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「i4の使い勝手、◯と✕」BMW伝統の後輪駆動スポーツセダン「i4」試乗記 その3


TEXT:田中 誠司 PHOTO:田中 誠司
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3種類のグレードからどれを選ぶのが賢いか

そのほか実用性については、CD=0.24まで削った空力性能への意識か、ドアハンドルはグリップ型からフラップ型に変更されたが、指の引っかかりが悪くてドアを開けそこなったことが何度かあった。また、これは母体である4シリーズ グランクーペも同様なのだが、後輪駆動であるわりに最小回転半径が5.9mと大きく、小回りが利かないのが難点だ。「eDrive40 M Sport」グレードの場合はサラウンド・ビュー・システムが標準搭載されるので重宝するが、ベーシックグレードの「eDrive35 M Sport」グレードではこれが装着できないことには注意してほしい。

3種類用意されるグレードから選択するうえでのポイントも紹介しよう。上級モデル「i4 M50」(1,132万円)はフロントにもモーターが備え、システム最高出力/最大トルクが400kW(544ps)/795Nmまで上昇する。さらにアダプティブMサスペンションやMスポーツブレーキ、LEDヘッドライト、ハーマン・カードン・サウンドシステムなども搭載される。ただし車重が2,240kgまで増えるのに対し、バッテリー容量は「eDrive40 M Sport」(848万円)と変わらないから、一充電走行距離が546kmに縮まってしまうのがネックだ。

「eDrive35 M Sport」グレードは後輪を駆動するモーターが若干マイルドな210kW(286ps)/400Nm仕様となるほか、バッテリーも70.3kWhに縮小される。車重も2,030kgまで抑えられることから、一充電走行距離は532kmを確保。価格は698万円と、eDrive40 M Sportに対して150万円の差は決して小さくないのが悩ましいところだ。経済的な状況にもよるとはいえ、ある程度の長距離ドライブを前提とするなら3つのグレードの中で筆者が勧めたいのは「eDrive40 M Sport」だ。パワーと航続距離、価格のバランスが最もよく取れていると思う。

最後に一歩引いて観察した全体像を述べると、かつて1,000万円クラスの6シリーズでなければ実現し得なかったゆったりした走行感覚と、後輪駆動ならではの切れ味鋭いハンドリングを800万円台で実現しているi4は、いまここでEVを選ぶことが個人の生活にフィットするかどうかはともかくとして、なかなか優秀なグランドトゥアラーであると思う。

(完)

BMW i4 eDrive40 M Sport

全長:4,785mm
全幅:1,850mm
全高:1,455mm
ホイールベース:2,855mm
車両重量:2,080kg
乗車定員:5名
交流電力量消費率:157Wh/km(WLTCモード)
一充電走行距離:604km
リヤモーター最高出力:250kW(340ps)/8,000rpm
リヤモーター最大トルク:430Nm/0-5,000rpm
バッテリー総電力量:83.9kWh
モーター数:後1基
トランスミッション:1速固定
駆動方式:RWD
フロントサスペンション:ダブル・ジョイント・スプリング・ストラット式
リアサスペンション:マルチリンク式
フロントブレーキ:ベンチレーテッド・ディスク
リアブレーキ:ベンチレーテッド・ディスク
タイヤサイズ:(フロント)245/45R18 (リヤ)255/45R18
最小回転半径:5.9m
荷室容量:470〜1290L
車体本体価格:8,480,000円

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