Contents
短時間で大電力をチャージ可能に
まず、車両側で必要な要素だが、バッテリー、モーター、電源システムなど車両全体が高電圧(1000ボルト級)に対応できることが条件となる。このため量産乗用車向けの「全域キロボルト高電圧アーキテクチャー」が開発された。
当然ながら、バッテリーも超急速充電に対応した仕様のものが必要で、最大1000Aの充電電流と10Cの充電レートに対応した「フラッシュチャージバッテリー」を新たに開発。ちなみに充電レートとは、充電および放電のスピードのことで、1時間で完全充電(放電)する電流の大きさが1Cとされている。
さらに電力制御用にSiC(シリコンカーバイド)パワーチップを開発。最大1500ボルトの高電圧環境下で高耐圧性と作動速度を両立したLSIを採用した。また、モーターには最大出力580kW、最高回転数3万rpmのものを新たに開発。このモーターを搭載したEVは最高速度300km/hを超すという。
一方、充電ステーションは大電力の取りまわしが可能な「フル液冷メガワット級フラッシュ充電ターミナルシステム」を準備。このシステムは、最大1360kWの出力を可能とし、既存の充電インフラからアップグレードが可能な「デュアルガン充電」技術を採用。同社はこの充電性能を備えた充電ステーションを、中国全土の4000カ所以上に展開する計画を立てている。
既存のEVに対応した技術ではないが、今後生産されるEVにこの技術が適用されると、これまでEVが抱えてきた大きな問題である充電時間が解消されることになり、カーボンニュートラルを実現しなければならない今後のモータリゼーションに対し、明るい道標を灯したことになる。まずは、成り行きに注目したいところだ。
1 2