桃田 健史 記事一覧

無人フォークリフトの最新モデル
TEXT:桃田 健史
無人フォークリフト、ZMP「CarriRO Fork」最新モデル発表。台車ロボット「Carrio」シリーズの導入実績は約300社、決めては統括管理システム「Robo-HI」

FA(ファクトリーオートメーション)や物流の分野で自動運転搬送ロボットの導入が進んでいる。そうした中で、無人フォークリフトが導入も始まった。ZMPはより高性能な製品を発表。強みはCarriROシリーズでの知見と統括管理システム「Robo-HI(ロボハイ)」だ。 「CarriRO Fork」に新機能搭載 自動運転技術の開発を手がけるZMP(本社:東京都文京区)が、無人フォークリフト「CarriRO Fork」の最新型を発表し、受注を開始した。 基本的なハードウエアとしては、2021年に市場導入された「CarriRO  Fork」を継承する。 ドイツのリンデ社のフォークリフトに、ZMPが自社開発した自動運転OS(オペレーティング・システム)の「IZAC」を搭載している。 モデルは、リーチタイプとウォーキータイプの2つ。 前者は、車体重量2.98トン、可搬重量は最大1.4トン、そして最大揚高さは5.9m。 後者は、同1.76トン、同0.65トン、同2.95mとした。 ともに電動車であり、満充電までの時間は8時間、また稼働時間も8時間とした。 自動運転の方式は、レーザー誘導型を採用する。 これは、自車に搭載する3D-LIDARから照射するレーザーを施設内に設置した反射ポールが反射することで、自車位置を測定する仕組みだ。ZMPが開発した専用アプリによって、タスク指示の作成や変更が簡単にできるのが特徴である。

TAG: #CarriRO Fork #ZMP
御茶ノ水女子大学の敷地内を走行する「EVロボスイーパー」
TEXT:桃田 健史
ZMP自動運転清掃車両「EVロボスイーパー」。初公開の試作機が大学キャンパス内を走行、2024年発売予定で開発

トラック業界で「2024年問題」が大きな社会問題となっている中、清掃業務に携わる業界でも少子高齢化や労働力の不足などの課題に直面している。そうした課題解決に向けて、街路や施設内などで静かな走行音と清掃作動音で自動走行する車両が登場した。 完全自動での自動運転EV 路面清掃車の国内シェア約9割を誇る豊和工場(本社:愛知県清須市)と、自動運転等の先進技術開発企業のZMP(本社:東京都文京区)が共同開発プロジェクトを発表した。 ZMPが御茶ノ水女子大学で開催した自社イベント「ZMPワールド2023」で、同学内の私有地を無人自動走行してみせた。 車両スペックは、全長2,570mm×全幅1,680mm×全高2,270mm、車両重量は1,860kg。 1回の走行中に清掃できる幅は、1,680mmで清掃能力は1時間あたり5,040平米。 動力は電動で、リチウムイオン・バッテリーを搭載する。試作車のため電池容量や満充電での航続距離や航続時間は未公開とした。 量産モデルでの想定としては、使用者が計画した経路を自動で走行して清掃。その際、清掃するエリアを指示して、いわゆる”塗つぶし清掃”を可能とする。 自動運転のために装着するのは、自社周辺の状況を把握する3D-LIDAR、衛星測位のためのGNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム)関連機器、またカメラ等を併用するセンサーフュージョン方式を採用する。 これにより、建物や塀などの壁際や、道路の路肩へ追従し、また障害物や人・自動車などとの接触を回避する。 不具合が発生した場合、自動走行を停止し、使用者へ通知する機能を搭載する仕様を想定している。 豊和工業の関係者によると、日本国内ではこれまで、屋外での自動運転清掃車両が社会実装された事例はないという。

