#ギガファクトリー
TEXT:烏山 大輔
フォルクスワーゲンとPowerCo(パワーコー)、カナダに過去最大規模のバッテリーセル工場を建設へ

フォルクスワーゲンと同社のバッテリー事業を担う子会社であるパワーコーが、カナダのオンタリオ州、セント・トーマスに、同社にとって過去最大規模のバッテリーセル工場を建設すると発表した。 パワーコーが欧州以外で初めて建設する工場で、年間最大90GWhのセル生産を目指す。 3ヵ所目、かつ最大規模のギガファクトリー セント・トーマス工場はフォルクスワーゲンとパワーコーにとって、ドイツ・ザルツギッター(生産能力40GWh、2025年稼働予定)、スペイン・バレンシア(同60GWh、2026年完成予定)に次いで、欧州以外では初のセル生産用ギガファクトリーだ。 最先端のユニファイドセル(どのVWのBEVでも使える統一規格のバッテリーセル)技術を採用し、北米におけるグループのBEVに使用される予定だ。工場の起工は2024年、生産開始は2027年を見込んでいる。 最終拡張段階で最大90GWh(1台当たり80kWhで112.5万台分、同60kWhで150万台分)の年間生産能力を持つこの工場は、昨年8月にフォルクスワーゲン、パワーコー、カナダ政府が合意した大規模計画の一環で、カナダにおけるeモビリティの推進に向けて、バッテリー生産の価値創造と原材料の確保に重点を置いている。 新工場では最大3,000人の高度技術者の雇用を創出し、さらにこの地域で数万人の間接雇用を生み出す可能性がある。今回の発表は、カナダのジャスティン・トルドー首相、イノベーション・科学・産業大臣のフランソワ・フィリップ・シャンパーニュ氏、オンタリオ州のダグ・フォード首相、オンタリオ州の経済開発・雇用創出・貿易大臣のビクター・フェデリ氏、セント・トーマス市長のジョー・プレストン氏が出席する中で行われた。 フォルクスワーゲン・グループのトマス・シュマル技術担当取締役は、「北米は、当社のグローバルバッテリー戦略において重要な役割を担っています。この地域は、ヨーロッパに次ぐパワーコーの第2の柱となり、北米で製造されたバッテリーセルを北米市場向けに提供します」と述べている。 パワーコーは2030年までに200億ユーロ(約2兆9,600億円)を超える年間収益を上げることが期待されている。 米自動車業界の中心で電池を生産する パワーコーがカナダにセル生産ネットワークを拡大することを決定したことは、フォルクスワーゲン・グループの北米における野心的な成長戦略をさらに実証する。 この戦略には、2030年までに米国とカナダで最も幅広いフルエレクトリックカーのポートフォリオを導入すること、米国とカナダでエレクトリファイ・アメリカ(※)の東海岸から西海岸までの充電ネットワークを拡大すること、2026年にSUVの元祖ともいわれる「スカウト」ブランドの最初のフルエレクトリックバージョン(サウスカロライナ工場で生産する計画)を導入することが含まれている。 ※エレクトリファイ・アメリカ。フォルクスワーゲン傘下の企業で、米国とカナダに充電ステーションを展開している。その一部にはコーヒーバーなどを備えた待合スペースのある「チャージング・ラウンジ」も含まれる。 ギガファクトリーが五大湖自動車回廊地帯の中心に位置する戦略的立地も注目に値する。オンタリオ州ロンドンから南へ約30kmに位置し、トロントやデトロイトなどの大都市からのアクセスも良好だ。工場は、サッカー場210面分に相当する約370エーカー(150ヘクタール)の敷地を有し、1,500エーカー(600ヘクタール)に及ぶ産業・サプライヤーパークの一部となる予定だ。さらにこの工場は100%CO2フリーのエネルギーが供給される予定である。

TAG: #ギガファクトリー #バッテリー #工場

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
BEV大国の中国で販売が失速! ここ数年でPHEVのシェアが伸びていた
中国市場でファーウェイのEVが爆発的人気! ライバルを凌ぐ激安っぷりと超豪華内装のAITO M9とは
more
ニュース
レンジローバーPHEVの使用済みバッテリーを再利用! エネルギー貯蔵システム「BESS」で真の循環型経済の実現を目指す
家を買ったらヒョンデのEVもついてくる!? ヒョンデKONAとYAMADAスマートハウスのセット販売が開始
日産は中国市場で年間販売台数100万台達成を目指す! 経営計画「The Arc」に沿って戦略的コンセプトカー4台を公開
more
コラム
数字だけ高スペックでも実際の充電は遅い! EVの進化についていけない急速充電器の現状
テスラ・モデルYに600km走れるRWD登場も日本導入はナシの予想! 日本は「ジュニパー」の登場に期待
爆速充電と超豪華な内装を引っ提げたミニバン「MEGA」が爆誕! 驚きの中身とひしめくライバルとの比較
more
インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
more
試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
more
イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択