岩尾 信哉 記事一覧

TEXT:岩尾 信哉
トヨタが水素製造用水電解装置を開発、デンソー福島工場で稼働開始

トヨタは燃料電池車(FCEV)「ミライ」のFCスタックなどを流用して、水を電気分解して水素を製造する水電解装置を新たに開発。今後の普及促進に向けた技術実装の場として、2023年3月にデンソー福島が運営する工場(以下、デンソー福島工場)において稼働を開始する。トヨタは今回開発した水電解装置に搭載しているスタックなどを、3月15日(水)~17日(金)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「FC EXPO(水素・燃料電池展)」に出展する。 FCEV用スタックを流用した水素生産設備 2021年6月以降、トヨタは福島県と共同で「福島発」の水素・技術を活用し、新たな未来のまちづくりに向けた活動を進めてきた。 今回発表された水電解装置が製造するクリーンな水素を利用して、工場ガス炉で自家消費する「水素地産地消」モデルの構築を目指すとしている。 なお、今回のデンソー福島工場における水素利活用は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として実施する。

TAG: #トヨタ #燃料電池
TEXT:岩尾 信哉
東京都がマンションへの電気自動車(EV)用充電設備設置に関する無料相談会を開催

電気自動車(EV)の普及にとって、充電インフラの整備は大きな課題のひとつ。使い勝手として都市部周辺で立ち寄れる充電施設の数が増加することは重要だ。 いっぽうでいざEVの購入を個人で検討するとなれば、住環境と設備投資を考える必要がある。さらにマンション住まいで居住施設に充電設備がなければ、大きなハードルになってしまう。 そこで東京都は、マンションへの充電設備の設置に関する無料相談会を開催する。EV普及を促すための新規住宅向けに充電施設設置の義務化を実施した都の取り組みと合わせて、内容を紹介する。 マンションへのEV用充電設備の設置を推進 東京都は2月22日に、充電設備の設置に関心のある都内のマンション管理組合・住民などを対象に、個別の無料相談会を開催することを発表した。 最近ではEV用充電設備の設置から運用、維持管理までをトータルで行う新しい充電サービスが出てきている。東京都はこのようなサービスを活用することで、マンション管理組合での合意形成が進めやすくなるとしている。さらにこの動きを後押しして、集合住宅への充電設備の普及促進を図るため、関連する団体・事業者等で構成する「マンション充電設備普及促進に向けた連携協議会」を設けた。 今回開催される相談会では、マンション向けに設置実績のある充電事業者から様々な充電サービスを紹介しつつ、個別ブースを設置して、充電事業者による無料相談を実施する。概要は以下の通り。 (1)日時:令和5年3月21日(火曜・祝日):13~16時 (2)会場:ベルサール三田(港区三田3-5-27) (3)対象:都内のマンション管理組合・住民、都内マンションの管理会社、都内マンションオーナー等 (4)プログラム概要  第1部(13時00分から14時50分)≪全参加者向け≫  都の補助金、アドバイザー派遣事業等の支援策の紹介、充電サービス事業者各社による事業紹介(第1部のみオンライン視聴が可能)  第2部(15~16時)≪希望者向け≫  個別ブースでの充電サービス事業者各社との無料相談会 (5)定員:200名(先着順)  参加はひとつのマンション・団体等から2名まで(オンライン視聴には定員なし) (6)申込方法:ホームページ:https://tokyo-ev.jp/bosyuから申し込みを受け付け  申込期限:3月14日(火)、17時まで (7)説明予定の充電事業者(50音順):下記の連携協議会メンバー  株式会社エクシオテック、中央電力株式会社、テラモーターズ株式会社、東京ガス株式会社、株式会社ファム、ユアスタンド株式会社、ユビ電株式会社、Ring-ndx株式会社 集合住宅へのインフラ整備のための協力体制 東京都としては、ZEV(Zero Emission Vehicle:走行時にCO2などの排出ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の総称)の普及拡大に向けて、自宅等で充電できる環境を整備することが重要であり、集合住宅に充電設備を設置する場合は住民の合意形成が必要となる。このため、戸建住宅に比べて普及が進んでいない現状があるとしている。 前述の連携協議会の具体的な活動内容として、特に課題が多いとされる既存の集合住宅における充電設備の普及促進に向けて、充電事業者やマンション事業者等の関連事業者と連携し、導入事例やノウハウ等を共有する。都内マンションにおける充電設備の導入ニーズや導入にあたっての課題等を掘り起こし、個々の状況に合わせてマッチング等を図るとしている。以上の内容の詳細については、東京都環境局 気候変動対策部 家庭エネルギー対策課(Mail:S0213305@section.metro.tokyo.jp、Tel:03-5388-3533)に問い合わせられたい。 東京都のEV充電設備等の設置義務化とは 今回の相談会開催のきっかけといえる、2025年4月より開始予定のEV用充電設備等の設置義務化の概要について確認しておこう。 東京都はエネルギー大消費地の責務として、2030年までに都内の温室効果ガスを50%削減する「カーボンハーフ」の実現に向け、再生可能エネルギーの利用拡大を推進している。さらに東京都は、2030年までに乗用車の新車販売台数に占めるZEV割合を50%にする目標を掲げている。こうした背景のもと、新築住宅等への太陽光発電設備の設置、断熱・省エネ性能の確保等を義務付ける制度を設けることになった。