TAG: #EVロボスイーパー #IZAC #ZMP
「ZMPワールド2023」で公開された、新型「RoboCar Mini EV Bus」
TEXT:桃田 健史
ZMPが最新型の自動運転バス「RoboCar Mini EV Bus」を発表。独自OSと独自クラウド管理システムを採用、価格は5台まとめてオーダーで2億円~

ZMPが自社の技術を公開する「ZMPワールド2023」を都内で開催した。その中で、自動運転バス「RoboCar Mini EV Bus」の最新モデルをお披露目した。バッテリー容量が増えるなど改良を加えた。需要先としては、工場、商業施設、スマートシティなどを想定する。 中国ANKAIと共同開発 独自の自動運転技術の開発企業として知られる、ZMP(本社:東京都文京区)が新型の自動運転バス「Mini EV Bus」を公開した。 車両のサイズは、全長6.61m×全幅2.32m×全高2.87mで車両重量は8,980kg。 座席数は、跳上席を含めて10席。 動力性能は、モーターの定格出力は60kW、最大トルクは1,200Nm、最高速度は69km/h。 バッテリー容量は90kWhで、満充電での航続距離はエアコンを付けない状態で230kmとした。 製造者は中国のANKAI。同社は2004年からEVバスの製造を始め、現在は従業員数4,000人で年間2万台のEVバスを製造する、この業界では大手といえる存在だ。 これに、ZMPが独自の自動運転システムを組み込んだ。 同車の特長は、自動運転については新車の企画から製造の段階で、ZMPと共同開発している点。完成車を自動運転向けに改造するという発想ではない。 少し前を振り返ってみると、ZMPとANKAIの連携は、2018年の「戦略的パートナーシップ締結」から始まった。 その後、2019年と2020年には中部国際空港の制限区域内で実証実験を実施。 2021年には、クラウドベースのモビリティ統括制御プラットフォーム「Robo-HI」を使った複数台のRoboCar Mini EV Busの制御システムを構築。これを、スマートシティへの導入支援に活用することを発表している。

TAG: #EVバス #Mini EV Bus #ZMP
TEXT:桃田 健史
日産創業の地・横浜工場で次世代に向けて進化を準備。エンジン累計4000万基突破取材会で明らかになったこととは?

日産の横浜工場で製造されたエンジン総数が2023年6月に累計4000万基を超えた。それに伴い、「エクストレイル e-POWER」等に搭載するVC-ターボの製造工程を公開。さらに、横浜工場の次世代化について方向性を示した。 1933年創業からDNAを継承 京浜工業地帯の一角にある、日産自動車横浜工場は、1933年に日産(当時:自動車製造株式会社)が創業した地である。1935年には、日本初の自動車一貫製造工場として稼働した。生産したのは、ダットサン14型だった。 その後、1965年に神奈川県内の座間工場完成に伴い、横浜工場はエンジンやサスペンション等のユニット生産工場に特化し、現在に至っている。2010年には、「リーフ」対応の電気モーター、また2019年にはe-POWER用モーターの生産も開始した。 日産横浜工場長の和田民世氏は「ここは、生産技術開発部門と協働し、圧倒的なものづくり力で量産条件をグローバルで展開する、グローバルパイロットプラントだ」と、日産にとっての横浜工場の立ち位置を表現する。 VC-ターボの生産技術詳細を初公開 日産は今回、横浜工場での生産累計4000万基突破に伴い、量産エンジンとして世界初となる圧縮比を可変できるターボチャージャー付エンジン「バリアブル・コンプレッション・レシオ・ターボ(略称VC-ターボ)の生産技術をメディア向けに初公開した。  理論上、ガソリンエンジンにおいて、圧縮比を上げるほど理論熱効率も比例して上がる。だが、あまりに高い圧縮比では、シリンダー内で混合気が自然着火するノッキングなどが発生する。そうしたガソリンエンジンの基本特性を踏まえた上で、エンジンの運転中に圧縮比を可変することがガソリンエンジンの理想の形であると、長年に渡り言われてきた。 実際、「(一時期、日産と技術連携していた)メルセデス・ベンツも、圧縮比が可変するエンジンを試作したが量産が難しく実現していない」(日産エンジニア)という。日産では、こうした技術難関を、高強度部品の製造技術、高精度部品の加工技術、高精度部品のバラツキをコントロールする組立技術、さらに新材料と新工法にチャレンジすることで実現した。 技術的には、ピストンの上下運動を、U(アッパー)リンク、Lリンク(ローワーリンク)、Cリンク(コントロールリンク)の3部品の動きを、VCRアクチュエーターを介して作動させることで、圧縮比の可変を行っている。 そうした設計図の上での理論を、横浜工場における「匠」の技術を自動化した生産技術によって、リアルワールドでのパワートレインとして量産しているのだ。

