2023年3月
TEXT:岩尾 信哉
フォード、電気自動車SUV「エクスプローラー」を発表。フォルクスワーゲンとプラットフォームを共用

フォード・モーター・カンパニー(以下、フォード)は3月21日、欧州フォードとして初のバッテリー電気自動車(BEV)となる、新型「エクスプローラー」を発表した。エクスプローラーといえば、北米市場では大量に販売されるミドルクラスSUVとして知られたモデル。今回発表された新型は、SUVのBEVとして登場することになった。 欧州で開発・生産されたSUVのBEV 欧州でのフォードは、北米市場でのラインナップとは異なるモデル、たとえばコンパクトカーのフィエスタやC/Dセグメントのフォーカス、SUVのクーガなどを手がけてきた。BEVに関しては、北米ではF-150ライトニングやマスタング・マッハ-Eを市場投入しているが、欧州マーケットでは初のBEVとなる。 ここ数年フォードは、フォルクスワーゲンとの間で、2018年に商用車、2019年に自動運転車両と電気自動車(EV)分野について業務提携を締結した。さらに2022年には電動モビリティに関するパートナーシップを拡大する旨を表明。そして今回登場した新型エクスプローラーは、両社の取り組みとして生まれた欧州フォードとしての初の成果となる。 ミドルクラスSUVとしてBEVとなったエクスプローラーは、フォルクスワーゲンからBEV用プラットフォーム「MEB」の供給を受け、欧州で開発され欧州で生産されるBEVモデルとなった。 欧州の開発・生産拠点であるドイツ・ケルンのフォード・ケルンEVセンターが手がけた新型エクスプローラーに続き、欧州フォードは2024年には2車種目となるクロスオーバーBEVをケルンで生産するとされている。

TAG: #SUV #エクスプローラー
TEXT:烏山 大輔
大日本印刷と島田理化工業、EV用ワイヤレス給電の実証実験装置を共同開発

大日本印刷株式会社(DNP)と島田理化工業株式会社は、EV用ワイヤレス給電の実用化に向けて、実証実験装置を共同開発した。 近年のEVの普及や自動運転技術の進展にともない、新たな給電方法としてEV用ワイヤレス給電システムが期待され、EV関連企業による実証実験や共通規格化が世界的に進められている。 この共同開発を通して、DNPのシート型コイルや島田理化のPWM(Pulse Width Modulation)制御インバーターなど、2社が強みとする技術や製品を融合・最適化し、実証実験装置として提供する。そして次世代インフラとしてのEV用ワイヤレス給電システムの社会実装に貢献していく。 今後、EV関連企業へこの装置の利用と実証実験の実施を促進する。また実証実験装置用として販売することで、EVワイヤレス給電の実用化が加速するだろう。 2社の強みを発揮した実証実験装置 島田理化は誘導加熱装置で長年培ったインバーター技術に加え、独自開発したデジタルPWM制御により、高効率で省エネルギーな大電力の給電を可能にした。実証実験装置は、出力11.1kWのインバーターユニットを4台内蔵し、複数車両への個別または同時の給電や、1車両への複数コイル同時給電に対応する。 DNPは独自開発したシート型コイルにより、SAE(米国自動車技術会)が定める規格(WPT3:11.1kW)に準拠した薄型・軽量かつ漏洩磁界を抑えた給電を可能にした。コイルと給電ケーブルの接合回路の最適化により、ケーブルの長さが最大30mでの給電を実現したことで、多様な設置レイアウトに対応できる。 実証実験の想定レイアウト トラックヤードで荷役作業中のEVトラックへの給電や、タクシープールで待機中のEVタクシーへの給電を想定している。  