TAG: #イベント #充電 #補助金
TEXT:岩尾 信哉
ルノー・日産・三菱アライアンス、資本提携関係を見直し 日産、ルノーのEV子会社への出資を決定

変化するルノー・グループと日産の関係 ルノー・グループ、日産自動車株式会社、三菱自動車工業株式会社は2023年2月6日、英国ロンドンで会見を行い、ルノー・グループと日産の取締役会での承認を経て、3社のアライアンスをより高いレベルに引き上げることを目指す旨を発表した。 会見の内容として重要なのは、ルノー・グループと日産の資本比率がそれぞれ43%、15%から、どちらも15%に変更されたことだ。日産としては1999年のルノーとの資本提携から20年以上を経て、ようやく「不平等条約」の解消にこぎ着けたことになる。なかでも注目すべきは、ルノー・グループと日産が将来のEV開発に向けて、新たな取り組みを共同で実施するとしている。 世界市場での電動化モデル販売の拡大 今回のアライアンスの発表として、以下のような概要が明らかにされた。注力すべきマーケットとして、ラテンアメリカ、インドおよび欧州において、事業の拡大などのアライアンス強化を推進するとしている。 ラテンアメリカでは、ルノー・日産の協業によるアルゼンチンやメキシコでの新型車の投入を含むピックアップモデルの販売強化などを公表。メキシコでは、日産が20年ぶりにルノー・グループ向けに新型車を生産するとしている。EVに関しては、EV専用のCMF(コモン・モジュール・ファミリー)-AEVプラットフォームをベースとした、日産とルノー・グループの「手頃な」AセグメントのEVを2車種投入するとされる。 市場拡大が見込まれるインドでは、ルノー・グループと日産は、複数の新型車プロジェクトでの協業を検討しつつ、中南米地域と同様にAセグメントEVの導入を検討するという。 ルノー日産による次期B/CセグメントのEV開発 ルノー・グループの主要市場であるヨーロッパについて見てみると、詳細は未公表ながら、将来への取り組みの検討が公表されている。 2026年以降のEVのラインナップに関しては、ルノー・グループと日産は、次世代CセグメントEVにおける協業の可能性を模索するとされる。将来的に技術水準となるような充電時間を達成するために、ルノーと日産は共通の800Vアーキテクチャーの採用を検討するなど、欧州市場向けモデルにおける技術の共有を継続するとした。 具体的には、2026年からルノーのEV生産子会社であるフランスの「ルノー・エレクトリシティ」で生産を予定。従来のCMF-BEVプラットフォームをベースとした将来の日産のコンパクトEV (Bセグメント) など、既存のプロジェクトとともに開発等を推進していくという。 いっぽう、ルノー・グループと三菱自動車は、ルノーの「キャプチャー」「クリオ」の資産を活用し、CMF-Bプラットフォームをベースとした次世代「ASX」「コルト」の2車種の新型車を開発予定としているが、電動化に向けた動きは明らかにされていない。 このように将来的にはアライアンス内でのEVのA/Bカテゴリーはルノー、C/Dは日産がカバーするとしており、三菱に関しては検討中となっている。 既存の長期ビジョンとしては、日産の「Nissan Ambition 2030」やルノーの「Renaulution」が謳われている。これらに基づき、アライアンス・メンバー各社の事業計画を補完するよう立案された今回のビジネスプランは、「各社の持続可能な成長や脱炭素化に向けた目標の実現に向けて、共通性や投資機会の面から活用されます」としている。 具体的には、各社の新たな取り組みに関して、異業種のパートナーが参加可能となるようなビジネス戦略を展開する。電動化や低排出技術について既存の戦略に沿って進めるとともに、ビジネスのうえで付加価値が期待できるパートナー各社のプロジェクトに投資・協業することで合意したという。 前述のように、日産は2021年11月末に「Nissan Ambition 2030」を発表している。今後5年間で約2兆円を投資して電動化を加速するとして、2030年度までにEV15車種を含む23車種の新型EVを投入予定としている。日産はグローバルの「電動車」のモデルミックスを50%以上へ拡大。技術面では、次世代の高性能バッテリーとして注目される全固体電池を、2028年度に市場投入するなどとしている。