TAG: #全個体電池 #工場 #日産
TEXT:桃田 健史
水力発電99.6%で暮らす「屋久島」。アウディBEVフルラインナップで島めぐり

今年、世界遺産登録30周年を迎える鹿児島県屋久島。年間降雨量が多いことから水力発電が街の電気の主流となっている。屋久島の電力の要となっている水力発電の設備や、アウディの支援によって実現した学生向けのレクチャー、町の関係者や高校生を交えた「未来共創ミーティング」についてレポートする。 恒例となったサスティナブル・フューチャー・ツアーとは? アウディジャパンが「アウディ・サスティナブル・フューチャー・ツアー」を鹿児島県屋久島で実施した。 屋久島空港に到着すると、「e-tron GT」「e-tron」「Q4 e-tron」などアウディのBEVフルラインナップが出迎えてくれた。 各モデルを乗り比べながら、屋久島の自然、文化、そして地域産業を実感する旅である。 アウディといえば、2026年以降にグローバルで導入する全てのモデルをBEV化し、2033年にはガソリンやディーゼルなどの内燃機関を搭載するモデルの生産を終了することを宣言する、BEV化に積極的なブランドとして知られている。 モデル戦略のみならず、BEV化が進む社会とは具体的にどのような形になることが人々にとって有意義であり幸せなのか、という大きな命題に対してアウディは真正面から捉えようとしている。そうした議論の場として、「アウディ・サスティナブル・フューチャー・ツアー」が日本国内で企画された。 2022年度は、岡山県真庭市でバイオマス発電について、また岩手県八幡平市では地熱発電について、メディア関係者、学術関係者、そして地元の自治体関係者と対話する場を設けてきた。 3回目となる今回は、舞台を鹿児島県屋久島に移しての実施である。

TAG: #アウディ #屋久島 #水力発電
TEXT:桃田 健史
トヨタBEV戦略で新たな事実が判明!「テクニカルワークショップ2023」のフォローアップ。全固体電池に自信のワケ?

トヨタが2023年6月上旬に東富士研究所で開催した「トヨタテクニカルワークショップ2023」は、自動車産業のみならずグローバルの産業界に大きなインパクトが与えた。それから約1ヵ月、トヨタがオンラインでメディア向けにBEV戦略に関するフォローアップ会見を行った。 ギガキャストはいつ頃から、なぜ検討したのか? 「トヨタテクニカルワークショップ2023」では多様な次世代技術が世界初公開された。そのなかでもBEV(バッテリー電気自動車)に関する製造工程や電池技術にメディアの注目が集まった。 製造工程では従来の車体製造工程である、プレス機で切り出した部材を溶接ロボット等でつなぐことから一変。鋳造によって大きなボディの一部を一体成型する工法として、トヨタは「ギガキャスト」と呼ぶ。 ギガキャストに対応できる製造機器は海外で市販されており、トヨタは2018年に先行研究開発用として購入した。ただし、その時点では「BEVありき」という発想ではなく、鋳造技術を次世代車開発の手段のひとつとして捉え、新しいモノづくりに応用することを目的としていたという。 その上で、エンジンやトランスミッションでの鋳造の設計と生産のノウハウをギガキャストに活かすため現在、研究開発を進めている。 また、ギガキャストになっても、部品の共有性はTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)以上に部品の共有性が上がるとも考えている。 別の視点では、車両事故に対する修理のプロセスについて、ギガキャストになると車体のかなり大きな部分を丸ごと交換する必要性があるように思われる。この点については、車体の構造は従来車と同様にクラッシャブルゾーンの領域をしっかり分ける考え方を継承するため、ユーザーにとって大きな課題にならないという判断だ。 >>>次ページ BEVハーフが目指す意味は?