TAG: #充電
TEXT:岡崎 宏司
岡崎宏司の「EVは楽しい!」第8回:e-208GTは楽しい!生活で魅力が増していくEV。

プジョーe-208GTのある生活は満ち足りたものと岡崎さんは言います。造形、面構成を際立たせるブルーに、十分な航続距離に、充電も自宅できる使い勝手の良さに、その魅力は増すばかりです。 プジョーのブルーにゾッコン わが家のEVは「プジョーe-208 GT Line」に決まった。で、最後に残ったのはボディカラーだが、これもすぐ「プジョーブルー」に決まった。 昼でも夜でも、いい光が当たっていたりすると、思わず「いい色だなぁ!」と見惚れて立ち止まってしまう。 買ってから26ヵ月経った今でも、こうしたリアクションは続いている。 鮮やかで艶やか、華やかで嫌味なく、誰もが「いい色だな!」と思ってくれるはず……。手前味噌かも知れないが、プジョーブルーはそんな色だと僕は思っている。 フロントはライオンのかぎ爪、リアはかぎ爪が引っ掻いた跡…特徴的なランプのデザインは、そんなイメージから生まれたものと思うが、これも気に入っている。 整ったプロポーションと優しい面構成に、ライオンの爪が強烈な個性を組み込んでいる。 「日常的な使い勝手が良く、気軽に付き合えて…でも、そこそこ気の利いた洒落っ気もほしい」……そんな、わがままな要求を叶えてくれている。 EVモデルは、グリルもライオンのエンブレムも、透明感ある美しい水色で塗られている……これもお気に入りだ。 お気に入りといえば、もうひとつ付け加えておきたいのは「ガラスコーティング」。ディーラーの担当者から勧められてやったのだが、これはよかった。すごくよかった! 美しいプジョーブルーに、さらに深みと艶やかさが加わり、同じ色の208と並んでも存在感はまるで違う。それでいて嫌味はない。 わが家のe-208GTは、街でもけっこうな視線を受けるが、その大きな理由のひとつが、ガラスコーティングにあるのは間違いなさそうだ。 魅惑の色を纏うプジョーがEVとわかると…… そう……買った当初、ご近所の方々からも、「いい色ですねー!」とまず言われた。そして、その後で、「エンジンの音が聞こえませんけど、電気自動車ですか!?」と聞かれることが多かった。 ご近所は高齢世帯が多く、コンパクトやミディアム系のメルセデスやBMW、アウディを所有される方が多いのだが、僕のプジョーがEVだとわかると、いろいろな質問をしてきた。 いちばん多かったのは「充電は面倒じゃないですか?」という質問。それに対して僕は間髪入れずに「楽ですよ!」と答えた。 事実、僕の充電作業は「まったく楽!」だ。わが家のガレージの充電器は200V/3kW。充電ケーブルと一体になった簡易な壁掛け式で、23年前(2000年)に設置した。 日産が二人乗りのスタイリッシュなコンパクトEV、ハイパーミニを世に送り出した時、長期テストのために設置したものだ。 200V/6kWの設置も考えはした……が、わが家の走行環境を考えたら、3kWでも十分間に合うと思い、交換しなかった。 日常生活で満ち足りるe-208GT つまり、日常的な走行距離が極めて短いということ。日々通うショッピングセンターまでは往復3kmほどだし、時々行く老舗百貨店までは往復15kmほど。 たまに、気が向いたらランチしに行く横浜のホテルにしても往復30km、銀座のレストランまで行っても往復55kmほどでしかない。 仕事も「好きなものだけ」は続けているが、長距離を移動しての取材などなくなった(なくした)。オンラインで済む仕事も多い。 そんなことで、50kWhの電池を積むe-208GTが可能とする走行距離で、足りないことはまずない。 ちなみに、 e-208GTの満充電からの実用走行可能距離は……そうとう電費の悪い冬場(ヒーターは20~30%も電費を悪化させる)でも、150~200km程度はカバーできる。 充電には、基本的に深夜電力(23時~07時)を使っている。3kWで8時間充電すれば、単純計算で24kWhになる。これに冬場の最悪の電費を当てはめても100km程度は走れる。安いし、世のためにもなる使い方だ。 ……つまり、怠惰な生活をしているわが家の場合は、3kW充電でも、1週間に1度程度、夜間電力で充電すれば事足りる。 帰宅した時充電ケーブルを繋ぎ、23時に充電が開始するようスマホのアプリを設定。そして翌日、家を出る時に充電ケーブルを抜く。これですべて……。実に楽だ。 そんな話をすると、みなさん「羨ましそうな」表情になる。そして「次はEVも候補に入ってくるでしょうね」といった言葉が続く。 ご近所に、EVを買った人はまだいない。でも、数年内にはきっと出てくるだろう。そしてEV話で盛り上がることになりそうだ。 第9回はこちら

