Contents
日本市場の価格に注目
その一方で、日本国内におけるリーフに対しては、いくつか懸念しなければならない点が存在します。
まずアメリカ市場とは反対に、日本国内の値段設定が高額となってしまうのではないかという懸念です。
というのも日産アリアは、先述で述べたように新型リーフと同じくアメリカ市場分も栃木工場で生産されています。現在アリアはエントリーグレードを4万ドル未満(約590万円)で発売中です。さらにアリアにはキャッシュインセンティブとして、アリアを購入するユーザーに1万ドルの購入補助金を適用中しています。
よってアリアは、現在アメリカ市場で3万ドル未満(約442万円)から購入できるという状況なのです。
ところが日本国内でアリアは660万円から発売されており、日米の価格差は200万円以上にまで広がってます。キャッシュインセンティブを考慮に入れなかったとしても、70万円も安価にアメリカで売られているのです。よってアリアの値段設定を考えると、新型リーフはエントリーグレードの52.9kWh搭載グレードだったとしてもおおむね400万円台後半、具体的には470万円程度からのスタートになる計算ができます。
また、さらなる懸念として装備内容が貧弱となる可能性もあります。
というのも、すでに詳細な標準装備内容が公開されているアメリカ市場のリーフについて、とくにエントリーグレードのSグレードとS+グレードでは、以下のような差があります。
・215/55R18のスチールホイール
・タッチスクリーンは12.3インチのデュアルディスプレイ
・USB Cポートはフロント側に2つ装備されているものの、リアには非搭載
・ワイヤレス充電も非搭載
・トランクは手動開閉
・シート素材はファブリック、前席は6方向手動調整、リヤシートも含めてシートヒーターも非搭載
・ステアリングも手動調整、ヒーターも非搭載
・アンビエントライトも白の一色のみ
・ヒートポンプやバッテリーヒーターも非搭載
・ガラスルーフも非搭載
・レベル2ADASであるプロパイロットは標準装備
・V2L機能はAC充電口から1.5kW対応
・音響システムは4スピーカー
・リヤサスペンションは2代目のトーションビームからマルチリンクに変更
・エアバッグはリーフやアリアと同じく10個搭載
このように見ていくと、やはりエントリーグレードだったとしても装備内容が極めて貧弱です。はたして日本国内の装備内容が生産工場を共有することで同じように貧弱となってしまうのか。運転席のパワーシートやシートヒーター、ハンドルヒーター、ヒートポンプシステムとバッテリープレコンディショニングシステム、プロパイロットくらいは最低限、全グレード標準装備をお願いしたいところです。
それこそ470万円という値段設定になってくると、装備内容が充実している競合のヒョンデコナやBYD Atto 3、ドルフィンと比較してもコスト競争力で大きく負け越すことになります。それこそ上位セグメントであるボルボEX30やBYDシーライオン7、ヒョンデIONIQ5、テスラモデル3なども値段設定とEV性能を踏まえると競合関係となってきてしまいます。
このように、新型リーフのアメリカ国内における値段設定が判明し、非常に競争力のある値段設定を実現してきた一方で、逆に日本市場における値段設定アリアと同じく高止まりする可能性が浮上しています。
2025年冬にローンチされる新型リーフの存在によって、停滞する日本国内のEVシフトがどれほど進むのか。新型リーフが400万円前半くらいで発売されないと、多くのユーザーは新型リーフを購入することは難しくなるかもしれません。新型リーフに関する国内の最新動向にも引き続き目が離せません。