TAG: #BEVハーフ #トヨタ #全固体電池
TEXT:桃田 健史
10分満充電超急速充電方式、立山黒部アルペンルートの「電気バス」。導入成功した理由とは?

人気旅行スポットの定番といえる、立山黒部アルペンルート。バスやケーブルカーを乗り継ぎで、北アルプスを貫いて長野県と富山県を行き来できる。その一部では現在、電気バス(EVバス)が運航している。導入の背景とEVバス導入成功の秘訣とは何かを、現地で探った。 54年間に渡るトロバスの実績 「一度は行ってみたい観光地」として、広い世代から人気の高いスポットが、立山黒部アルペンルートだ。 総延長は37.2km、最大高低差は1,975mに及ぶ、世界屈指の山岳観光ルートである。 特徴なのは、様々な乗り物を乗り継いで進むこと。 例えば、JR長野駅を起点とすると、特急バス、路線バス、(関電トンネル)電気バス、徒歩、ケーブルカー、ロープーウェイ、(立山トンネル)トロリーバス、バス、ケーブルカー、鉄道と10の行程を経て電鉄富山駅にたどり着く。 待ち時間なしでこれら10行程の総合時間は4時間40分に及ぶ。途中の観光スポットを散策したり食事をしていると、ほぼ丸1日を要することになる。 筆者はこれまで、長野県側と富山県側のそれぞれからこれら10行程を体験してきた。そうした中で近年、自動車業界や公共交通に携わる地方自治体から注目が集まっているのが、電気バスだ。正式名称を「関電(関西電力)トンネル 電気バス」という。 電気バスの技術詳細に触れる前に、電気バスの歴史を振り返っておきたい。 導入されたのは2019年からと比較的、日が浅い。だが、立山黒部アルペンルートを訪れる人にとっては、扇沢~黒部ダムの行程では、電気バス導入前から、「トロバス」という名の電動バスとして親しまれてきた。 トロバスとは、トロリーバスのことだ。電車のパンタグラフのような集電機器を介して架線から電気を受け取りながら走る電動車である。昭和の時代には全国各地でトロリーバスが導入されており、筆者も横浜市内の実家周辺でトロリーバスを使っていた経験がある。 関電トンネルのトロバスが導入されたのは、第一回東京オリンピックが開催された1964年。初代(100型)は1995年まで、また二代目(200型)が1969年~1996年まで、そして三代目(300型)が1993年~2018年まで、一部の時期を重複して運航してきた。 なぜトロリーバスや電気バスが必要なのか? トロバスが導入された理由は、山岳地帯の自然環境保護の観点から、クリーンエネルギー車として選択されたからだ。いまでは、社会全体でSDGs(国連・持続可能な達成目標)やカーボンニュートラルといった考え方が共有できている。 それが、トロバス導入の1964年といえば、高度経済成長の初期であり、車社会シフトの前夜である。そんな時期に、自然環境保護を優先して、コストの高いトロバス導入を決断した当時の関係者は、まさに先見の明があったと言えるだろう。その上で、全国各地の公共交通での運航実績を踏まえて、山の奥地、しかも長いトンネル内にトロバスが導入された。 関電トンネル トロバスのラストイヤーに乗車した際、今後の記念として集電装置などを撮影した。また、試乗中は実質的には電気バスであるため、車内にディーゼルエンジンのような大きな振動もなく、またバスの乗降地点の空気も澄んでいた。 電気バスは15台導入 電気バス導入のきっかけについて、関西電力では「トロバスの車両、およびインフラが老朽化してメインテナンスコストがかさんできたから」という理由を挙げている。電気バス導入で年間約4000万円のコスト抑制を実現した。 もちろん、電力会社としてクリーンエネルギーを運輸部門で積極的に導入したいという意図もあった。 電気バスは、日野自動車「ブルーリボン」がベースで、EV・水素・天然ガスなどの車両に対応する開発企業「フラットフィールド」がEVに仕立てた。総重量は10,300kg、乗員80人、駆動モーター出力は230kW、リチウムイオン・バッテリーの容量は52.8kWh。 通常の充電は、扇沢駅のプラットフォームに停車中、車載パンタグラフを上げて約10分間の大出力の超急速充電を行う。また、チャデモ方式での充電にも対応する。電気バスの運航関係者によると「5.4kmを往復する毎に10分充電している。行きは上りなので下りより多く電気を使う」と話す。 今回は平日の利用で比較的空いていたが、土日や夏休みシーズンは連日、扇沢駅で電気バス乗車を待つ人の列ができる大人気路線。 料金は今回、扇沢から黒部ダムまでの往復で一人3,200円。こうした料金設定でも、他に類のない人気の山岳観光ルートであるため、訪れる人にとっては料金支払いへの心のハードルが低いのではないだろうか。