TAG: #e-208 #岡﨑 宏司
TEXT:田中 誠司
横幅いっぱいに表示されるヘッドアップ・ディスプレーをBMWが開発中。「BMWパノラミック・ビジョン」が次期「ノイエクラッセ」に

BMWグループは2023年の年次総会で、次期「ノイエクラッセ」モデルに新型ヘッドアップ・ディスプレイ「BMWパノラミック・ビジョン」を搭載すると表明した。ノイエクラッセはEVのためのまったく新しい技術プラットフォームを採用しており、デジタル化、持続可能性、デザインにおける新しい基準を設定するとしている。 いままでのヘッドアップ・ディスプレイが小さな画面でわずかな情報しか表示できなかったのに対し、BMWパノラミック・ビジョンはフロント・ウィンドシールド(フロントガラス)の幅全体に投影されるのが特徴だ。さらに、ドライバーだけでなくすべての乗員に情報を提供し、ユニークな対話を作り出すという。 BMW AGの開発担当取締役であるフランク・ウェーバーは、BMWパノラミック・ビジョンの主な利点について次のように説明している。 「新しいBMWパノラミック・ビジョンによって、フロント・スクリーンは一つの大きなディスプレイとなり、車のデザインにまったく新しい可能性をもたらします。 表示される情報がドライバーにのみ見えるようにするのか、すべての乗員から見えるようにするのかはドライバーが決定することが可能です。画期的な投影方法と、格段にクリアで、配置的にも見やすくなったコクピットは、新しい空間とドライビングの感覚を印象づけます。私たちは、『eyes on the road – hands on the wheel』という実績あるスローガンを、新たな次元に引き上げようとしています」

TAG: #新技術
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
米ピータービルト、EVのトレーラーヘッド「579EV」をダラスの業者に納入……デイリーEVヘッドライン[2023.03.24]