TAG: #ルノー #三菱 #日産
TEXT:岩尾 信哉
ホンダの将来に向けた水素事業プラン 次世代燃料電池システムの利用拡大を目指す

ホンダは2023年2月2日、水素事業に関するメディア向け説明会を開催した。これまでの燃料電池車(FCEV)開発などによる水素利用の取り組みを拡大して、燃料電池システムのコストダウンを含めたさらなる技術進化によって、水素を広く社会的に活用していくことを目指す旨を明らかにした。 FCEV、商用車、定置電源、建設機械がターゲット ホンダは今回の説明会において、「カーボンニュートラル社会の実現に向け、製品の電動化の促進のみならず、エネルギーキャリアとしての水素の活用拡大にも積極的に取り組み、水素事業の拡大を目指す」と表明した。 水素事業のコアとなる燃料電池システムのさらなる進化に基づいて、燃料電池システム活用の核となる要素として、「FCEV」「商用車」「定置電源」「建設機械」の4つと定め、他社との協業にも積極的に取り組んでいくとしている。 まずFCEVについては、ホンダはGM(ゼネラル・モーターズ)と共同開発している次世代燃料電池システムにおいて、耐久性2倍、コスト3分の1の実現を目指すという。これらの目標値は2019年に販売を終了したホンダの燃料電池自動車「クラリティ・フューエルセル」の最終仕様に搭載したシステムとの比較となる。 このGMとの取り組みに加え、燃料電池の本格普及が見込まれる2030年頃に向けて、上記の目標からさらに耐久性2倍、コスト半減(GMとの共同開発による次世代燃料電池システムとの比較)を目標値として設定。従来のディーゼルエンジンと同等の使い勝手やトータルコストの実現を目指して要素研究を開始している。 過去を遡れば、ホンダはカーボンニュートラル社会の実現に向けて、いち早く水素の可能性に着目。1990年頃から30年以上にわたり水素技術やFCEVの研究・開発に取り組んできた。 ホンダは2013年からはGMとともに、次世代燃料電池システムの開発を進めており、2022年北米で発売した「CR-V」をベースに、次世代燃料電池システムを搭載した新型FCEVを2024年に北米と日本での発売を予定している。 短い燃料充填時間で長距離を走行できるFCEVの特長に加え、プラグイン機能により、家庭で充電できるEVの利便性も兼ね備えているとのことだ。 商用車に関してホンダは、日本ではいすゞ自動車との共同研究による燃料電池大型トラックのモニター車を使った公道での実証実験を2023年度中に開始予定。 中国でも東風汽車集団股份有限公司と共同で、次世代燃料電池システムを搭載した商用トラックの走行実証実験を2023年1月より湖北省で開始している。 水素利用の拡大のさらなる要素として、燃料電池システムの外販開始と適用先の拡大が挙げられる。 ホンダは「2020年代半ばに年間2,000基レベルで燃料電池システムの社外への販売を開始し、段階的に拡大。2030年に年間6万基、2030年代後半に年間数十万基レベルの販売を目指す」としている。 ホンダは世の中の環境動向を踏まえ、コア技術である燃料電池技術の適用先を自社のFCEV以外にも拡大していくことで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するという。 産業部門に関しては、ホンダは開発ターゲットとする「定置電源」が社会実装として重要となる。近年のクラウドやビッグデータ活用の広がりにより、データセンターの必要電力が急伸し、BCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)の観点でも非常用電源へのニーズが高まっているという。そこで発電に関して、クリーンで静かな非常用電源から、燃料電池システムの適用を提案する。 準備段階として、米国カリフォルニア州の現地法人アメリカン・ホンダモーターの敷地内に「クラリティ・フューエルセル」の燃料電池システムを再利用した約500kWの定置電源を設置し、今月下旬よりデータセンター用の非常用電源として実証運用を開始した。 今後はグローバルのホンダ工場やデータセンターへ適用していくことで、自社で排出した温室効果ガスの低減も図るとしている。 建設機械については、ホンダは建設機械市場の中で大きなセグメントを占める、ショベルやホイールローダーから燃料電池システムの適用に取り組むとしている。 従来の固定式の水素ステーションだけでは対応が難しいとされる建設機械への水素供給について、業界団体や関係者と連携して課題解決を図っていくという。 この他の技術開発として、ホンダは将来的に宇宙領域での燃料電池技術・高圧水電解技術などの水素技術の活用も視野に入れ研究開発を進めるとしている。

