」の各店舗にてCO2排出量実質ゼロ運用を開始……EVの充電にもCO2排出ゼロの電力を使用 ★J.D.パワー、新車購入予定者(1年以内)を対象にEVの購入意向や意向者像を初調査……12月に結果を発表 ★ヨネ、EVを被せて消化する消防用品「超耐熱ファイヤーブランケット」を「ラリージャパン2023」の機材として納入……消化困難なバッテリー由来の火災に対応[詳細はこちら<click>] ★新電元、二輪EV向けのパワーコントロールユニット「DU012」をインドにて量産開始……バッテリー電圧/車速/モーターの回転数などをリアルタイムで検出・制御 ★バッテリーセルメーカーのノースボルト、12億ドル(約1,750億円)を新たに資金調達……ヨーロッパと北米でのプロジェクトを拡大 ★大平洋金属とマイクロ波科学、マイクロ波を利用したニッケル精錬技術を共同開発へ……EVに使用するリチウムイオン・バッテリーの材料、製造時のCO2排出を抑制 ★クレハ、「フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)」の生産設備を増強……リチウムイオン・バッテリーのバインダー素材 ★エナリス、容量市場(発電指令電源)参加企業を募集……V2H機器を持つ事業者も対象、電力供出時に報酬が発生 ★日産、「エコ1チャレンジカップ2023〜中・高校生による手作り電気自動車コンテスト〜」を開催……「東急自動車学校」<東京都多摩市/8月26日(土)>にて ★日産、鳥取県境港市とEV活用の包括連携協定を締結……日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」施策、公用EVの段階的な導入などを支援 デイリーEVヘッドライン[2023.08.24]

TAG: #THE視点 #充電インフラ #再生可能エネルギー
Terra Chargeに関する出展。日本自動車輸入組合(JAIA)・輸入電動車普及促進イベント in 大阪にて筆者撮影
TEXT:桃田 健史
BEVインフラで「テラチャージ」躍進!自治体向け、法人向け、新築マンション向けなど、各種事業を続々導入

独自の電動化ビジネスを国内外で展開する、Terra Motorsが手がける充電インフラサービス「Terra Charge(テラチャージ)」の事業が徐々に拡大している。様々な事業者や地方公共団体等に向けたパッケージを提供。その概要について同社資料を基に紹介する。 国のGX政策が後押し 近年、日本国内の事業者や地方公共団体などで、BEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)向けの充電インフラへの関心が高まっている。 背景にあるのは、菅政権が立ち上げた「グリーン成長戦略」だ。岸田政権では、それを継承しGX(グリーントランスフォーメーション)という枠組みとし、近い将来に日本での新規ビジネスの創造を加速させたい考えだ。 こうしたGX事業については、欧州連合(EU)、アメリカ、そして中国など、世界の主要国がESG投資を拡大することを目的として、BEV普及とそれに伴う充電インフラ整備を加速させているところだ。ESG投資とは、従来のような財務情報だけではなく、環境、ソーシャル(社会性)、ガバナンス(企業統治)を重視した投資のこと。 こうした時代の流れを受けて、これまで日本国内で電動バイク、また南アジアで電動リキシャ(小型電動タクシー)、そして事業用ドローンサービスなどを手がけてきた、Terra Motors(本社:東京都港区/代表取締役:徳重徹氏)はBEV充電インフラサービス事業「Terra Charge」を2022年4月から開始した。

TAG: #テラチャージ #テラモーターズ #充電インフラ
TEXT:生方 聡
続・お得な充電カードを探せ [ID.4をチャージせよ!:その17]