大型EVトレーラーヘッド2台をダラスの業者に納入 伝統的なアメリカントラックスタイルのEV 【THE 視点】アメリカのピータービルトは3月22日、パッカー・リーシング・カンパニー(PacLease)と提携して、トレーラーヘッドのEVモデル「579EV」2台を、トラック・キングに納入したと発表した。 ピータービルト(Peterbilt Motors Company)はテキサス州に拠点を置く老舗のトラックメーカー。トラック・キング(Truck King)は同州ダラスの運送企業である。 トラック・キングは、ダラスとフォートワースのメトロプレックスで 65台のトラックを運用し、地元企業向けに運送サービスを展開している。今回納入された「579EV」は、テキサス州マッキニーにあるパッカーのダイナクラフト施設と、同州内ピータービルトのデントン製造工場間の配送ルートに使用される。 「579EV」は、トラック版のモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)を、後輪それぞれの軸に1基ずつ計2基搭載した4輪駆動方式を採用。最高出力は500kW(680ps)。バッテリーの容量は400kWhで、航続距離は320km。最高出力150kWの急速充電に対応しているのも特徴だ。自動車連結車両総重量(GCWR)は37トン(8万2,000lbs)と、日本車のそれが可愛く見えるほどの大きさを持つトレーラーヘッドである。 アメリカではテスラやニコラにも見られるように、既に大型EVトラックの量産が始まっている。「579EV」は、EVコンポーネントなどの多くはキャビン下に配置される構造を採るが、電動化されてもボンネット付きのスタイルを残すところにアメリカの伝統を感じる。このクラスに搭載されるイーアクスルも一度見てみたいものである。しかしこのクラスまでEV化されるとは、環境問題が待ったなしの状況なのだと感じる。 ちなみに、映画「トランスフォーマー」に登場した機械生命体軍団の長「オプティマス・プライム(和名:コンボイ総司令)のベースとなった車両はピータービルト製である。日本では馴染みのないメーカーだが、スクリーンの上ではさにあらず。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★大日本印刷(DNP)、EV用ワイヤレス給電の実証実験装置を開発……島田理化工業製の「PWMインバータ」にDNP製の「シート型コイルユニット」を組み合わせ[詳細はこちら<click>] ★★ステランティス、ドイツ・アイゼナハ工場に1億3,000万ユーロを投資……「STLAミディアム・プラットフォーム」採用のEVを生産、2024年後半発売予定 ★スズキ、「四輪電気電子電動技術本部」を設置……「四輪EV設計部」「四輪EV/HEV駆動設計部」などを新設、4月1日付の組織改革で ★BYD、半導体大手のエヌビディアと提携……次世代の「ダイナスティ」および「オーシャン」シリーズに「NVIDIA DRIVE Orin」の使用を拡大 ★パワー・コー、バレンシアに第2セル工場を建設……2026年に「ユニファイド・セル」を生産 ※パワー・コー:フォルクスワーゲン傘下のバッテリー企業 ★三菱製鋼、技術開発センター(千葉県市原市)でEVを重要課題に……新事業の創出課題でEV化に対応 ★プラゴ、追分宿駐車場(長野県軽井沢町)に事前予約可能な急速充電器「プラゴ・ラピッド」を設置……スマホ向け専用アプリ「Myプラゴ」にて予約・支払い ★宮古島に「日産リーフ」のレンタルをパッケージ化したオフグリッド型ホテル「ズミテラス」がオープン……うちみやリゾートが運営、建物備え付けの太陽光発電設備で充電 ★折りたたみEVバイクのシェアロ、荒川区の交通安全教室に協力……安全講習ならびに体験走行会を実施

TAG: #EVトラック #THE視点 #商用EV
TEXT:曽宮 岳大
ランチア、本格的なブランド再生に向け、名門復活の狼煙を上げる

「デルタ・インテグラーレ」や「ストラトス」「037ラリー」など、世界ラリー選手権(WRC)での活躍の姿が思い浮かぶランチア。現在はコンパクトカーの「イプシロン」をイタリア国内で展開するのみと活動の幅を絞っているが、昨春にはブランド再興に向けた向こう10年の中長期プランを発表。さらにこのたび新しいコンセプトモデルを示唆するティザーを公開するなど、活発な動きを見せている。そこで登場が予定されている新型車を中心に“今後のランチア”に注目してみたい。 新型イプシロンやデルタも……登場が予定される3モデル このたび発表されたのは、コンセプトモデルのリアビューが映った1枚の画像のみ。情報は限られているが、4月15日に予定されるプレス発表会で実車の初披露を予定している。公開された画像に写った丸型のテールランプは、往年の「ストラトス」を彷彿とさせるもの。一体このコンセプトカーは何を意味するのか。 これまでの発表内容を整理すると、ランチアは2022年春に、欧州市場への再参入を明らかにするとともに、2024年以降は2年に1台ずつニューモデルを投入すると発表した。また2026年以降に登場するモデルは電気自動車(EV)のみとなり、2028年以降はEVのみを販売するとランチアのルカ・ナポリターノCEOは明言している。 またニューモデルについて、2024年に全長4m前後の電気自動車の「ニューイプシロン」を、2026年に全長4.6m前後の新しいフラッグシップを、そして2028年に全長4.4m前後の新型「デルタ」を投入することまでが発表済みだ。 こうした背景を踏まえながらティザー画像を眺めて見ると、そのスポーツクーペと思われるボディスタイルは、Bセグメントをカバーする次期「イプシロン」ではないだろう。またデルタも先代モデルではサイズこそ大型化したとはいえ、ハッチバックスタイルを踏襲しており、写真のイメージには合致しない。となると、このコンセプトカーは2026年に登場予定の新しいフラッグシップか、それ以外の車種ということになりそうだ。

