#ソルテラ
TEXT:小川 フミオ
[レクサスRZ450e]EV激戦区のライバルを探る[試乗記:その5]

RZ450eはミドルクラスのSUVで、現在のBEVの主流に属する。ゆえに数々の競合車が待ち構える。 まさに群雄割拠 RZ450eバージョンLの価格は880万円。どんなライバルが市場にあるだろう。 シャシーを共用するトヨタ「bZ4X」(FWD600万円/AWD650万円)は、モーターの出力がやや低くなるいっぽう、満充電からの走行距離はFWDモデルで559kmと、449kmのRZを大きく上回る。 スバル「ソルテラ」(FWD594万円〜/AWD638万円〜)も、FWD仕様はフロントに150kWのモーター(のみ)。AWDは前後80kW1基ずつ、とbZ4Xと同様のスペックだ。 日産には、全長4,595mm、ホイールベース2,775mmで、470km走る「アリア」(FWD539万円、AWDは近いうちに発売)がある。 ただし、レクサスのユーザーは、トヨタや日産でなく、輸入車のほうが気になるかもしれない。 BEV(バッテリーEV)に熱心なBMWだと「i4」(848万円〜)。全長4,785mm、ホイールベース2,855mmと、全長では4,805mmのRZより短く、ホイールベースは2,850mmなのでi4が長い。 満充電からの走行距離は、604kmを謳うi4が、494kmのRZをはるかにしのいでいる。部分的なパートナーとしてトヨタ/レクサスといい関係にあるBMWだが、ここでは見習うべきお手本か。 アウディでは、「Q4 e-tron」(638万円)と「Q4 Sportback e-tron」(730万円)が価格面で近い。全長は4,590mm、ホイールベースは2,765mmなので、Q4 e-tronのほうがコンパクト。そのせいか、航続距離は594kmと長い。 メルセデス・ベンツでは「EQA」(782万円)と「EQB」(822万円)という2台のSUVが価格的に、RZ450eと重なってくる。 EQBでは全長4,685mm、ホイールベース2,830mm。寸法はRZに近く、走行距離もEQBの520kmなので、やはりRZ450eとだいぶ重なってくる。 こうやって比較してみると、だいぶ市場がにぎやかになっているのが、あらためて分かる。

TAG: #BMW i4 #bZ4X #EQA #EQB #Q4 e-tron #RZ450e #SUV #アリア #ソルテラ
TEXT:田中 誠司
中庸からの脱却は難しい[ソルテラ試乗記:その2]

スバル・ソルテラの高速道路での振る舞いや室内空間を確認しつつ、小旅行を終えて抱いた感想とは。 FWDのガソリン車のような性格 加速のポテンシャルは高速道路に足を踏み入れても変わらない。それまでゆるりとおとなしく一定速を保っていても、合流側の車両の速度に応じてふとアクセルペダルを踏み込んでやると、想像以上に鋭い加速が生み出されて必要な速度に達することができるのだ。 いっぽう、ブレーキは浅く踏んだ瞬間のレスポンスが非常に緩やかで、ディスクによって速度を殺しているという感じをあまり受けない。 車検証上における前後重量配分は前が1,110kg、後が940kgである。モーターは前後それぞれに80kW(109ps)を配している。従来のトヨタ/スバル製SUVと操作性を極端に変えないように、コンポーネンツの配置をこれまでのFWDベースのSUVと大きく変更していないのが理由だ。ゆえにフロントのボンネットを開けてもいわゆる“フランク”と呼ばれるラゲッジスペースは存在しない。 とはいえ、全長が5ナンバーサイズに収まるソルテラにおいて、荷室容量と室内空間に苦情が出る心配はまずないだろう。カタログ掲載の荷室容量は441〜452L、実測値では幅の最大値が129cm、奥行きが98cm、トノカバーまでの高さが40cm。スクエアでとても使いやすそうだ。 身長172cmの筆者がドライビング・ポジションを決め、その背後に移動したシーンにおいて膝前には23cmの余裕がある。床面もプロペラシャフトがないため足の置き場に困ることはなく、前席と合わせて5人のおとなが長距離移動することになったとしても文句はないだろう。試乗車はスタッドレス・タイヤを装着していたが、ざわついた感じは本当にわずかで、これがノーマルタイヤだと言われても気づかない範囲でしかなかった。 車重が大きいEV、とりわけ積載量も大きいSUVはタイヤサイズが特別な意図をせずとも大きくなってしまうケースが多い。となれば乗り心地の突き上げ感もロードノイズも増大してしまうのが当たり前で、これをどのように抑えているのかがクルマ選びのポイントにもなるだろう。

TAG: #ソルテラ #電気自動車
TEXT:田中 誠司
空飛ぶ絨毯のような加速フィールに驚く[ソルテラ試乗記:その1]