ID.4 プロ・ローンチエディションの無料充電特典がまもなく終わるということで、次に加入する充電カードを再検討してみることにしました。 e-Mobility PowerとZESP3を比較 私が愛用するID.4 プロ・ローンチエディションには、「フォルクスワーゲン充電カード 普通・急速充電器併用プラン」(以下VW充電カード)の月会費、「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」の月会費、さらにフォルクスワーゲンディーラーでの60分までの急速充電がすべて1年間無料になる特典がついています。 このうち、VW充電カードは「e-Mobility Power」(以下e-MP)ネットワークの充電ステーションがカードをかざすだけで利用できるだけに、自宅に充電器のない私には頼みの綱ともいえるサービスです。ただ、無料特典がなくなる2023年12月以降は、VW充電カードは割高なうえに、2024年12月末でVW充電カードのサービス自体が終了することに。そこで、e-MPネットワークが利用できる充電カードのプランを、最新の情報をもとに比較してみることにしました。 比較するのは、e-MPが自前で用意している「急速・普通併用プラン」と、2023年9月に値上げが実施される「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム3(ZESP3)」。ここで注意しなければならないのが、ZESP3はこれまで日産車オーナー以外でも加入が可能でしたが、2023年9月からは日産車オーナーしか加入できなくなることです。

TAG: #ID.4 #VW
サポートマーケティングサービスが開発した「エネバイ」(photo=サポートマーケティングサービス)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
「オート三輪」がEVで堂々復活……「EVトゥクトゥク」を進化させた消防用具搬送車が登場[2023.08.23]

コンパクトな車幅により軽でも行けない場所にアクセス可能 商業用の配送車としても活躍が期待できるネオクラシカル 【THE 視点】サポートマーケティングサービスは8月21日、三輪のEVバイク「エネバイ」を、「危機管理産業展2023」<東京ビッグサイト/10月11日(水)〜13日(金)>にて展示・公開すると発表した。EVの「トゥクトゥク」に荷台を付け、消防用ポンプや太陽光パネルなどの積載・運搬が可能となるように改造した。 サポートマーケティングサービスは、この車両を消防バイクとして活用可能することを考え、2013年より開発を続けてきた。消防ポンプは、D級・C級・B級の順にサイズが大きくなり放水性も高くなる。従来はD級しか載せることができなかったが、B級ポンプを載せられるように自社で研究・開発を行なった。その結果、消防ポンプはもちろんのこと、それ以外の様々な救援物資も載せられる新たなジャンルの小型EVが完成した。 「エネバイ」の仕様は、全長2,450×全幅1,090×全高1,620mmで重量は270kg。最大積載量は200kgとなっている。駆動用交流モーターの出力は2kWで、家庭用100V電圧のコンセントから充電ができ、航続距離は90kmほどとのこと。 先日レポートをした「東京国際消防防災展2023」でも、この「エネバイ」を含む何台かの三輪EVの展示があった[詳細はこちら<click>]。 「トゥクトゥク」というよりは、現代日本の黎明期の物流を支えた「オート三輪」と言えよう。日本の小型の積載車と言えば軽トラックだが、それよりも幅が小さいため機動力があり、何より現場により近い場所に車体を停められるのは大きなメリットだ。 それにしても、EVでクラシックモデルを再生したり復刻したりするのは世界的なトレンドのようだ。しかし趣味・趣向を凝らしたファンカーとしてではなく、現代でもきちんと仕事ができる業務用車として復活させるのはどこか日本らしい。 消防・救命道具の運搬用だけではもったいない。かつて日本全国を「オート三輪」が走り回っていたように、配送業務のニーズにも応えられるのではないだろうか。キャビン付きなので、急な天候の変化からも運転者を守ることができ重宝すると思われる。「オート三輪EV」は、これからの活躍が期待できるネオクラシカルな新カテゴリである。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ベントレー、クラシックカーの「ブロワー」をEVで復刻……オリジナルの85%のサイズで再現、小型EVメーカーの「ザ・リトル・カンパニー」とコラボ ★BMW、「i5」でプレイできる車内ゲームに「Who Wants to Be a Millionaire?」を追加(本国発表)……ゲームのプラットフォーム「エアコンソール」を活用した車内ゲームが続々追加 ★東京都、「令和5年度グリーン水素製造・利用の実機実装等支援事業」を開始……グリーン水素の製造から利活用までの一連の機器・モデルプランを公募し補助金を交付 ★ブレイズ、「コストコ門真倉庫展」<大阪府門真市>にて展示販売会を実施……8月24日(木)〜9月03日(日) デイリーEVヘッドライン[2023.08.23]