TAG: #デザイン
TEXT:生方 聡
お得な充電カードを探せ [ID.4をチャージせよ!:その10]

自宅に充電設備のない私にとって、急速充電ネットワークはID.4を走らせるために不可欠。それだけに、できるだけ利用料は安くしたい……。ということで、ID.4で利用できるおもな充電カードのコストを比べてみました。 無料特典は1年だけ ID.4 プロ・ローンチエディションを購入してすぐに、「フォルクスワーゲン充電カード 普通・急速充電器併用プラン」(以下、VW充電カード)と「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」に加入したことは[ID.4をチャージせよ!:その3]さっそく補助金を申請! 充電の準備もOKでお話ししました。VW充電カードは、急速充電器だけでも全国に約7,800口ある「e-Mobility Power」(以下e-MP)ネットワークの充電ステーションがカードをかざすだけで利用できるというもの。一方、PCAはフォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェのEVであれば、各ディーラーにある90kW超の急速充電器が利用できます。 ID.4を新車で購入した場合、VW充電カードの月会費7,810円が1年間無料になります。利用料金は、急速充電が1分あたり16.5円、普通充電が同2.75円。なお、月会費には急速充電90分の料金が含まれています。また、PCAはフォルクスワーゲンに設置された90kW超急速充電器にかぎり、毎月60分まで無料で利用が可能。さらに、私が購入した導入記念モデルのローンチエディションは、月額会員プランの入会金と1年分の基本料金が無料になるため、アウディやポルシェでも利用できます。 こうした特典のおかげで、12月から2月までの充電料金は次のようになりました。   VW充電カード PCA 計   充電時間[分] 料金[円] 充電時間[分] 料金[円] 充電時間[分] 料金[円] 12月 302 3,630 200 6,300 502 9,930 1月 272 2,730 98 1,710 370 4,440 2月 329 4,080 104 1,950 433 6,030

TAG: #ID.4 #充電 #節約
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
「ポールスター2」に230台限定のスポーツモデル「BSTエディション230」登場……デイリーEVヘッドライン[2023.03.23]

「野獣」を意味する「BST」の冠 レーシングストライプがマッスルカーを想起 【THE 視点】ボルボグループのポールスターは3月21日、EVセダン「ポールスター2」の高性能モデル「BSTエディション230」を欧州で発表した。欧州と北米向けに合計230台が限定販売される。 「BSTエディション230」は、最高出力350kW(476ps)・最大トルク680Nm(69.3kgm)に強化されたロングレンジ・デュアルモーターの4輪駆動モデルであり、0–100km/hは4.4秒の性能を持つ。 ボディカラーには、グリーンの専用色「ヌベッラ」やスペースブラックが用意され、オプションでマットブラックのボディストライプが選択できる。内装は、シートとステアリングホイールが「マイクロスウェード」で仕上げられている。 足回りも手が入れられ、特別に開発されたオーリンズのダンパー/20%剛性が高いスプリング/フロントストラットバー/ブレンボ製ブレーキ/ピレリ・Pゼロ(245/35R21)のタイヤを装備。車高は標準車より25mmローダウンとなった。出力や専用ボディカラーだけではなく装備面でも特別なものが与えられ、スポーティな印象が高まっている。 「BST」とは「野獣」を意味し、性能も装備もハイスペックで、一流のアフターパーツブランドを装備したカスタムカーのようだ。日本で販売されないのが残念である。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フォード、EVの新型SUV「エクスプローラー」を欧州で発表……設計も生産も欧州で実施した事実上の欧州車 ★★燃料給油とEV急速充電ができるマルチなサービス・ステーション「ネクストフォート」がオープン(愛知県春日井市)……春日井燃料が運営 ★BMW、フロントガラスの全幅に広がるヘッド・アップ・ディスプレイを量産化……2025年よりEVへの搭載を見据える[詳細はこちら<click>] ★ボードリー、石川県小松市で自動運転EVバスを実証実験(3月20日に終了)……北陸新幹線小松駅開業を見据えて実施 ★日産、カーシェアサービス「NISSAN e-シェアモビ」を北海道檜山振興局(北海道檜山郡江差町)に設置……「リーフ」を2台、ソーラーカーポートから直接充電 ★日産、三重県四日市市と「ブルー・スイッチ」施策で連携……災害時にEVを電源車として提供するなど

