急加速も穏やかな走りも制御次第で自由自在
モーターは、電気が流れた瞬間から最大の回転力(トルク)を出すことができる。ここがエンジンと大きな違いだ。この特性を活かすも殺すも制御次第である。
アクセルペダルを踏み込んだとたんに最大の回転力をモーターに発揮させたら、ホイールスピンを起こして操縦不能に近い状態となってしまうかもしれない。それほどモーターの威力は強烈だ。
かつて、日本EVクラブ創設前に有志が製作した電友1号というフォーミュラレーシングカーEVは、市販の直流モーターという今日の永久磁石式同期モーターのように必ずしも高性能な動力ではなかった。それでも、車載の変速機(コンバートEVのためエンジンについていた変速機を介して走行した)の1速ギヤで急発進させ、ホイールスピンさせようといきなりアクセルペダルをフルスロットルにしたら、トルクの強さによってドライブシャフトのユニバーサルジョイントが千切れ、1cmも動くことができなかったことがある。
これがエンジンのままであったならホイールスピンさせられたはずである。エンジンとモーターの特性の違い、そして、電気を流したところで最大トルクを出せるモーターの威力の一端を知るできごととなった。
そこまで極端でないにしても、たとえばテスラ・モデルSの発進加速が、ターボエンジンのポルシェより速いということが可能になるのは、そうしたモーターの特性を生かした結果だ。
そこで、電気自動車(EV)では、アクセル操作に対し適切な力を発生するよう慎重に制御するプログラムの設計が不可欠だ。たとえばコンバートEVで使う市販の小型モーターでも、手もちのパーソナルコンピュータ(PC)にアプリケーションをダウンロードし、加速性能を変化できる一面もある。
実際、日本EVクラブでは、電動カートの直流モーターとラップトップPCとをつなぎ、アクセルペダルを軽く踏み込んだだけで猛然と加速する仕様や、それなりに深く踏み込んでもゆったり加速する仕様などを切り替え、違いをイベント参加者に実感してもらったことがある。
エンジンも、スロットル・バイ・ワイヤーの導入によってペダル操作を電気信号化し、走行速度や運転者のアクセル操作の様子などから加速の加減を調整することをしてきた。それでもモーターであれば、よりきめ細かく出力調整することができる。なおかつ急加速が必要な場面では、エンジン車のような変速をともなわず瞬発的に高性能を発揮させることができるのである。



















