TAG: #EVバス #トロリーバス #立山黒部アルペンルート
TEXT:桃田 健史
LUUPも7月1日から「特定原付」に。最高速度表示灯や6km/hモード搭載モデルを順次入れ替え

2023年7月1日の改正道路交通法の施行で新たな車両区分として誕生した、特定小型原動機付自転車(特定原付)。これまで電動キックボードの実証試験を全国各地で行ってきたLUUPはどう対応するのか、同社の方針について取材した。 実証実験を終え、本格的な事業展開を開始 電動キックボード等のシェアリングサービス事業者のLUUP(ループ)が2023年7月1日、東京の渋谷区内で「改正道路交通法の施行に際した取材会」を実施した。 LUUPは、2018年5月に創業。サービスを開始したのは、電動アシスト自転車が2020年5月、また電動キックボードは2021年4月から。 現在の事業展開地域は、東京、大阪、横浜、京都、神戸、名古屋、そして宇都宮。ポート数は3500ヵ所以上で、設置している台数は電動アシスト自転車と電動キックボード合わせて1万台以上である。 利用にはスマートフォンの専用アプリを使うが、ダウンロード数は100万件を突破している。 電動キックボードのシェアリングについては、2018年6月から私有地・公有地での実施試験を皮切りに、各種の実証試験を経て、2021年4月からも実証実験という形を取って全国各地で事業を展開してきた。 直近の実証事件では、車両区分を「小型特殊自動車」として最高時速15km/h、またヘルメット着用は任意だった。 この実証実験は、2023年6月末で終了し、同年7月1日の改正道路交通法の施行に伴い、新たな事業として電動キックボードのシェアリングサービスを提供することになった。

TAG: #LUUP #特定原付 #電動キックボード
TEXT:桃田 健史
大きく傾けても倒れない!?バック走行も可能な「特定原付」、ホンダからスピンアウトした「ストリーモ」を試乗体験