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TEXT:岩尾 信哉
米テスラ、米国ネバダ州に2工場増設を発表。 EV用バッテリーとEVトラック「セミ」を生産

電気自動車(EV)専業メーカーである米テスラは、去る1月24日に米国ネバダ州リノ郊外の生産拠点である「ギガファクトリー・ネバダ」に2工場を新設すると発表した。それぞれEV向けバッテリーとEVトラック(トレーラーヘッド)である「セミ」を生産する。新工場新設への投資額は36億ドル(約4,690億円)を想定している。 EV用バッテリー生産を大幅増強  最近では戦略的といえる世界的な値下げ(モデル3とモデルY)で話題となったテスラだが、米国での追加の設備投資を発表することになった。新たに建設されるバッテリー工場では最新のリチウムイオン・バッテリーセル「4680」を生産し、生産能力は年間で小型車用として最大200万台分となる予定。「セミ」初の量産施設については、具体的な生産台数の見込みは示されなかった。 これまでテスラが62億ドル(約8,000億円)を投資してきた「ギガファクトリー・ネバダ」では、EV用のモーターやバッテリーパックのほか、家庭用バッテリー「パワーウォール」などをも生産してきた。ちなみに、2014年にテスラが設立した同工場で生産されたバッテリー総数は73億個(150万個のバッテリーパック)を数える。 今回、発表された新バッテリー工場の生産規模は100GWh(4,680バッテリー)に及ぶ。2030年までにバッテリー生産量を約100倍に引き上げ、バッテリーコストを半減するという目標達成をテスラは掲げている。従業員数は両工場合わせて約3,000人となるという。 EVトラックの量産を開始 テスラが2017年に発表した商用EVトラックである「セミ」は、約5年を経た2022年12月に世界的飲食品メーカーであるペプシコに、ようやく第1号車が納車されたばかりだ。 「セミ」では商用EVにふさわしいブレーキ周りの耐久性の高さやメインテナンスの容易さなどが謳われ、将来に向けて自動運転技術の採用を見据えている。走行性能に関しては、0―100km/h加速が5秒、車両総重量36トンの荷物満載状態で20秒。電費性能は「航続距離が500マイル(約800km)、燃料消費率2kWh/マイル」とのデータをテスラは公表しており、専用充電器「メガチャージャー」によって充電を行うとのことだ。

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TEXT:岩尾 信哉
ポルシェ・マカンEV仕様の開発進行中。基本仕様はこうなる!

