インタビュー
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フォルクスワーゲンのアイコン「GTI」は生き残るのか。VW首脳陣に訊く電動化のミライ


TEXT:小川フミオ
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VW ゴルフ GTIのフロントビュー

VW ID.2allのフロントビュー
BEVとFun To Driveは好相性

フォルクスワーゲンが得意とするのは、大衆に愛されるベーシックカーづくりだ。しかしその一方で、GTIやRの称号を冠するホットなモデルも多くのファンを魅了している。電動化時代にも、そのアイコンは生き残ることができるか、否か。フォルクスワーゲン乗用車部門セールス・マーケティング&アフターセールス担当取締役のイメルダ・ラベー氏に、自動車ジャーナリスト・小川フミオがインタビューした。

BEVに熱心に取り組むフォルクスワーゲン(VW)。いっぽう同社には、「ゴルフGTI」や「ポロGTI」といった、アイコニックなスポーツモデルがある。

1976年の初代以来、ゴルフGTIという他に並ぶもののないセグメントを市場のなかで確立したVW。GTIは、高性能エンジンを、スポーティなセッティングがほどこされたサスペンションシステムとともに、セリングポイントとしてきたモデル、と言い換えてもいい。

BEVの時代にあって、VWの考えるFun To Driveは、どのようなかたちになっていくのだろう。

VWブランドのセールス&マーケティング担当取締役のイメルダ・ラベー氏は「Fun To Driveは今後も大事にしていきたい」と話す。

──VWは電動化を急速に進めている印象ですが、BEVにおけるFun To Driveはどう定義していますか。

BEVはごく低い速度域からトルクがたっぷり。加速性能もいいし、BEVはFun To Driveを含めたエモーショナルなクルマを作るいい土台だと思っています。デザインも同様です。ID.2 allのデザインは好例でしょう。エモーショナルなパワーが伝わるカタチと、大きな反響を呼んでいるほどです。内装においても過去のモデルの要素を採り入れてエモーショナルな価値を追求。私はこれがVWのFun To Driveだと思っています。

 

VW ゴルフ GTIの初代と現行モデル
GTIは「存続させていきたい」

──VWでエモーショナルな価値をもったモデルといえば、従来、ゴルフGTIとゴルフRが代表格でした。ゴルフGTIは、今後も残るのでしょうか。

ゴルフにしてもポロにしても、GTIはたいへんアイコニックなブランドです。世界中にファンが多く、ソーシャルメディアの世界でも、リアルな世界でも、ファンのコミュニティでの結びつきはたいへん強いものです。なので私たちは、GTIというブランドを存続させていきたいと考えています。

──VWではGTIのファンコミュニティにも積極的にかかわっていると聞きます。

ながいあいだ、オーストリアのWörtherseeにおいて毎年、GTIミーティングが有志の手によって開催されていましたが、残念ながら地元の自治体の判断で2023年からは開催できなくなりました。そこで私たちは、2024年から(VW本社のある)ウォルフスブルクで、このミーティングを行なえるようにしました。

──GTIはパワフルな前輪駆動、Rは大きなパワーを4つの車輪に配分する全輪駆動と、従来のモデルにとっては、駆動方式やドライブトレインが大事でした。もちろん、エンジンのフィールも。どのようなかたちでの存続を考えていますか。

現時点ではっきりしたことは申し上げられないのですが、たとえば、GTIフィーリングのようなものはBEVでも作りだせると考えています。GTIもRも、エモーショナルな価値を強く持ったモデルです。そのコアにある価値を見据えて、それを今後も提供していこうと思っています。ただしBEVでもGTIは成立するというのが私たちの考えです。だいたい次の路線は決まったのですが、残念ながら、ここでそれについて申し上げるのは時期尚早です。

<つづく>

(プロフィール)
Imelda Labbé(イメルダ・ラベー)氏
フォルクスワーゲン乗用車部門
セールス・マーケティング&アフターセールス担当取締役

1967年に、フランス国境ちかくの南西ドイツ(Steinfeld/Pfalz)で生まれ、ユニバーシティ・オブ・マンハイムで経営学を学ぶ。その後米スタンフォード・ユニバーシティで経営学の修士号を取得。1986年から2013年にかけて、独オペルで経験を積んだのち、2013年にVW傘下のシュコダに転職し、同社取締役会のスポークスパースンに。2016年からVWグループでグローバルのアフターセールスなどを担当。2022年7月1日より現職。

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