#空飛ぶクルマ
TEXT:TET 編集部
“空飛ぶクルマ”のビジネス化に向け前進。丸紅、エイチアイエス、みずほ銀行、東京海上日動が協業

丸紅、エイチアイエス(HIS)、みずほ銀行および東京海上日動は8月30日、大阪府・大阪市・兵庫県が連携して公募した、“空飛ぶクルマ”の社会実装促進の補助事業に採択されたと発表した。 関西エリアでの事業化を検討 今回4社が実施する事業は、大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日)開催後の関西エリアにおける空飛ぶクルマ運航事業の推進体制の整備・構築を目的として、関係者と協働し事業性を検証するもの。具体的には、(1)関西エリアにおける需要分析、(2)候補ルート毎の運航条件の調査、(3)候補ルート毎の最適な充電・バッテリー管理方法に関する調査を行うとしている。 (2)および(3)に関する候補ルートは関西地方の広範囲に及んでおり、①夢洲エリア、②大阪市街地(森ノ宮近辺)、③神戸市街地、④尼崎市街地、⑤関西国際空港エリア、⑥神戸空港エリア、⑦但馬エリア(竹田城・城崎温泉・但馬空港)、⑧淡路エリア、⑨高野山エリア、⑩瀬戸内エリア(小豆島・直島・福山)のうち、2エリアを結ぶルートとされた。 つまり、各空港から大阪の中心部および日本海側や瀬戸内海の観光地までをカバーすることで、地域圏内の観光を促進しようする意図が見て取れる。特にインバウンドの増加により、観光産業の需要はますます高まるだろうから、空飛ぶクルマでのスピーディーな移動が実現すれば、新たな観光資源として収益性が期待できそうだ。 また、今回の補助事業が商社、旅行会社、金融機関、保険会社という本格的な事業化に不可欠な4業態のタッグで実現していることも見逃せない。各社の役割は、丸紅が「プロジェクトマネジメント、検証調査、事業計画精査・評価」、HISが「空飛ぶクルマのチケット販売にかかわる料金および販促アイデアなどの精査」、みずほ銀行が「空飛ぶクルマの減価償却費や機体保有に係る料金の精査」、東京海上日動が「空飛ぶクルマの日本国内の運航における航空機保険の設計」とされており、営業、販売から会計等まで全面的にカバーされている。そのため、単に空飛ぶクルマが安全に飛べるかといった技術的な側面だけでなく、旅客運送業として事業が継続的に実施可能かどうかまで入念な検証が可能なのだ。 なお、今回の事業は大阪府及び兵庫県がそれぞれ上限1000万円、大阪市が上限500万円を補助し実施されるもので、正に官民の総力を挙げた取り組みといえる。現在、関西では大阪・関西万博における空飛ぶクルマの2地点間運行に向けて準備が鋭意進められているが、さらにその先まで見据えた施策が既に走り始めているのは、関西がこの分野では日本全体をリードしていくという強い意志の表れだろう。 EVファンとしては、空飛ぶクルマの機種選定や商用化された場合の価格など知りたい情報が山積しているが、この辺りもいずれ見通しが示されるだろう。EV後進国というレッテルを貼られがちな日本も、空飛ぶクルマについては未来へ着実に進んでいる。今回のリリースを受けて、そんな印象が強まった。

TAG: #空飛ぶクルマ
30秒間のホバリングに成功(photo=ASKA)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
“公道を走れる”空飛ぶクルマの開発が前進、「ASKA A5」が開発テストで初飛行に成功[2023.08.04]