TAG: #THE視点 #ニューモデル #ポールスター2
TEXT:福田 雅敏
企業同士の協力が新エネルギーを普及させる……現役EV開発エンジニアによる「スマートエネルギーWeek」探訪後編[THE視点]

「スマートエネルギーWeek 春」は、新エネルギーの総合展である。「FC EXPO 水素・燃料電池展」「PV EXPO 太陽光発電展」「二次電池展」「スマートグリッドEXPO」「WIND EXPO 風力発電展」「バイオマス展」「ゼロエミッション火力発電 EXPO」の7つの展示会で構成されている複合イベントだ。今回はその中からEV/FCEVに関連するブースの内容を紹介する。 全固体電池の実用化間近も量産化は先 「スマートグリッドEXPO」では、前編[詳細はこちら]で紹介したホンダのブース以外にもトピックが盛りだくさんであった。 ソリッドバッテリー(全固体電池)ブースでは、最新の全固体リチウム電池が展示されていた(残念ながら撮影は厳禁)。エネルギー密度は、今のリチウムイオン・バッテリーと同程度の200~300wh/kgだが、寿命がリチウムイオン・バッテリーの数十倍あるという。しかし現状は少量での生産体制になるので、量産EVへ搭載されるのはまだ先であろう。 ただ全固体電池の量産が実現できれば、充電時間も早くなるうえEVの電池寿命の心配がなくなり、EVの価値の向上にも大きく貢献する。全固体電池で量産EVを発売すると伝えられているのは日産で、2028年がその元年になる予定である。5年先だが、開発体制などを鑑みても、実際問題としてそれぐらいかかるだろう。 各社が模索する充電への課題 「パワーエックス」は、電気で動き電気を運ぶ電気運搬船「Power Ark 100」の模型を展示した。この性能は航行可能距離100~300km(電力推進のみの場合)で、速度は巡航:10ノット(約18km/h)/最大:約14ノット(約25km/h)。搭載電気容量は222MWh。なんと、100kWhのEVに換算して、2,220台分の容量である! 船はスケールが違う。 シャープエネルギーソリューションのブースでは、「トヨタ・プリウスPHV」に高効率太陽光パネルを張り付けた実証試験車を展示。この太陽光パネルの効率は何と34%以上で、発電能力は860W。1日充電すると、走行距離換算で56.3km相当分を充電できるという。この距離を太陽光で充電できるならば、通勤程度の使用は日中駐車場に置いておくだけで、太陽光の発電のみで賄えてしまうことになる。 パナソニックエレクトリックワークス社のブースでは、太陽光パネルを車庫の屋根に置き、その電気でEVを充電できるものが提案されていた。災害時等で停電になった場合には、住宅への給電能力も備えている。 ベルエナジーのブースでは、EVの電欠時のお助け隊「電気の宅急便」を紹介していた。充電サービスカーの「日産サクラ」にバッテリーを積んで展示。これがあれば電欠時にレッカー移動せずその場で回復できるので安心である。 サンエイ工業では「レイモ」という電池交換式のラジコン式芝刈り機が展示されていた。これなら土手など人が作業しずらい場所でも手軽に作業が行えるうえ静かでクリーンである。 そのほか、エネチェンジが「テスラ・モデル3」とともに6kWの普通充電器を展示していた。 「二次電池展」には、テンフィールズファクトリーが急速充電機を「テスラ・モデルⅩ」とともに展示していた。2月24日の「デイリーEVヘッドライン」でも取り上げた、従量課金型のものである[詳細はこちら]。 