6段マニュアル変速機を採用
コースは岩場。慣れていない目には、壁のように見えるところを、登ったり、下ったりした。
ドライブしての印象は、異常とも言いたくなるほどのトルク感にたじろいだ。20インチホイールに組み合わされた40インチのタイヤは、しかし、路面をしっかりとらえて、ぐいぐいと車体を押す。
あいにく、アクセルペダルを少し多めに踏み込んで速度が上がると、足元はごつごつした岩場なので、とたんに乗り心地が劣悪になる(平坦な道では意外なほど快適)。
ほぼ無音でシューンッというかんじで加速していくのが、なんだかシュールすぎるドライブ感覚を生み出している。
このクルマ、なんともユニークなのは、6段マニュアル変速機をそなえているところ。デザイナーのマーク・アレン氏のこだわりだったそうだ(「おもしろいでしょ」とアレン氏)。
今回は、重めのクラッチペダルを踏み込んで、かなり硬めのシフトレバーを3速に入れて走りまわった。
BEVなので、適宜クラッチを踏まないとエンスト、ということはない。加速のときと、後退のときに使うだけだ。つまり、オンロード用。
「加速時は、各ギアの守備範囲が決まっているので、だいたい速度を目安にシフトアップ、あるいはシフトダウンをします」 ジープのエンジニアが教えてくれた。
BEV化してもなんとかドライブの楽しみを残そうという取り組みがなんともおもしろい。
ジープのBEV化ははたしてどんなふうになるのか。現状ではまだ秘密のベールに包まれているが、こんなふうにクルマの原初的な楽しみに立ちかえる可能性があるとしたら、それはそれでたいへん楽しみではないか。
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