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話題のフォルクスワーゲンID.Buzzは50年の準備期間の末に登場ってマジ? EVバスは一日にして成らず!!


TEXT:石橋 寛 PHOTO:VolksWagen
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テクノロジーを押し出した近未来デザインへ

Budd-eコンセプト(2016)

フォルクスワーゲンBudd-eコンセプトのフロントスタイリング

ID.Buzzコンセプトが登場する前年に発表されたのがBudd-eですが、これはモーターショーではなくラスベガスのCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)でお披露目されているところがミソ。つまり、それまでのMQBに替えて、EV専用プラットフォーム「MEB」の可能性、パフォーマンスを示唆することが主目的だったのかと。

それまでのマイクロバスやブリーといったコンセプトに対し、全長4.6メートルへと大型化することでBudd-eはMEBの汎用性やEVの未来を見せたかったに違いありません。そういわれると、スタイリングの方向性もインパクトあるフロントマスクや、3152mmという長いホイールベースなど、当時のVWテイストからは少し距離を置いたものに見えてきます。

フォルクスワーゲンBudd-eコンセプトのサイドビュー

もっとも、CESでの評判は高かったものの、未来のID.Buzzを期待していたファンからは「これじゃない」と失望されたとか。たしかに、Budd-eはMEBのサンプルとして捉え、Buzzの流れとは区別してもいいかもしれません。

ID.Buzzコンセプト(2017)

フォルクスワーゲンID.Buzzコンセプトのフロントスタイリング

Budd-e発表後、1年も経たないうちに本命デザインのコンセプトカーがデトロイトショーで登場。Buzzというネーミングも初めてアナウンスされ、昔日のバグ(バグ=虫)にちなんで、虫の羽音(バズ)、つまりはEVの静粛性をあらわすなど待ち焦がれていたVWファンは胸をときめかせたはず。

プラットフォームはもちろんMEBだと発表され、もはや市販間近な印象ですが、LED満載のアウタースキンや、格納式ステアリングなど、ショーモデル的な要素も少なからずありました。いま思えばBuzzへの期待を盛り上げる演出でしょうが、ちょっと現実離れしている印象を抱いた方もいらっしゃるかと。

フォルクスワーゲンID.Buzzコンセプトのリヤスタイリング

とはいえ、T2をオマージュしたクラシカルな2トーンボディや4つあるサイドウィンドウなど、後継モデルとしては正統的。Buzz待ちファンがもっともアガったコンセプトカーに違いありません。なお、翌2018年にはBuzzのホイールベースを延長したBuzzカーゴ、2021年にはカーゴをさらに進化させて市販モデルに近づいたBuzz ADが発表されています。

ここまでVWが50年をかけて周到な準備をしてきたのですから、ID.Buzzがブレイクするのは間違いありません。

フォルクスワーゲンID.Buzzのフロントスタイリング

それにしても、発売前にこれだけコンセプトカーが作られたのは史上まれにみるケースといえるでしょう。

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