TAG: #THE視点 #ニューモデル #商用EV
勝浦の市街地の様子。元旦と水曜日を除き、午前6時半頃~11時頃まで朝市を開催。筆者撮影
TEXT:桃田 健史
「#100年猛暑日知らずの街」千葉県勝浦市で電動キックボードシェアリング「Bird」利用進む

アメリカの電動キックボード・シェアリング大手Bird事業を日本で展開するBRJが、各地での実証試験を段階的に拡大している。その中で、今回は関東周辺で夏でも気温があまり上がらない海岸部として名高い千葉県勝浦市の事例を視察した。 猛暑日がない勝浦に電動キックボード 千葉県勝浦市公式の移住・定住ポータルサイトには、「#100年猛暑知らずの街」という記載がある。 勝浦は、房総半島の太平洋側である外房の中でも、入り組んだ海外線によってできた大きな入り江のような勝浦湾に面した地域。この周辺は陸地に近い場所から海底が深いこと等の影響で、海からの風が涼しくなり夏でも気温が上昇しにくい。 そうした話がネット上で広がったり、テレビの情報番組などで取り挙げられることで、東京都心や関東各所で酷暑が続くなか、改めて勝浦が注目されている。 また、ご当地グルメイベント等で注目された「勝浦タンタンメン」や、約3万体の雛人形を飾る「かつうらビッグひな祭り」など、新しい観光資源が開発されているところだ。 その勝浦で2023年1月、電動キックボードを使ったシェアリング実証試験が始まった。 アメリカの電動キックボード・シェアリング大手のBirdを日本で展開するBRJが手がける事業だ。 今回、勝浦市を訪れて電動キックボードの設置場所などを視察した。

TAG: #Bird #特定原付 #電動キックボード
「スマートエネルギーWeek」にて展示のあったベルエナジーのRoadie V2(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
電欠用緊急バッテリーが爆売れ……ベルエナジー、「Roadie V2」が100基超えの受注[2023.08.22]