ジェイテクトのブースでは、水素燃料電池(FC)を使用したドローンが展示されていた。FCを補助電源装置として活用しているという。今の電動ドローンと比較して60~80分の長時間飛行が可能となるのが特徴だ。 大豊産業のブースでは、EVカーシェアリング「eemo」で使われるEV「FOMM ONE 」が展示されていた。 各社の協力関係で水素エネルギーを普及 「FC EXPO 水素・燃料電池展」では、まずトヨタグループのブースが目立っていた。 トヨタ製の燃料電池(FC)モジュールが展示され、その横には、その燃料電池のセルを使ったBMWのFCモジュールが展示されていた。これは2月に発表されたBMWのSUV「X5」をベースにした燃料電池車「iX5ハイドロジェン」用のもので、今後約100台生産し、実証テストを世界規模で行うと発表されたもの。ブースのスクリーンには、その走行試験のムービーも流れていて、雪の中でドリフト走行も披露した。 BMWの関係者はいなったが、トヨタの関係者に話を伺うと、展示されているトヨタのFCモジュールは現行のFCEV「ミライ」のものだが、BMWのFCモジュールは、そのセルをさらに多く使い出力をあげ、高出力の二次バッテリーと併せ、非常にハイパワーになっているという。FCEVとはいえ、寒さを苦手とするFCEVでドリフト走行を可能とするとは、BMWらしさが前面に出ているのではないだろうか。 そしてトヨタの隣のブースはホンダで、次世代FCモジュールが展示されていた。出力は80kWとされ、GMと共同開発したもの。2024年に市場投入が予定されている「CR-V」ベースのFCEVに搭載されるものと同じユニットだという。価格を従来のFCモジュールの1/3まで抑え込んだというもので、今後外販もしていくとのことだ。 さらにトヨタの前には川崎重工業のブースがあり、オーストラリアから水素を輸入するための水素運搬船の模型と、ブースの壁には「トヨタ・ガズー・レーシング」の「スーパー耐久シリーズ(S耐)」参戦車両である水素エンジン仕様の「カローラ」のポスターが大きく張られていた。トヨタと川崎は水素を通じて協力関係にあり、S耐車両に使用する水素を、川崎の水素運搬船が運んでいる。 少し離れたところだが、東京アールアンドデーもブースを構えていた。そこにもトヨタのFCモジュールが展示されており、小型燃料電池バスのプレゼンテーションが行われていた。トヨタのモジュールを使うことで、これまでより室内空間が広くなるという。 また、水素エンジンのトラックもiLABOのブースに展示されていた。ディーゼルエンジン車を改造したもので、70MPaの水素タンクを運転席キャビンと荷台の間に積んでいた。 このFC-EXPOで感じたのは、企業同士のアライアンスが前面に出ていたこと。水素を普及させるためには、欠かせないものなのかもしれない。 今回のスマートエネルギーWeek 春、7つのテーマからなるイベントだけに、EVだけでなく、それに関連する多くの企業が出展していた。企業同士の協力関係など、普段はなかなか知ることができない取り組みも多く見られ、とてもユニークで学びにもなるイベントである。秋にも開催予定なので【幕張メッセ(千葉市美浜区)/9月13日(水)〜15日(金)】、是非会場に足を運んでいただきたい。

TAG: #THE視点 #スマートエネルギーWeek
TEXT:福田 雅敏
ホンダの電動戦略のカギは脱着式可搬バッテリーにあり……現役EV開発エンジニアによる「スマートエネルギーWeek 春」探訪前編[THE視点]