ホンダのエンジニアが自身の夢の実現ための創業した「ストリーモ」が、2023年7月1日の改正道路交通法の施行に伴い、特定小型原動機付自転車(特定原付)に対応した新モデルを発表した。記者会見の後に、実機を試乗した。 新たに「特定原付」を発売 小型モビリティ開発企業の「ストリーモ」が、特定小型原動機付自転車(特定原付)に対応したモデルを報道陣向けに初公開した。 ストリーモは、ホンダの新事業創出プログラム「IGNITION」から生まれたベンチャー企業。これまで、第一種原動機付自転車(原付一種)のストリーモ「S01JG」を先行発売してきたが、今回は新たに特定原付モデルの「S01JT」を追加した。 いずれのモデルも、最大の特徴は3輪車であることだ。 ストリーモでは「自分のペースで移動できる立乗り三輪モビリティ」というキャッチコピーを使っている。 三輪であることでの走行安定性によって、幅広い層のユーザーが気軽に扱える乗り物というイメージで、すでに多くのメディアで取り上げられている。 駆動方式は前輪駆動で、バック走行も可能だ。 また、様々な実証試験についても具体的に進み始めている。 例えば、2022年11月に、2025年大阪・関西万博の会場内外での次世代都市交通手段を想定した実証試験への参画を発表。 2023年3月には、北九州市の東田・未来都市プロジェクトに参画し、北九州市立響灘緑地(グリーンパーク)での実証試験を開始している。 第一次の販売募集では、限定300台に対して1,200件を超える応募があるなど、すでに一部では人気モデルとして認識されている。

TAG: #SO1JG #SO1JT #ストリーモ #特定原付
TEXT:桃田 健史
なぜ、アルミ総合仮設機器の老舗が電動キックボードに参入? 長谷川工業「YADEA(ヤディア)」で特定原付モデルを初公開 試乗した感想は?

2023年7月1日の改正道路交通法の施行に伴い、同年6月末は様々な「特定原付」の記者発表が続いている。そうした中で、アルミ総合仮設機器の老舗企業も「特定原付」モデルを新発売。事業参入の理由をじっくり聞き、そして試乗もした。 なぜ、アルミ総合仮設機器の老舗が電動キックボードに参入したのか? 長谷川工業(本社:大阪市西区)は2023年6月27日、都内で特定原付モデルの電動キックボード「KS6 PRO」(税込み19万8,000円)の報道陣向け試乗体験会を実施した。 同社は今年で創業66年目を迎える企業。主要製品は、アルミ総合仮設機器、家庭用作業用品、そしてイベント機材などだ。 平たく言うと、アルミの脚立や作業台を得意とする老舗企業で、2022年12月期のグループ連結売上は101億円に達しているこの業界の大手だ。 そんな長谷川工業が、なぜ電動キックボードの企画・販売を手がけるようになったのか? 同社の代表取締役社長の長谷川泰正氏は会見の中で、電動キックボードとの出会いについて次のように振り返った。 長谷川工業の通常事業では、建設現場、工場施設、そして空港など向けの製品を企画し事業者に納入している。そうした中で、作業の効率化や作業の安全性について事業者である顧客企業と意見交換している中で、構内などの移動が課題という話が出てきたのが、そもそもの始まりだという。 製品としては、香港に本社がある、電動小型モビリティ大手のYADEA(ヤディア)と連携することを決めた。YADEAは世界各地に8つの製造拠点を持ち、従業員数は5,000人、2022年の販売実績はこの分野で世界最大級の1,200万台を誇る。 次に、長谷川工業は日本におけるリアルワールドでの実証実験に進んだ。 産業競争力強化法に基づく、経済産業省が公募した仕組みを使い、千葉県千葉市で2021年4月から、大阪府大阪市で同年6月から、そして大阪府堺市では2022年1月から「YADEA」を使う実証試験を始めた。 これら実証試験の仕組みが、2023年7月1日の改正道路交通法の施行に伴い、同年6月末で終了することから、長谷川工業は新たに特定小型原動機付自転車(警察庁の略称・特定原付)モデルであるYADEA「KS6 PRO」で開発し、同年7月1日から全国で発売する。

TAG: #YADEA #特定原付 #長谷川工業 #電動キックボード
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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