ポルシェは1月11日、EV仕様の新型マカンの開発状況を、雪上でのテスト風景などとともに明らかにした。ポルシェは2025年までに販売モデルの半数以上をEVもしくはプラグインハイブリッド・モデルとし、2030年までに80%以上の販売車種をEVとする目標を掲げている。ポルシェでは初めて新たなEV用プラットフォームを採用車種として現れる次期型マカンについて、限られた情報を確認しておく。 新プラットフォームが生み出す「電動マカン」 フォルクスワーゲン・グループ内で、アウディとポルシェはBEV(バッテリー電気自動車)用プラットフォームの開発を共同で進めており、新プラットフォームはPPE(Premium Platform Electric :プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)と呼ばれている。  フォルクスワーゲン・グループのEV用プラットフォームを確認しておくと、現状ではフォルクスワーゲンでは「ID.シリーズ」やアウディのコンパクトモデルである「Q4 e-tron」などには、中小型車用のMEB(モジュラー・エレクトリックドライブ・マトリックス)が使われている。「アウディe-tron GT」や「ポルシェ・タイカン」といったラージクラス用としては「J1パフォーマンスプラットフォーム」が存在する。グループ内のランボルギーニやベントレーといったプレミアム・ブランドへの採用も視野に入れたものだ。これらに加わるのが「PPE」となる。将来はフォルクスワーゲン・グループ内において、J1に代わって上級モデルの主力プラットフォームとして利用される予定だ。 新型マカンのEV仕様について明らかにされた内容を、電動パワートレインから追っていこう。永久磁石同期モーターを利用する駆動システムは、ポルシェが採用する800V高電圧システムと組み合わされ、約450kW(約610ps)の出力と、1,000Nmを超えるトルクに対応すべく開発されている。充電時間に関しては、80%を5~25分以下で充電可能という。フロア下部に搭載される総容量100kWhのリチウムイオン・バッテリーは12個のモジュールで構成。充電施設が400V対応の場合にも、バッテリー機能を2分割して切り替え可能とするなど、利便性に配慮した仕様となる予定だ。

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TEXT:岩尾 信哉
KGモーターズ、「ミニマムモビリティ」コンセプトを「東京オートサロン2023」にて発表。合わせてモニターの募集を開始

1月13~15日に開催された「東京オートサロン2023」において、KGモーターズ株式会社(本社:広島県東広島市、代表取締役CEO:楠 一成)が発表した、超小型モビリティの試作EVが「ミニマムモビリティ」コンセプト(以下、ミニマムモビリティ)だ。「YouTuberから世界に通用する自動車メーカーを目指す」という新興メーカーである同社は、将来の量産販売を見据えて2024年に実施予定のリース式モニターの募集を開始した。 量産目指す魅力的な超小型車 前後左右が共通のデザインが施された「ミニマムモビリティ」は、車両規格が第一種原動機付自転車、原付EVのいわゆるミニカー規格に当てはまる超小型車だ。フレーム+プレスパネルの構造を採るボディのサイズは全長×全幅が2,450×1,090×1,500mm。「80年代のポラロイドカメラ」をモチーフとしたエクステリアは、親しみに溢れた仕上がりを見せる。モーターのパワーは定格出力0.59kW(0.8ps)、最高出力5kW(6.8ps)。100V電源による充電機能を与えられ、5時間充電で100kmの航続距離を想定している。 KGモーターズは「ミニマムモビリティ」の発表と同時に、将来に向けてモニターリースの募集を開始した (hunfooli.jp/monitor)。2024年から実証実験の開始を予定しており、2025年の正式発売に向けて「モニターリースを通じてフィードバックをいただき、正式発売に向けて改良を重ねていく予定」とコメントしている。