モバイルバッテリーからEVまで対応可能な「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」 「スマートエネルギーWeek 春」内「第13回 国際スマートグリッドEXPO春」が3月15~17日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された。出展社の中には本田技研工業(ホンダ)もあった。その展示内容がユニークだったのでレポートする。 今回の一番の特徴は、ホンダブース内の展示物全てが現在拡販を狙っている脱着式可搬バッテリー「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」(MPP)を電源とした製品を展示していること。その活用事例が今回の展示のコンセプトだ。 まずはその核となる「MPP」のスペックは、バッテリーパック1個あたり50.26Vを発生するリチウムイオン式で、容量1.314kWh/重量10.3kgとなっている。今回は価格も発表されており、8万8,000円(税込)/個となっている。ただしカタログには法人限定販売と書かれていた。理由はバッテリーリサイクルの社会的責任からだという。 そして今回の展示物の中でひときわ目立っていたのが、初公開となった「N-VAN」をベースとしたEVだ。ホンダは昨年12月、「2024年春に「N-VAN」ベースのEVを発売する」と発表していた。しかし今回展示されていた車両は正式版ではなくあくまでもコンセプトカーで「MEV VAN Concept」と名付けていた。 このコンセプトカーの特徴は、MPPを8個搭載しており、総容量は10.4kWhでEVとしては少ない。しかし交換できるのが特徴で、それに要する時間はわずか数分。そのため、交換用バッテリーの用意があればすぐに走り出せるので充電時間が省けるとし、「固定式バッテリーとは異なる魅力と価値の提供を検証する」としている。 クルマの仕様としては、出力14kWのモーターを前後に配置した4WDで、最高速度が70km/h以上、航続距離は75kmと発表されている。2024年春に発売が予定されている量産EVは、床下固定式とのことでバッテリー容量が多い実用的なものになるだろう。 そのほか、ホンダブース内に展示されていたものとしては以下のとおり。 ・MPPを24個同時充電できる充電設備「モバイル・パワー・パック・エクスチェンジャー e:」 ・MPP1個を充電できる専用充電器「パワー・パック・チャージャー e:」。 ・ポータブル電源「パワー・エクスポーター e:6000」とその小型版「パワー・ポッド e:」 ・三輪のEVスクーター「ジャイロ キャノピー e:」 ・電動パワーユニット「eGX」搭載の「レーシングカート」 ・「耕うん機」 ・「小型船舶向け電動推進機」 etc… ホンダのラインナップだけでもこれだけ多彩に展示されていた。 他社へも惜しみなく供給、犬猿の仲とも言われたヤマハ発動機にも 次に目を引くのが、ヤマハ発動機と協業して開発されたパーソナル低速モビリティの汎用プラットフォーム・コンセプト「ヤマハ・モーター・プラットフォーム・コンセプト」だ。なんとホンダのブースにヤマハ車の展示である。 そして建機の展示へと続く。3月14日のEVヘッドラインでも紹介したコマツの電動マイクロショベル「PC05E-1」[詳細はこちら]。これには「MPP」と同時に、ホンダの電動パワーユニット「eGX」も採用されている。 このほか「MPP」を活用した各社のさまざまなコラボレーションモデルが展示されていた。 ・電動バイブレーションローラーのコンセプトモデル(三笠産業) ・電動ハンドガイドローラーのコンセプトモデル(酒井重工業) ・スプリットライトLED投光機 PL-241SLB(デンヨー) ・秋田版スマート農業モデル創出事業「大玉トマト収穫ロボットコンセプト」(デンソー) ・DX-CELLコンセプト(デンソー) etc… あたかもホンダのブースだけで、電動モデルの見本市のようであった。 このMPPにより、建機などが大型の電動工具のようになることで、排ガス・騒音の問題をクリアでき屋内でも使用可能というケースも増えるかもしれない。振動も少ないことから身体への負担も軽減でき働き方改善にもつながる。 電動化により、これまで競合していた企業やホンダとも関わりのなかったであろう企業との間にイノベーションが生まれている。これからもより多くのモデルが、ホンダのMPPを活用して生まれることを願うばかりである。MPPに対する意気込みを非常に強く感じたホンダのブースであった。

TAG: #EV建機 #THE視点 #スマートエネルギーWeek

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ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
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イベント
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
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