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ガソリン車よりも安くね? ジーリーの6人乗り大型SUVのEV「M9」のコスパが「嘘だろ」レベル


TEXT:高橋 優 PHOTO:吉利汽車/EV Native
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豪華装備と高性能でBYDなど競合を圧倒

それでは、今回のM9が競合の大型SUVと比較してどれほどのコスト競争力を実現しているのかを、BYD Tang L、Deepal S09、そして日産の大型SUVのベースとなるであろうeπ008などと比較しましょう。

BYDについて問題なのが、じつはまだ6人乗りの大型SUVがBYDブランドからはラインアップされていないという点です。Tang Lはあくまでも7人乗りであり、サイズも全長5040mmと短く、実際にはM9の比較対象にはなり得ません。とくに現在は7人乗りよりも6人乗りの需要のほうが大きく、すでに発表されているDynasty Dというコンセプトモデルの市販バージョンに期待したいものの、やはりBYDがこのトレンドに乗り遅れている感は否めません。

Galaxy M9と競合車種の比較

M9には41.46kWhバッテリーを搭載することでEV航続距離は185km(WLTC)を確保。燃費性能も5.6L/100kmと、燃費で定評のあるBYDのTang Lすらも上まわることに成功しています。さらに、最大135kWの急速充電に対応し、SOC30%から80%まで15分で充電することが可能と、充電スピードもセグメントトップクラスです。電池エネルギー密度もトップクラスを実現することで、車両重量も2400kgと軽量化を実現しています。

そして、肝心の値段設定について、M9は前売り価格で23.68万元であり、Tang Lが22.8万元であることから、おそらく実際には22.68万元など、Tang Lをわずかに下まわるような値段設定を実現してくる見通しです。競合と比較しても競争力の高さが見て取れるでしょう。

さらに、PHEVとしてのコスト競争力とともに、標準装備内容の豪華さについても比較していきましょう。

・20インチホイール
・30インチの助手席にまでつながる一連の6Kセンターディスプレイと12.65インチのドライバーディスプレイ、32インチのARヘッドアップディスプレイ
・プロセッサーはQualcomm Snapdragon 8295P、プロセスノードは5nm、演算能力は60TOPS
・ワイヤレス充電は50Wの空冷式急速充電
・セントリーモードを実装
・シートまわりについて、1列目はシートメモリー、シートヒーター、シートクーラー、そして16ポイントマッサージが搭載
・2列目シートも4方向電動調整とレッグレスト、10ポイントマッサージに対応。完全な折りたたみに対応したり、折りたたみ式テーブルも搭載
・3列目シートは電動背もたれ調整とシートヒーターに対応
・サスペンションはCCDが標準設定
・256色のアンビエントライト
・9.1Lの冷温庫は-6度から50度を調整可能
・リヤサイドガラスを含めた全面の二重ガラス化
・ハイエンドADASは高精度マップに頼らないシティNOAに対応
・V2LとV2V機能は最大6kWに対応、車内に220Vコンセントも配備
・音響システムは最高出力2300Wを発揮可能な9.1.6対応の27スピーカーシステム
・エアバッグは9つを搭載
・超高張力鋼は最大2000MPa級を採用

このように、装備内容を見れば、400万円台で購入できる大型SUVとは考えられない、2025年最強クラスのコスト競争力を実現しているのです。そしてM9は、先行発売がスタートしてから24時間以内に4万台以上の予約注文を獲得したことが判明しています。

この表は、2025年以降に順次投入されている、大型電動SUVセグメントの一覧を示したものです。このとおりM9は最安モデルといってもいいほどに圧倒的な安さを実現しています。ちなみにジーリーというブランドとしては、Lynk & Co 900が30万元からスタートしながら、9月中にローンチされるZeekr 9Xは47.99万元の先行発売価格と、しっかりとグループ内でセグメントわけもできています。

大型電動SUVセグメント一覧

このように、中国ジーリーが先行発売をスタートした最新電動SUV「M9」は、中国市場におけるコスパ最強の大型SUVとして大ヒットを飛ばす可能性が出てきています。とくに競合となるBYDにプレッシャーをかけてきていることは明白であり、さらなる値下げ競争に火をつける可能性すらあります。

さらに競争が激化する大型SUVの最新動向は定期的に情報をアップデートしたいと思います。

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