TAG: #KGモータース #東京オートサロン2023
TEXT:岩尾 信哉
電動化の「発端」となるコンセプトカー プジョーが「インセプション・コンセプト」を発表

去る1月初旬に米国ラスベガスで開催された「CES2023」に、ステランティス・グループ傘下のプジョーは、電動化技術の将来像を映し出すモデルとして「インセプション・コンセプト(以下、インセプション)」を発表した。ふんだんに先端技術を与えられたこのコンセプトカーは、将来の全モデル電動化を目指すプジョーにとって、「足がかり」としての役割を果たすことになる。 電動化の始まりを示す「INCEPTION」 ネーミングの「INCEPTION」とは「発端」「始まり」を意味する。2023年から新たに始まるプジョーの電動化戦略の「先駆け」といえる、最新技術のショーケースと表現できる。 BEV(バッテリー電気自動車)であるインセプションは、ポルシェ・タイカンなどの高性能EVに採用が進みつつある800Vの高電圧システムと100kWhのバッテリーによって、800kmの航続距離を実現するとされる。前後に備える2基のモーターによる4WDシステムを採用、500kW(680ps)の総合出力から0―100km/h加速は3秒を切るという。 さらに注目すべきは、インセプションに採用された「STLAプラットフォーム」だ。今後ステランティスの14ブランドが共通して利用するBEV用プラットフォームのお披露目となった。 「BEV-by-design」と表現される新設計の電動化プラットフォームは、4種類のサイズ(スモール、ミドル、ラージ、フレーム)の4種類を設定。「STLAフレーム」はフレーム構造のシャシーを意味する。 インセプションに与えられた最新テクノロジーは多岐に亘る。エクステリアから見ていくと、5mの全長と1.34mの低く抑えられた全高を与えられたスタイリングは、いかにも未来的だ。LEDによる表示機能を備えるグリルや前後ヒンジで開閉する「観音開き」のドア構造を採る4シーター・レイアウトは、いかにもコンセプトカー然とした風情を備えている。 インセプションはレベル4(特定区域での車両側のみで走行可能)の自律自動運転を想定している。このため、周囲とのコミュニケーションを図る技術が与えられた。フロントグリルの3D光学表示機能をはじめとして、ボディのサイドバネルにバッテリーの充電量やメッセージなどの表示機能をもつ「テックバー」などを備える。

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TEXT:岩尾 信哉
ソニーとホンダはEVに何をもたらすのかーEVにおけるプロダクトデザインとは

