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てんこ盛りの豪華装備に注目
ただし、Zeekrが日本市場で成功を収める上で極めて重要だと考えているのが、チャデモ規格を採用せずにNACS規格を採用するため、テスラと提携する必要があるという点です。というのも、年間2000〜3000台程度という販売台数のために、わざわざ日本独自のチャデモ規格にローカライズすることはコスト上極めて難しいはずです。それならば、海外規格として主流のCCSタイプ2から簡単に実装できるNACS規格を採用したほうがコストは安あがりでしょうし、将来的な北米市場参入の際にも追加の開発コストが必要なくなります。
とくに日本国内のNASC規格導入は、ソニーホンダとマツダという先行事例があることから、Zeekrとしても決断さえすれば移行するのは難しくないはずです。NACS規格の将来性は、すでにテンフィールズファクトリー社のフラッシュを筆頭として、さらにユビ電などもNACS規格の採用意向を示していますし、とくに直近では充電器サプライヤーのABBもNACS規格の急速充電器を日本に導入する方針も表明してきていることから、将来的にNACS規格がチャデモ規格とともに普及していく「デュアル規格市場」になる見とおしです。
いずれにしてもZeekrとしては、7Xのファーストカーとしての実用性をアピールするためにも、急速充電としてのUXが相対的に低いチャデモ規格ではなく、テスラスーパーチャージャーを筆頭として、NACS規格の充電ネットワークを使用できるようにするべきだと考えます。
また、7Xに対する懸念はEV購入に対する補助金額で区別される可能性が濃厚という点でしょう。とくにBYDは、中国車として明らかに区別されており、おそらくBYDと同じく35万円程度しか補助金を適用できない見とおしです。よって補助金を適用したあとの実質的な値段差がどれほどとなるのかにも注目でしょう。
7Xで注目するべきが装備内容の豪華さです。最上級グレードとして日本導入価格が700万円程度となる見とおしのパフォーマンスAWDグレードの装備は以下の通りです。
・265/40R21のハイパフォーマンスタイヤ、アケボノ製4ピストンオレンジブレーキキャリパー
・16インチの3.5K、Mini LEDセンタースクリーン
・36.21インチARヘッドアップディスプレイ
・コックピットチップはQualcomm Snapdragon 8295
・2台分の50Wのワイヤレス急速充電器
・シート素材はナッパレザー、8方向電動調整、レッグレスト、4方向ランバーサポート、シートヒーター、シートクーラー、シートマッサージ、シートメモリー機能
・後席シートは電動背もたれ調整とシートヒーター
・ワンペダルドライブに対応
・アンビエントライト
・ヒートポンプシステム、バッテリープレコンディショニング機能
・サッシュレスドア、リアドアは90度開閉可能であり乗降性能を向上
・リアプライバシーガラス、リアサイドガラス用の電動サンシェード
・電動サンシェード付きのガラスルーフ
・最高出力2160Wを発揮可能な21スピーカーシステム、7.1.4ドルビーサウンド対応
・サスペンションは連続可変ダンピングコントロール付きのシングルチャンバーエアサスペンション
・レベル2ADASはオートレーンチェンジ機能も搭載
・最大3.3kWに対応するV2L機能
・最大2000MPaの超高張力鋼を含めた、高張力とアルミニウム合金の配合割合は83.3%
・エアバッグは7つ搭載
・車両保証は5年走行距離制限なし。とくにオーストラリア市場では初期注文者に対して、さらに車両保証を2年間延長、最大7年走行距離無制限保証
このように、標準装備内容を見てみると、7Xは非常に多くの装備内容を標準で搭載しており、とくに日本国内で発売中の競合プレミアムSUVと比較しても遜色ない豪華装備内容といえます。
また、日本国内で発売されているミッドサイズ級の電動SUVの航続距離と値段設定の分布をグラフにしてみます。グラフの右下に行けば行くほど、航続距離も長く、値段も安いということを意味します。仮に7X(水色のラインで表示、航続距離と値段は推定値)がオーストラリア市場と同等水準の値段設定を実現してきた場合、EV性能のコスト競争力という観点ではヒョンデIONIQ5が非常に優れているものの、さらなる動力性能や豪華装備内容を求めているユーザーは、今回の7Xもいい選択肢となりえるでしょう。
いずれにしても、中国Zeekrの最新EVである7Xは、800Vシステムやソフトウェアディファインドな車両設計を採用するなど、日本国内でもテスラと肩を張る最先端EVになることは間違いありません。とはいえ、充電規格や販売ネットワークをどのように整備してくるのかは気がかりです。Zeekrの日本参入の最新動向からますます目が離せません。