#一充電走行距離
TEXT:御堀直嗣
EVで「大は小を兼ねる」の考えは損する可能性アリ! 航続距離2倍を求めるとバッテリー容量は2倍じゃ足りないワケ

一充電走行距離はモデルによって大きく異なる 電気自動車(EV)の性能を測る指標として、一充電走行距離が注目されている。メルセデス・ベンツEQS 450+はWLTCで759kmを達成している。テスラ・モデル3のロングレンジは706kmだ。 それらの数値は、一度の給油で1000km走れるようなディーゼルターボ車にはおよばないものの、700km前後走ると、東京から東へは青森県、西へは岡山県あたりまで行けるだろう。高速道路を時速100kmで走り続けたと仮定して、7時間の行程だ。 一方、現在もっとも一充電走行距離が短いのは、日産サクラ/三菱eKクロスEVの180kmである。メルセデス・ベンツEQS 450+の4分の1以下でしかない。 そのうえで、考えてみる。700kmもの一充電走行距離が、本当に必要かどうか? 一充電走行距離に関わるバッテリー容量は、大きすぎると電力消費の効率が悪化する。したがって、普段のクルマの使い方(どれくらいの距離を走ることが多いか)を、再確認するのがまず第一歩だ。 その答えのカギを握るのが、給油と充電の仕方の違いを理解することだ。 ディーゼルターボエンジンのクルマは、満タンから走れるとされる1000kmを走り切ったら、給油しなければならない。給油するにはガソリンスタンドを探し、そこへ行かなければならない。 EVで、満充電から走れる700km走ったあとは、それが目的地であろうと自宅に戻った場合であろうと、200ボルト(V)のコンセントから充電すればいいため、ガソリンスタンドのような専用施設を訪ねる必要がない。これが基本だ。 もちろん、まだ基礎充電(自宅や仕事場での充電)や目的地充電(行った先での充電)の整備が十分でないのも事実だ。本来、充電施設の整備は、基礎充電と目的地充電が優先されるべきだった。経路充電と位置付けられる急速充電は、それらを補完する設備であることへの理解が不足していた。それが主客転倒の事態を招いてしまった。このため、一充電走行距離の長いEVが必要との誤認を消費者に与えてしまった。 EVの充電基盤整備を、本来の姿で完成させていくことが、適正な走行距離選びに不可欠の条件になる。

TAG: #リチウムイオンバッテリー #一充電走行距離
TEXT:山本晋也
これってカタログ詐欺? EVのカタログ値と実際の航続距離が大きく異なるワケ

一充電走行距離と航続可能距離は異なる概念 EVに対する批判のひとつとして「カタログ値と実際の走行可能距離にあまりにも差が出過ぎだろ! なんでこんなにも航続距離に差が出るのか納得できない」というものがある。 たしかにカタログに記載されている一充電走行距離(WLTCモード)とメーター表示の航続可能距離は、それなりに乖離している印象もある。下に示すのは筆者が所有している電気自動車のフィアット500e(チンクエチェントイー)のメーター画面だが、ここに表示されている数字だけでもいくつかの違和感を覚えるのではないだろうか。 たとえば、フィアット500eの一充電走行距離(カタログ値)は335kmとなっている。しかし、左側の表示をみると充電率88%に対して、航続可能距離は223kmにとどまっている。もし満充電時に335kmなのであれば88%時に295km程度でなければならないのにだ。 ご存じのように、航続可能距離というのは直近の運転状況にしたがって計算されている。そのため、カタログスペックどおりにはいかないものだ。電費に悪い乗り方をしていればカタログスペックより短い航続可能距離になることはおかしくない。むしろ、カタログスペックで単純計算するより、リアルな運転に合わせて計算するほうが親切といえる。 ただし、上で示したメーター画面の中央付近に表示されているように、直近50.8kmの平均電費は10.4km/kWhとなっている。フィアット500eのバッテリー総電力量は42kWhとなっており、これらの数字をもとにすると、航続可能距離は以下の計算式で導かれるはずだ。 10.4km/kWh×42kWh×0.88≒384km つまり、メーター表示の航続可能距離は計算で導かれる航続性能の6掛けとなっているのだ。 こんなにアバウトな計算では役に立たない……と思ってしまうかもしれないが、一充電走行距離と航続可能距離というのは根本的に異なる概念であって、それぞれを関連付けて性能を判断するのは適切ではないのも事実だ。 WLTCモードでの一充電走行距離については、エアコンなどを使わず、規定された走行モードで走行不能になるまで走ったときの航続距離と理解すればいい。

TAG: #一充電走行距離 #航続可能距離

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