期待を集めた「プロトタイプ」 去る1月5日から開催されたCES2023において、ソニーとホンダの合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ(以下、SHM)」は新たなEVブランド「AFEELA(アフィーラ)」を立ち上げたことを明らかにした。ソニーとホンダのコラボレーションと聞いて胸躍る世代にとっては、否応なく注目せざるをえなかった。自動車のみならず、ITビジネス関連など、様々なメディアで採り上げられていることからも、世間の注目度の高さが窺える。 SHMのプレゼンテーションではアフィーラ・ブランドのコンセプトの表明と、採用予定のIT技術の詳細な説明が用意されていた。対して、スタイリングなどデザインについては、「期待過多」の観は否めなかった。あくまでこちらの勝手な思い入れもあってか、壇上に姿を現したモデルのスタイリングにはデザイン上の冒険は見られず、保守的と思えてしまった。「家電見本市」としてのCESでのソニー・グループのプレゼンテーションの場であったことを忘れてはいけなかったのだ。SHMにとっては、EVブランドの立ち上げとともに、ソニー・グループとして多くのるインフォテインメント、エンターテインメント技術を自社のEVに与えると表明することこそが重要といえた。 微妙に変化したデザインコンセプト 正直に言えば、もっと斬新なスタイリングをまとったコンセプトカーが登場すると期待したのだが、見た目はエッジを効かせたキャラクターラインさえも存在しない立てだった。発表されたアフィーラ・ブランドの車両として名称を与えず、ザインスタディやコンセプトカーとも名乗っていない。実際のテストベッドとなるかどうかも明確ではないことは、ソニーの意図が反映されているに違いない。 個人的にはホンダが生産技術、安全技術の具体化などでどのような関わり方をするのか、ホンダ側のスタンスも訊いてみたいところだが、まずはSHMとして、先端IT技術を駆使したエンターテインメント性をEVに与えること。そのためのテクノロジーを披露する意味合いが強い「プロトタイプ」であることを認識すべきだろう。  振り返れば、すでにソニーはSHM設立以前に、2種類のEVコンセプトモデルを発表していた。「ヴィジョンS01」は、2020年に登場した「ヴィジョンS」が2022年CESでの「S-02」の登場とともに改称されたものだ。 スタイリングはS01がクーペセダン、S02がクロスオーバーSUVに仕立てられていた。「プロトタイプ」はS01と同じく4ドアクーペではあっても、微妙に異なるデザインスタンスがとられていたのは、将来の量産モデルに「予見を与えたくない」ということかもしれない。 サイズ感は直球勝負 それでは「プロトタイプ」について明らかにされたスペックの概略について触れておこう。 ちなみに北米市場の量販カテゴリーであるミドルクラスセダンに属するホンダの新型アコードは、全長が約4,970mm、ホイールベースが約2,830mm(どちらも北米仕様)。これに比べて、上記3車のホイールベースは3,000mm前後と、150mm以上長く採っているのは、モーター搭載によってパワートレインのレイアウトの自由度が高いEVならではといえる。  プロトタイプのプラットフォームは新型アコード用のグローバルプラットフォームをベースとしているはずだが、量産モデルでは現在ホンダとGMが共同開発中のEV用プラットフォームを採用するはずだ。   削ぎ落とすデザインはソニーの思想の表れか なにより、今回発表されたSHMの「アフィーラ」プロトタイプでは、デザイン上のシンプルさが際立っている。既存の量産EVの多くが、商品性として「トレンドを外したくない」ことから、クロスオーバーSUVという現状でのマーケットでの鉄板デザインに乗るといった風潮がある。これに抗うようなチャレンジ精神を斬新なデザインを与えて成立させることは想像以上に困難な作業といえるはずだ。 エクステリアで目を引くのは周囲の状況を感知するセンサーによってノブを廃したドアパネルだ。センサー技術とホンダの安全技術の融合というテーマはわかりやすくデザインに反映されている。  さらにフロントエンドのLEDヘッドライト間、リアではコンビネーションランプ中央部分に「メディア・バー」と名付けたディスプレイを装備している。「知性を持ったモビリティがその意思を光で語りかける」というコンセプトを掲げるインタフェースには、バッテリーの充電ステータスなどが表示されるという。 インテリアを見ると、左右方向にスッキリと仕立てられた液晶パネルが特徴的。ヴィジョンS01よりも上下に薄く仕立てられている。ステアリング形状は上部を切り取った長方形の上部を切り取ったU字型デザインとされているのも、デザイン要素を削除する手法といえる。  将来の量産EVのエクステリアデザインについては未知数といえ、ある意味で「どうにでもなる」といえなくもない。ともかくプロトタイプに機能的なギミックは少なく、プレーンさが際立っており、インテリアでもシンプルさを追求する意図は見て取れる。ソニーのプロダクトデザインの真髄を思い浮かべれば、機能美を備えたシンプルさであると捉えたい。  ともあれ、2025年に登場予定のSHMの量産EVには、自動車の商品性の意味を変えるほどのプロダクトデザイン、願わくば自動車業界の常識を覆すような製品レベルまで辿り着いてほしいものだ。  

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TEXT:岩尾 信哉
ソニー・ホンダモビリティ、CES2023にてEVブランド「アフィーラ」のプロトタイプを発表