「電欠の救急車」や開発現場などにも使える“電気の携行缶” 筆者も10年以上前に開発を検討したEV時代のマストアイテム 【THE 視点】ベル エナジーは8月21日、ポータブルEV急速充電器「Roadie V2」の国内販売・受注台数が100基を突破したと発表した。日本初のモジュール式ポータブル急速充電器で、EV普及に伴い増加傾向にある「電欠」に対応するべく開発された製品だ。 単独での使用が可能なスタンドアローン設計となっているため、固定式充電設備を置く場所がなくてもEVの充電設備を作ることができる。そのため、EVやバッテリーの開発現場や研究室への活用も期待される。 本体は、2種類のユニット(急速充電ユニット<CHAdeMOまたは米国のCCS1>/蓄電ユニット)からなる。急速充電ユニットは最高出力20kWで、これに3.35kWh/個の蓄電ユニットを最大4個繋ぐことで約14kWhの容量となる。約10分の充電で航続20kmほどの電力を回復することができる。蓄電ユニットへの充電は家庭用100Vでの充電が可能で充電時間は約4時間となっている。 筆者は「スマートエネルギーWeek」<東京ビッグサイト/今年3月15日〜17日>にて、「日産サクラ」が「Roadie V2」を搭載したベルエナジーのサービス「電気の宅配便」の展示を実際に確認している[詳細はこちら<click>]。ロードサービスなどにうってつけで、今後のEVの普及を考えると非常に有用なシステムだと感じていた。「Roadie V2」は、エンジン車でいう“燃料の携行缶”に例えられよう。 筆者自身、実は10年以上前に同様のシステムの製作を検討した経緯がある。電欠の場合は車両自体は生きているのだから、最寄りの充電設備までの電力を回復できれば充分。電話を受けたロードサービスや整備工場がユニットを乗用車などに積んで行くだけで良いので、人的コストも移動コストも削減でき合理的なのだ。 開発に向け色々とヒアリングしたが、当時のバッテリーの性能や価格面でのハードルが高く断念してしまった。 ベルエナジーは100基の受注数を突破したとのことだが、実際にロードサービス会社への納入事例が多く、コンパクトな上に家庭用電源で充電できる手軽さが拡販につながった要因だろう。 ちなみに個人でも、長距離旅行などの“携行缶”にと思いつく人もいるかもしれないが、正直導入は困難だ。今回は価格の発表が無かったが、電池の容量から推測するに、1基あたり数十万円から100万円台の価格になると思われる。頻繁に電欠するほど公共充電器が不足しているわけではない。万が一の事態の際は“電欠の救急車”を頼んだ方が良さそうだ。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BYDジャパン、東京都に初の店舗を開設……「BYD AUTO 池袋」が8月26日(土)にオープン、運営は中古車大手のネクステージ ★★テラモーターズ、法人向けのEV導入支援サービス「テラチャージ法人向けプラン」を開始……EV用の駐車場が自社敷地外でも充電器の設置交渉を代行 ★サポートマーケティングサービス、EVの三輪バイク「エネバイ」を「危機管理産業展2023」に出展……車体後部を荷台化し災害物資や救助機器を可搬 ★ヴィーズマン、スポーツEV「プロジェクト・サンダーボール」の初年度生産分(2024年デリバリー)が完売……2025年デリバリー分で予約受付中 ★エネチェンジ、秋田県湯沢市にEV用充電器を設置……市内の公共施設に最高出力6kWタイプを順次 ★三菱重工、水素の大量輸送を見据えてアンモニア分解システムを日本触媒を共同開発へ……アンモニア(NH3)は水素の安全なキャリアとして有用 ★パワーエックス、三井E&Sにコンテナ型の定置型蓄電池「メガパワー」を設置……蓄電池工場「パワーベース」と同市内(岡山県玉野市)にある造船工場 ★ENNE、EVバイク(特定原付)の「T250」がベトナムへ輸出・販売決定……ペダルで発電・モーターで進む人力シリーズハイブリッドのEV デイリーEVヘッドライン[2023.08.22]

TAG: #THE視点 #バッテリー #充電インフラ
TEXT:烏山 大輔
ランボルギーニ・ランザドールから電動化時代のスーパーカーデザインを読み解く

ランボルギーニは、8月18日にモントレー・カーウィークにおいて、2028年に登場する第4のモデルを予見させるコンセプトカー「Lanzador(ランザドール)」を発表した。 1,000馬力超は当たり前!? ランザドールは、「グランツーリスモ 2+2」というコンセプトのBEV(バッテリー電気自動車)だ。前後に各1基のモーターを搭載したAWDで、最大出力は1360馬力に達する。 2023年に1,000馬力の壁を超えた「レヴエルト」(V12NAエンジン+3モーターで1,015馬力)を一気に300馬力以上も上回るランザドールのハイスペックは、電動化へと大きく舵をきったこの時代だからこそ成し得たのだろうが、これまでICE(内燃機関)の時代に徐々に最高出力の水準を高めていった時代の伝統が軽くあしらわれているような感があり、少し寂しさも覚える。 しかしながら世界を見渡せば、「ピニンファリーナ・バッティスタ」の1,900馬力や「リマック・ネヴェーラ」の1,941馬力、「ロータス・エヴァイヤ」の2,039馬力など、BEVの高性能化はとどまる事を知らない。 ランボルギーニ流のデザイン解釈 ランザドールは、これまでの市販車にない特異なスタイルのクルマだ。言うなればSUVとスーパーカーを足して2で割ったような形だ。グランドクリアランスを十分に確保しながらも、ドアガラスの天地方向はレヴエルトや「ウラカン」のように薄い。 床下にバッテリーを敷き詰めるBEVでは、「レヴエルトのような地を這うような低さは無理だけれど、SUVは既にウルスがある」ことから、その中間のスタイリングをランボルギーニのデザイナーが導き出したのかもしれない。 同じイタリアブランドで、ついにSUVを出したフェラーリの「プロサングエ」が大ヒットしているように、このランザドールも世界の富裕層に「新しい4人乗りの面白いクルマの形」として受け入れられるかもしれない。ちなみにフェラーリはプロサングエをSUVではなく、「新しいスポーツカー」だと言っている。 なおフェラーリは、ランザドールの市販版がデビューするより3年も早い2025年に、同ブランド初のBEVを発売する予定だ。

