ニュース
share:

ヒョンデ、ドリフトもできるアイオニック5 Nをグッドウッドで発表。650psのハイパワーBEV


TEXT:烏山 大輔 PHOTO:ヒョンデ
TAG:

サーキット走行時の安定性を向上

動力源となるモーターも大幅なアップグレードを果たしている。最高21,000rpmまで回り、フロント166kW/226ps、リヤは282kW/383ps、システムトータルでは448kW/609psを発揮する。さらにN グリン・ブースト作動時(最大10秒間)には478kW/650psの最高出力を搾り出す。

そんな大パワーを発進時に路面に余すことなく伝えるのが、N ローンチ・コントロールだ。3段階のトラクション・レベルが選択可能で、ベースモデルのアイオニック5(AWD)でも0-100km/h加速は5.2秒と十分な速さだったところを、Nモデルは3.4秒と1.8秒もの短縮に成功している。

熱対策への対応も抜かりない。アイオニック5 Nは、レーストラックの過酷な条件下でオーバーヒートによるパワー損失への対策として、バッテリーの温度管理を強化したほか、冷却面積の拡大、モーターオイルクーラーとバッテリー冷却器の改良、バッテリーとモーターのそれぞれで独立したラジエターを搭載するなど、高温環境下における性能低下を最低限に抑えた。

走行前に、バッテリーを最も電力効率の高い温度に設定したい時には、N バッテリー・プリコンディショニングを利用するといい。フルパワーで短時間の走行が可能な「ドラッグ」モード、より多くの周回をこなすために可能な限りバッテリー温度を低くする「トラック」モードのいずれかを選択可能だ。

さらにN レース機能においては、ドライバーは「エンデュランス」と「スプリント」のどちらを優先するかを選択できる。「エンデュランス」はレーストラックでの走行距離を最大化する。これはピークパワーを制限し、温度上昇を緩やかにすることで可能となった。一方、「スプリント」はパワーを優先し、短時間でフルエネルギーを供給するモードだ。

トラックSOC(充電状態)は、ラップごとのバッテリー消費量を計算するので、周回数が多い場合のペース管理に役立つだろう。

熱狂的なファンに向け

ヒョンデ の調査によると、BEVではドライバーに対するフィードバックが不足する傾向にあることがわかったという。そこでヒョンデ Nのエンジニアは、ドライバーがよりフィードバックを感じられるようにするため、「N e-shiftとN Active Sound +」機能を開発し、アイオニック5 Nに搭載した。

N e-shiftは、ICE車の8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)車の走行フィールを再現したもので、モーターのトルク出力を制御し、変速やシフト間の「揺れ感」を再現することで、ICEに近い運転体験を提供する。

N Active Sound +は、10個のスピーカーシステム(車内8個、車外2個)により、3つの異なるサウンドテーマを提供する。「Ignition」はNの2.0Tエンジン(i30などに搭載される2Lターボエンジン)のサウンドを再現し、「Evolution」はRN22e(アイオニック6ベースの高性能EVコンセプト)にインスパイアされた特徴的な高性能サウンドを提供。「Supersonic」は、ジェット戦闘機にヒントを得たユニークなコンセプトだ。

パフォーマンス向上のためのエクステリアデザイン

アイオニック5 Nは、性能向上と特別な外観を得るためエクステリアデザインも大幅にアップデートされた。

N モデルは、標準のアイオニック5よりも全高が20mm低くなり(編集部注:Lounge AWDとの差は60mm)、ワイドタイヤを装着するため全幅は50mm広く、専用のディフューザーにより全長は80mm長くなった。21インチ鍛造アルミホイールには275/35R21サイズのピレリP-ZEROタイヤが組み合わせられる。

フロントのエアカーテンとエアフラップは冷却効果を高める装備だ。バンパーの下部のリップ・スポイラーはN専用「Luminous Orange」で、「レーストラック仕様」の外観を与える。

リアには、N専用のウィング(ハイマウントストップランプ付き)が装備され、リアディフューザーとエアアウトレットとともに、空気の流れをコントロールして最適な空力性能をサポートする。バンパーは、チェッカーフラッグのリフレクターグラフィックが施されたN専用のブラックバンパーだ。

サーキット走行に適したインテリアデザイン

ハイパワーなクルマでアグレッシブに走るには、ドライバーの運転環境もそれに対応できるレベルに引き上げる必要がある。そこで「Nシート」では、ボルスター(背もたれの左右部分)を強化することで、コーナリングの強い横Gでも、体をしっかりと支え、常に安定したドライビング姿勢を保つことが追求されている。さらに約20mmローポジション化されたバケットシートも用意される。

アイオニック5 Nのセンターコンソールは、ニーパッドとすね当て、スライド式アームレストを装備、コンソール下部を延長し剛性を高めてサーキット走行に最適化されている。また、USB-C、ワイヤレス充電器、カップホルダーも装備し日常使いにも対応している。

アイオニック5 Nのペダルは、オーバーステア、ドリフト、パワースライドを伴うサーキット走行シーンでのフットコンタクトに最適化され、ペダルの「踏みそこねリスク」も低減する。フットレストも、安定した運転姿勢を維持できるように最適化されている。

新デザインのN ステアリングホイールには、「N」のロゴがあしらわれ、その脇にはドライバーの好みに合わせてドライブモードを設定するN ボタンが配置される。3時の位置にはN グリン・ブーストボタンがある。

ドア・スカッフ・パネル、メタル・ペダル、フットレストに施された新しいチェッカーフラッグのテーマは、アイオニック5のアイコンであるパラメトリック・ピクセルにインスパイアされたもので、Nブランドのモータースポーツ・スピリットを表現している。

アイオニック5 N
全長:4,715mm[+80mm]
全幅:1,940mm[+50mm]
全高:1,585mm[-60mm]
ホイールベース:3,000mm
フロントモーター:166kW(226ps)[+96kW、+131ps]
リヤモーター:282kW(383ps)[+127kW、+173ps]
最高出力:478kW(650ps)[+253kW、+345ps]
バッテリー総電力量:84kWh[+11.4kWh]
モーター数:前1基、後1基
駆動方式:AWD
フロントブレーキ:4ピストン 400mm
リアブレーキ:1ピストン 360mm
回生ブレーキ減速度:最大0.6G
タイヤサイズ:前後275/35R21 ピレリP-Zero
最高速度:260km/h
0-100km/h加速:3.4秒[-1.8秒]
[]内の数値はアイオニック5 Lounge AWDとの差
TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
価格・航続距離・パフォーマンスでテスラを圧倒!? 中国の巨大スマホメーカー「シャオミ」が作ったEV「YU7」がついにデビュー
2025年はBYD Auto Japanの設立3周年記念! お買い得な限定車「ATTO 3 Black Style」を 全国50台限定で発売
EVミニバンは誰が買うのか? VWが明かした意外な「ID.Buzz」の購入者像
more
コラム
スバルに求めてるのはコレよ! 新型EV「トレイルシーカー」の日本導入を切望!!
いまサクラもeKクロスEVも売れている! かつて三菱が挑戦したi-MiEVはもっと評価されてもいいクルマだった
エンジンも燃料タンクも外してスッカラカン! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その2】
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択