2023日1月5日(米国時間)に、世界的な家電IT見本市であるCES(正式名称、コンシューマー・エレクトロニクス・ショーの意)が米国ネバダ州ラスベガスで開幕した。ソニーとホンダが設立した合弁会社であるソニー・ホンダモビリティ株式会社(以下、SHM)は、これに先立つ4日に開かれたソニー・グループのプレスカンファレンスにおいて、新たにEVブランド「AFEELA」(アフィーラ)を立ち上げることを表明、プロトタイプを公表した。 注目を集めたプロトタイプEV CESは多くの企業が先端デジタルエレクトロニクスを披露する場であり、ソニー・グループはプレスカンファレンスにおいて、ゲームやVR技術など様々なインフォテインメント・ビジネスの展開について明らかにした。なかでも、昨年9月に設立されたSHMがイベント前にティザー公開していたEVコンセプトカーが、どのようなモデルとして登場するのかが注目されていた。 プレゼンテーションが中盤過ぎまで進むと、SMHの野泰秀会長兼CEOが登壇。プロトタイプEVを披露するとともに、新たにEVブランド「AFEELA」を立ち上げることを明らかにした。その名はSHMが考えるモビリティ体験の中心に在る”FEEL”を表しているという。 これまでSMH設立前にソニーは独自にコンセプトカーを制作していたが、今回披露されたプロトタイプを見ると、エッジを廃したラウンドフォルムや左右に伸びた液晶インストルメントパネルのデザインなど、内外観ともによりシンプルに仕立てられていることが特徴といえる。 スペックの概略について触れておくと、全長×全幅×全高:4,895×1,900×1,460mm、ホイールベース:3,000mm。前:ダブルウィッシュボーン式、後:マルチリンク式のサスペンションを与え、駆動方式はAWDとされている。 ボディサイズを見ると、北米市場において競争激しい乗用セダンのカテゴリーに含まれ、アコードやトヨタ・カムリと同格ながら、ホイールベースの長さが特徴といえる。 最先端のIT技術を装備 今回披露されたプロトタイプに与えられた技術的トピックを挙げれば、室内に設置されたカメラを含め、車両の内外に計45個のカメラ、センサーなどを装備する。これらを統合制御するために、最大 800TOPS(1秒あたりの演算処理回数、単位:兆回。Tera Operation Per Secondの略語)の演算性能を持つECUを搭載。運転者が介さず走行する、レベル3の自動運転の実現を目指すとしている。 エンターテインメント企業群としてのソニー・グループ傘下にあるSMHの成り立ちから想像されるとおり、インフォテインメント技術の採用は誰もが期待するポイントだ。 車両における「リアルとバーチャルの世界の融合」はIT技術のテーマとしてよく耳にする言葉だ。SMHは車両における電子技術を駆使して「移動空間をエンターテインメント空間、感動空間へと拡張」することを目指す。具体的には、Epic Games(ソニーが資金を投資)とモビリティにおける新しい価値観やコンセプトの検討を開始するという。 さらにSMHは車両向けの電子技術を進化させることで「モビリティのインテリジェント化」を進めるとしている。具体的には、AD/ADAS、HMI/IVI、テレマティクスなどの開発に関して、主要機能にモバイル技術を手がけるクアルコム社傘下のクアルコム・テクノロジーズ社と協業を図る。同社が開発する電子プラットフォーム「Snapdragon Digital Chassis」を利用して、装置やシステムの動作に必要な機能のすべてをひとつの半導体チップに実装するSoC(System On a Chipの略語)を採用予定とのこと。SHMは次世代のモビリティ体験の実現に向けて、同社と戦略的な技術パートナーシップを築いていくとしている。 今回のCESではメルセデスやBMW、フォルクスワーゲンなどが出展、車両技術やコンセプトモデルを紹介している。いっぽうで、日本勢が出展を控えたのは、本来家電IT見本市であるCESに対する、自動車メーカーとしてのスタンスの微妙な違いが表れているようだ。 注目される「アフィーラ」の量産EVが世に送り出される時期について、SMHは今回披露されたプロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半に先行受注を開始。同年中の発売を予定しており、デリバリーは2026年春に北米市場から開始するとしている。 ソニーのセンサー技術とホンダの安全技術、様々なIT技術を組み合わせ、世界最高水準のAD/ADASを目指すとしている「アフィーラ」のEVがどのような形で姿を現すのか、期待して待ちたい。

連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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