TAG: #BEV #ランザドール #ランボルギーニ
TEXT:小川フミオ
「EタイプのインパクトをEVで再現したい」ジャガー・マネージング・ディレクターが語る電動化への姿勢

フォーミュラEから次世代ジャガーBEVを語ってきたグローバー氏は、ジャガーEタイプの存在を話しはじめる。それは、既存にとらわれない新しい価値観の創造だった、と。 Eタイプが示してくれたこと −−フォーミュラEの話から、2025年という新世代のジャガーBEVにまで話題が飛びました。つまり、ジャガーにとっての電動化をいうときに、活動はみな有機的につながっているのですね。あたらしいBEVの話をもうすこし聞かせてください。 「私たちは、他のコピーをしない、他とちがっていることを敢えて厭わない、という創業者のスピリットを大事にしながら、次世代車の開発に取り組んでいます。過去の例でいうと、やはり、1961年のジャガーEタイプです」 −−ジャガーの名声を不動のものにしたスポーツGTですね。 「このクルマが発表された時点で、世界中のひとは、それまで同じようなクルマを観たことがなかったはずです。あのカタチもコンセプトも、世のなかにそれまで存在していませんでした。それと同じようなインパクトを、新世代BEVで提供したいと私たちは意気込んでいます。過去をこのように振り返りながら、いままで存在しなかったクルマを未来に出す。これが私たちの考えなのです」 ジャガーを顧客とともに全く新しいものへ −−新世代のBEVはかなり上のマーケットを狙うものになると聞いていますが、どうなのでしょうか。 「なぜ、私たちがさらに上級マーケットへ移行しようとしているのか、ということですね。これまでセールスが好調だったジャガーの製品を振り返ってみると、そこに答えがあるのです。私たちがもっとも成功を収めた製品と同じようなところを狙うべきだというのが、私たちの結論なのです。これから、市場動向がどう変わっていくか、みていくと、生産台数をしぼって、高価格政策を採っていくのが、もっともジャガーというブランドにふさわしいと結論づけています」 −−高価格政策なのですね。 「おおざっぱですが、いまの2倍以上の価格です。高価格は、ジャガーというブランドにそぐわないものではありません。大事なことは、高価格の正当化です。そのために、いまのジャガーのプロダクトとはまったくちがったものを作らなくてはなりません。ほんとうにちがったプロダクトになるので、ユーザーエクスペリエンスとか、マーケティング戦略も、とうぜん、従来と同じというわけにはいきません」 −−具体的に教えてもらえるものがありますか。 「かんたんにいうと、顧客とダイレクトにつながりたいと考えています。オンライン販売の可能性もそのうちのひとつだし、逆にオンラインからオフラインへと、顧客が簡単に移れるようにするのも重要だと考えています。ブランドブティックを開くこともあるでしょうし、ポップアップにも取り組んでいきたいです。まだ計画段階ですが、かりにいうなら、ロンドンやパリや東京といった都市にブランドストアを直営で開き、顧客とのつながりをこれまで以上にしっかり持っていきたいと思っています。つまり、BEVを機会に、プロダクトを新開発するだけでなく、ジャガーをまったく新しいものにしたいのです。私たちは、既存の価値観にとらわれず、大胆で、恐れず新しいことを実行するブランドなのです。それをわかってくれるひとと価値観を共有したい思いです」 <了>

TAG: #EV #ジャガー #戦略

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