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トヨタの研究開発会社「ウーブン・バイ・トヨタ」、電気自動車開発を含む事業内容を発表


TEXT:岩尾信哉
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トヨタ自動車は2023年4月11日のプレスリリースにおいて、去る2月に「ウーブン・プラネット・ホールディングス」が社名を変更して生まれた「Woven by Toyota(ウーブン・バイ・トヨタ)」のグループ内での役割を明らかにした。

「ウーブン・バイ・トヨタ」は、トヨタのモビリティ技術を開発する子会社であり、「安全でスマートな人に寄り添うモビリティをすべての人に届ける」ことを目的として掲げている。具体的には、ソフトウェア・プラットフォーム「Arene(アリーン)」の研究開発、安全を第一においた自動運転技術、現在2025年の一部実証開始を目指して静岡県裾野市に建設中のモビリティのためのテストコース「Woven City(ウーブン・シティ)」を通じて、「人々と社会に移動の自由と安全、幸せを届ける」としている。今回の発表を機に、「ウーブン・バイ・トヨタ」の概要について解説する。

新体制発足に伴う社名変更

「ウーブン・バイ・トヨタ」は、2018年に東京で設立された「トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)」を引き継ぐ企業である。TRI-ADは、自動運転技術のソフトウェア開発の企業として、トヨタ自動車、アイシン、デンソーが共同出資して誕生。米国におけるトヨタの自動運転やAI開発などの将来技術の研究開発拠点であるTRI(2016年設立)に対して、より現場に近い業務を行う日本側の開発拠点とされている。設立当初は、広く自動運転などの技術や知識を備える企業・人材を集めるという意図を含めて、「トヨタ」の名を冠さないことも新鮮な印象を与えていた。

その後TRI-ADは、2020年に持ち株会社として「ウーブン・プラネット・ホールディングス」として社名変更を受け、2021年以降は投資ファンドである「ウーブン・キャピタル」を含む4社で構成されるようになった。

そして今回、トヨタの新体制発足をきっかけとして、同社は「ウーブン・バイ・トヨタ」として新たにスタートすることになった。なお、同社のCEO(最高経営責任者)はジェームス・カフナー氏が継続してその役職を務めている。

あえてBEV開発に言及

先に触れた4月11日の発表内容を見ると、事業内容の説明にこれまで見られなかったBEV(バッテリー型EV)に向けた取り組みが加えられていることがわかる。従来はTRIと旧TRI-ADでは、自動運転と水素技術への取り組みが主な研究開発として主張されてきた印象があった。実際、TRI-ADは発足当初の目標として、「自動運転に関連する新しい技術と、先進的で安全なシステムを世界中の人々に届けること」を掲げていた。

「ウーブン・バイ・トヨタ」も、トヨタの佐藤恒治社長が先に発表した内容に基づき、トヨタの次世代モビリティに関する商品・技術開発を支える企業として、企業名に再びトヨタの文字が加えられてスタートすることになった。

確認しておけば、今回の発表リリースでも、「ウーブン・バイ・トヨタ」はトヨタが掲げている「トヨタモビリティコンセプト」、すなわちクルマの価値の拡張、モビリティの新領域への拡張、モビリティと社会システムとの融合を進めるとしている。そのうえで、「トヨタの先進的なBEVを含む次世代車の開発」という新たなテーマを加えたことは、佐藤新社長が就任発表時に打ち出したBEV開発推進の方針を受けての表明といえる。

 

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