最新コンピューターの採用による自動運転技術の進化に期待
ソフトウェアの側面ではソニーらしさが存分に感じられた。いっぽうでハードウェアにホンダらしさがあらわれていることも期待したいが、モーターやバッテリー容量、航続距離など、EVとしてのスペックは公表されなかった。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式。駆動方式はAWDということだけが判明している。発表はされていないが、構造を考えるに2モーター式なのは間違いないだろう。タイヤサイズは大径のフロント245/40R21、リア275/35R21。空気抵抗を減らすためか、外部からはブレーキがほとんど見えないディスクタイプのホイール・デザインも特徴的だ。
既報のとおり、プロトタイプではソニーの得意とする45個のカメラおよびセンサーをボディの内外に搭載。ドライバーの運転状況や走行状態を常にモニタリングし、不慮の交通事故防止へ貢献、特定条件下での自動運転機能「レベル 3」を可能とする。
クアルコム・テクノロジーズが開発するスナップドラゴン・デジタル・シャシーを最大 800TOPSの演算性能を持つハードウェアに採用予定としており、AD/ADAS、HMI/IVI、テレマティクスなどの主要機能を実現する。日本では他に先駆けて2021年に販売した、レジェンドの自動運転レベル3「Honda SENSING Elite」を搭載した技術がこのアフィーラにも生かされているのは間違いないが、これら最先端コンピューター技術により、これまでホンダが培ってきた自動運転技術をさらに高度化することが期待される。
発表どおりのスケジュール感を実現できるか?
生産はホンダの北米工場で行われるそうだが、動力性能、搭載されるエンターテインメントの内容、車名や価格など、一番知りたい部分の詳細はまだまだ検討段階にあるのか、今回明らかにされなかった。
しかし筆者自身EVの開発者として、ソニーとホンダの提携発表からわずか10カ月余りで動くプロトタイプを公開というスピード感には驚いた。2025年前半の先行受注と同年度中の発売、2026年春のデリバリー開始と、わずか3年で開発から量産車の販売に向けて開発を進めるという道のりは、SHM社開発陣にとって相当タイトな計画となるはずである。さまざまな部分において携帯端末と同様、発売後のアップデートを前提としたスケジュール登場なのではないかと思う。CESを含め今年発表されたEVでは一番興味深いものだけに、THE EV TIMESとしてはそれらが判明した段階で改めて報告したい。