「2020年代後半を目指す」という表現の背景
こうしたBMWとトヨタの協業による燃料電池における研究成果や知見が、トヨタの第三世代燃料電池に活かされていることは間違いないだろう。
トヨタは2023年6月8日にトヨタ東富士研究所(静岡県裾野市)で実施した、次世代技術説明会「トヨタテクニカルワークショップ2023」で、第三世代燃料電池の実物を初公開し「2026年の量産にチャンレンジする」と明言している。
一方、BMWは「iX5ハイドロジェン」を日本を含めてグローバルで100台導入し、リアルワールドでの技術的なデータ収集と、燃料電池車の社会受容性の確認に加えて、水素社会に向けて教育も視野に入れた積極的な活動を進めるとしている。
その上で、「2020年代後半に次世代燃料電池車の市場投入を目指す」としている。
ここに、トヨタの第三世代燃料電池が活用される可能性は高いものと考えられる。
気になるBMWとメルセデス・ベンツとの今後の関係
一方で、気になるのはドイツ勢どうしの燃料電池に関する技術連携だ。
トヨタのプレゼンテーションの中で、欧州での「有力パートナーとの連携強化」として、先に発表された、トヨタとダイムラートラック、さらに日野の三菱ふそうを含めた商用車での技術連携を紹介した。
ここに今後、BMWがどのように絡んでくるのか?
現時点では、乗用車領域でトヨタとメルセデス・ベンツが燃料電池車やBEV(バッテリー電気自動車)で技術協業するとの方針は示されていない。
だが、燃料電池車やBEVでの開発競争がグローバルで加速している中、トヨタがメルセデス・ベンツとBMWの橋渡し役としてドイツ勢の新たなる枠組みが誕生する可能性も否定できないだろう。
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