商品化に向け必要不可欠な連邦航空局の型式認定手続きを開始 インホイール・モーターの採用で公道も走れる名実を伴った「空飛ぶクルマ」 【THE 視点】米国カリフォルニアに本社を置くASKA社は8月2日、空飛ぶクルマ「ASKA  A5」が初飛行に成功したと発表した。テザーケーブルで地上に繋がれた状態で垂直離陸をし、30秒間の安定したホバリングに成功したという。 「ASKA A5」は、垂直離陸に加えて滑走路を利用した離着陸、そして公道を自走可能な空陸両用の空飛ぶクルマである。7月21日に、連邦航空局(FAA)の認証書(COA)と特別耐空証明を取得し、FAAの型式証明手続きを正式に開始したとも発表している。また、米国自動車管理局(DMV)より公道用のナンバープレートも取得済みだ。価格は1機78万9,000ドル(約1億1,300万円)で、2026年の商業化を目指している。 日本で一般的に認知されている空飛ぶクルマは、ドローンの大型版のようなもので、機構はヘリコプターに近い。 しかし「A5」は、飛行機に近い機構を持つ。浮上後は、推進用のプロペラと「主翼」の揚力を使用し飛行する。翼自体の浮き上がる力を利用するので、エネルギーの節約になる。この機構は、アメリカ海兵隊の輸送機「MV-22 オスプレイ」の仕組みに近い。 飛行航続距離は250マイル(約400km)で、飛行最高速度は時速150マイル(約240km)。パイロットを含めた4人乗りで、ボディの大きさは「SUVサイズ」と公表しているが、写真から推測するに大型の商用バンの方が近いだろう。 飛行のための機構もユニークだが、一般車に混じって公道走行可能なことも大きな特徴だ。駆動系にはインホイール・モーターを採用し、地元シリコンバレーの公道において、300マイル以上(約480km)の走行に成功している。ちなみに駆動系は全てモーターだが、発電用に内燃エンジン(レンジエクステンダー)も搭載している。自家発電機能があれば飛行中の安心感も高くなる。もちろん、エンジンを駆動せずとも家庭用電源や公共の設備を利用して充電が可能だ。 現在、一般認知されている「空飛ぶクルマ」は自走不可の(タイヤ自体がない)電動の航空機である。しかし「A5」は、公道を自走可能というクルマ本来の能力を備えている“本当の空飛ぶクルマ”と言える。 実は筆者の知人がこのASKA社のボードメンバーにおり、5月に会った際に話は聞いていた。三菱重工の小型ジェット機「MRJ」が商業化から撤退した理由は、型式認証の影響もあったようで、「A5」はこの関門をクリアしての発表である。ASKA社内の雰囲気は、失敗に対しては「良い経験を積んだ」と寛容なようで、長距離飛行テストもじきに開始されるだろう。 日本でも、2025年の「大阪・関西万博」でのデビューに向けて空飛ぶクルマの開発が加速している。しかし名実を伴う空飛ぶクルマは、ASKAが先を飛んでいるように思う。やはり地を走れてこその「クルマ」ではないだろうか。 アメリカ本国では、「A5」のプレオーダーが始まっている。日常は陸路で子どもの通学の送迎ができ、休日には空を飛んで隣県の大型スーパーに買い物に行けるような“スーパーカー”のお値段は、なんとハイパー・スポーツカー「パガーニ」などよりも安い。2026年の発売が待ち遠しい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★DMM、EV充電サービス「DMM EV CHAGE」に「NACS」規格を導入……テスラが採用する充電規格、2024年から高速道路のSAなどで利用可能に ★BMW、「iX」などでプレイ可能な車内ゲーム開発を推進……スマートフォンをコントローラーにインフォテイメント・システムの画面でゲームをプレイ、充電の待ち時間をエンターテイメントに ★ブレイズ、三輪のEVスクーター「EVデリバリー」向けに大容量積載BOXを発売……200Lの大容量、8万8,000円 ★ボルボ、2023年7月のEV販売台数は5,504台……前年同月の1,583台から大幅増加 ★オランダ・アイントホーフェン工科大学の学生フォーミュラチーム、EVフォーミュラマシンの15%軽量化に成功……米国VICORの電源モジュールを採用 ★BMWとエアバスなど、燃料電池の開発に「量子コンピューター」を活用し協力……白金触媒の反応を正確にシミュレーション ★パワーエックス、東急不動産などが運営するコワーキング・スペース「TENOHA 東松山」<埼玉県東松山市>に系統用バッテリーを導入……系統用としては国内初 ★三菱ケミカルグループ、リチウムイオン・バッテリー(LIB)の原料「γ-ブチロラクトン(GBL)」を増産……LIBの材料となる「N-メチル-2-ピロリドン(NMP)」の原料に使用、EVや半導体の需要増を見込む ★商船三井、水素製造用の純水製造システム開発が滋賀県から補助対象に……海水からも高純度の純水の製造が可能な技術を開発・実証実験 デイリーEVヘッドライン[2023.08.04]

TAG: #THE視点 #海外ビジネス #空飛ぶクルマ
TEXT:TET編集部
スズキ、空飛ぶクルマ事業へ前進:24年春生産開始を目指しスカイドライブと基本合意書を締結

スズキの工場で「空飛ぶクルマ」を作る スズキ株式会社(以下、「スズキ」)は、「空飛ぶクルマ」の製造に向けた協力について、株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO福澤知浩、以下「スカイドライブ」)と基本合意書を締結。調印式にはスズキの神代英俊 常務役員、スカイドライブの福澤知浩 代表取締役CEOが出席した。 スカイドライブは「空飛ぶクルマ」の製造を目的とした100%出資の子会社を設立する。スズキとスカイドライブは、スズキグループが静岡県内に保有する工場を活用し、2024年春ごろから製造開始を目指す。スズキは、スカイドライブ製造子会社の人材確保など、製造開始に向けた準備についても協力する。より具体的な条件については協議を継続し、別途取り決める予定。 2022年3月には 両社が「空飛ぶクルマ」の事業・技術連携に関する協定を締結した。さらに同年9月には、スズキがスカイドライブへの出資を明らかにしている。今回の基本合意書締結は、こうした協力関係をさらに強固にするものだ。 2社の連携協定には、機体開発及び要素技術の研究開発、製造・量産体制および計画、スズキの四輪・二輪・マリンに「空飛ぶクルマ」を加えた新しいモビリティの具体化、インドを中心とした本件対象の海外市場開拓など、「空飛ぶクルマ」の社会実装実現を目指した幅広いターゲットが盛り込まれている。

TAG: #スカイドライブ #スズキ #モビリティ #空飛ぶクルマ

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
BYDの勢いが止まらない! 新エネルギー車の生産台数が世界初の1000万台を突破
日産からセダンのEVが出るぞ! 中国向け車両「N7」を初公開
過酷なダカールラリーで排気量998㏄の「水素小型エンジン」を鍛える! HySEが2025年の参戦を発表
more
コラム
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解
充電が無料でできる施設は税金のムダ遣い? 地方自治体の取り組みの是非を考える
EVの走りはむしろ好き! エンジン車も同時に所有! それでもEVライフを終了した理由をオーナーが激白
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択