N-ONEシリーズとして初の大幅な意匠変更をしたN-ONE e:
そして、フロントで変わっているのは顔まわりだけではない。ボンネットの形状も異なっている。これは、EV用パワートレインの背丈がエンジンより高く、それを収めるための対応という部分もあるという。
しかし、キャビン部分のサイズを変えずにボンネットを高くしてしまうと、顔が大きくなってしまいアンバランスになりがちだ。その対策として、N-ONE e:ではテールゲートも変えている。開口形状はそのまま、テールゲートを外側にむけて膨らませている。ナンバープレートの位置を下げ、テールゲート中央付近の丸みを増やすことで、ツルンとしたイメージとしつつ、さらにボリュームアップを実現した。リヤの重心が高く見えることでフロントとのバランスも取れている。EVらしいキビキビ感を表現したサイドのシルエットは見事だ。
加えて、充電リッドを含めたフロントグリルにはバンパーリサイクル材を使っているのもEVらしいリソースサーキュレーションの現実化といえる。
N-ONE e:のインテリアに目を移すと、エンジン車とはまったく違う空間となっている。
7インチ液晶を使ったメーターパネルはホンダ軽自動車の最新トレンドといえるものだが、N-ONE e:らしさを表現しているのはエントリーグレードのインパネだ。なんとディスプレイ・レスで成立するデザインとなっている。近距離ユースがメインとなる軽乗用EVにおいてカーナビへのニーズが下がることを想定した新しいコクピットの具現化ともいえる。
ディスプレイをなくした代わりに、大きなトレーを設けたインパネは、360cc時代の名車としていまも人気の「ステップバン」を思い出させるもので、ほのかにホンダ軽自動車のDNAを感じさせるのも、古くからのホンダファンにとっては堪らないだろう。
近距離ユースを考慮して乗り降りがしやすい形状となってフロントシートもN-ONE e:の専用アイテム。ヘッドレストが調整不要なデザインとなっているのも新しい。乗降性アップにつながるドアトリムなどもN-ONE e:のために生まれた専用品という。
というわけで、N-ONEシリーズとしては初めて大がかりなデザイン変更を受けたといえるのがEV版のN-ONE e:といえる。N-ONEのファンからは「いままでどおりのルックスでよかったのに……」という声もあるようだが、前述したようにEVのメカニズムを収めるための必然を活かして、電動化時代にふさわしいN-ONEスタイルを生み出したと理解すべきだろう。
個人的には電動化時代のN-ONEを味わえるのが日本のユーザーだけなのがもったいないと感じる。ホンダ軽自動車のDNAを受け継ぐ、この新しいスモールEVのスタイリングはグローバルにも魅力あるクルマとして評価されると思うからだ。






















