「スバル・ソルテラ」は「トヨタbZ4X」の兄弟モデルである。後者と違いサブスクリプションモデルを利用せず普通に購入できたり、リアシートヒーターがなぜかこちらだけ標準装備だったりはするものの、基本的にはbZ4Xと同一のモデルである。すでに生方 聡さんのbZ4Xの記事が掲載されているので、普段はまだICE(内燃機関)モデルを愛用している筆者なりの見解についてここでは書き記していきたい。 上品なインテリア、無骨なエクステリア 広報車両を受け取ったのは恵比寿のスバル本社ビル地下でのことだった。地下深くから螺旋状の細いスロープを登るにあたり、幅が結構広くて大きな車だという印象を受けた。Aピラーが前方に配置されていてかなり視界から遠いために、距離感が測りにくいのだと思う。コンパクトカーに乗り慣れた人だと戸惑うかもしれない。 インテリアにはダッシュボードの一部にファブリックをあしらっていたり、ダッシュボード中央の大ぶりなモニターがオーソドックスにスクエアな形状だったりする。それ自体は問題ないのだが、特別に高級感を感じさせるわけではないことから、約700万円のクルマとしては平凡すぎるという評価を受けるケースもある。 表面的なデザインの印象や、前述した取り回しの問題はさておき、横幅方向には非常にゆとりがある。運転席と助手席が完全に隔てられているので、パートナーとの関係がうまく保てるのだろうか、と要らぬ心配もしてしまうけれども。 そのようにどちらかというと上品さを強調したインテリアと異なり、エクステリア・デザインはがっしりした印象だ。フェンダーに使った樹脂パネルが多少傷ついても構いやしないといった、ラギッドな印象を与える。Aピラーの下やリアドアのあたりに深いキャラクターラインがあって、その仕上げも高品質だ。素直にカッコいいと言われるデザインであるだろう。 静かで十分に速いパワートレイン 電動パワーユニットから発せられるサウンドは、どんな速度から踏んでいったとしても、昨今の電気自動車の中でもとりわけ穏やかであるように思う。トヨタとスバルの共同開発であるソルテラにおいて、パワートレインはハイブリッド車の分野で実績のあるトヨタが主に担ったと聞いているが、「モーターはとにかく静かであることこそが、ICEと差別化できるセリングポイントなのだ」と、両社は現時点における経験上信じているのではないだろうか。 そのように静かなパワーユニットによって、滑り出しの加速は空飛ぶ絨毯のように軽い。車重とパワーユニットの最高出力から期待されるよりずっと逞しく加速する。ちょっと信号で出遅れたかなと思って深く右足を踏み込めば、優に隣のクルマを追い越してしまい、市街地における制限速度をうっかり超えそうになってしまうほどだ。この常用域におけるスピード感の希薄さはこれでいいのかな、と少し疑問にさえ思う。 加速に伴うノイズがきわめて少ない車内には、大径のタイヤ&ホイールが跳ねる音がたまに聞こえてくることもあるが、日本車ならではの組付け品質の高さもあり基本的にはとても静かで、ハーマンカードンの秀逸なオーディオ・システムに集中して耳を傾けることができる。 市街地における乗り心地については、硬めに作ったほうがいろいろな意味で安全と捉えたのか、基本的にボディの剛性感は高いものの、4輪に入力があるたびにボディがそっくり正直に揺すられる感覚はある。約700万円のクルマであれば、もう少し鷹揚に動いてくれたほうが高級車らしい雰囲気を感じやすい。フードが備わらないメーターは、不思議だけれど昼間でも夜でも一切見にくいとは思わせなかった。 スバル・ソルテラ ET-HS 全長:4,690mm 全幅:1,860mm 全高:1,650mm ホイールベース:2,850mm 車両重量:1,930kg 前後重量配分:前1,110kg、後940kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:148Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:487km 最高出力:160kW(218ps) 最大トルク:338Nm(34.5kgm) バッテリー総電力量:71.40kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:1速固定 駆動方式:AWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式 リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン式 フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:235/50R20 最小回転半径:5.6m 荷室容量:441L 車体本体価格:6,820,000円    

TAG: #ソルテラ #パワートレイン
TEXT:生方 聡
「bZ4X」からトヨタの新デザインが始まった! [トヨタbZ4X試乗記:その2]

トヨタが満を持して市場に投入した本格的EVの「bZ4X」は、従来のモデルとは一線を画するデザインを採用する。その斬新さはトヨタの新デザインの始まりだった。 “ハンマーヘッド”と“トップマウントメーター” bZ4Xを初めて見たとき、いままでのトヨタ車とは明らかに違うシャープで迫力あるデザインに驚いた記憶がある。なかでも印象的だったのが精悍なフロントマスク。薄いヘッドライトとフロントフードのくっきりとしたラインは“シュモクザメ”を意味する「ハンマーヘッド」と呼ばれているが、正直なところ初めのうちは違和感があった。ところが、新型「クラウン」や新型「プリウス」がこのハンマーヘッドのモチーフを採り入れ、街中で頻繁に目にするようになったいまは、トヨタの新しいフロントマスクに親しみを覚えるようになったから不思議である。 bZ4Xのコックピットも、最初はしっくりとしなかった。bZ4Xではステアリングホイールの上から見る「トップマウントメーター」を採用するため、いつもよりステアリングホイールを低い位置に、シートを高い位置に設定する必要がある。このポジションに慣れるまで少し時間がかかったが、馴染んでしまえば遠くに配置されたメーターはヘッドアップディスプレイのように視線移動が少ないうえ、ヘッドアップディスプレイよりも鮮明に映るから、とても見やすいのだ。 反面、ステアリングホイールが低い位置にあるぶん、ステアリングスイッチを操作するときに視線移動がやや大きめなのが玉にキズだ。 このトップマウントメーターは新型プリウスにも採用されており、bZ4X発の新デザインが今後他のモデルに展開されていくことが予想される。 ダッシュボード中央には12.3インチの大型ディスプレイが配置され、その下にあるエアコンの操作パネルは見やすく操作もしやすい。温度調節を物理スイッチで行えるのもうれしい点だ。 高い位置にあるセンターコンソールやドアにはグロスブラックのパネルがあしらわれて高級感が漂う一方、ファブリックのパネルとの組み合わせはややちぐはぐな感じがした。これをレザー(またはレザー風のソフトパッド)にするだけでも、かなり印象が変わると思うのだが……。

TAG: #bZ4X #ソルテラ #デザイン

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