じつは120年前からEVは走っていた
本格的なEV普及は、いつになったら始まるのだろうか。そもそも、EVが最初に量産されたのは1900年代初頭。例えば、ニューヨークのマンハッタンではEVタクシーが走っていたという記録が残されている。
時代は進んで、1970年代初頭には排ガス規制に対する米マスキー法の影響で、大排気量車から小排気量へとクルマのトレンドが急変した。その時期、未来のクルマとしてさまざまなEVが登場するも、鉛バッテリーでは電気容量が限定的であり、またEVバスなどで大量のバッテリーを搭載すると、車内でバッテリーの臭いが気になったという。
1990年には米カリフォルニア州のZEV(ゼロエミッションビークル)規制法が施行され、日米各社がEVを導入するも普及に至らず。そして2000年代末から2010年代初頭、日産「リーフ」と三菱「i-MiEV」の2モデルが大手自動車メーカーとして初の大量生産型EVとして世に出た。
2010年代には、テスラが「モデル3」で大ブレイク。また、COP21(第21回 気候変動枠組条約 締約国会議)で採択されたパリ協定をキッカケに、欧米でのEV関連投資が急増し、とくに欧州メーカーが一気にEVシフトを進めた。
一方、中国では2000年代から継続してきた新エネルギー車政策を段階的に修正し、多様な自動車メーカーからEVが登場。いまや、世界最大のEV大国となっている。
だが、直近ではグローバルで「EVは踊り場」といわれる。欧州連合の欧州グリーンディール政策によるEV施策が先読みできず、欧州メーカーによるEVシフトが軟化している状況だ。日本では、日本自動車工業会がカーボンニュートラルに向けたマルチパスウェイを提唱するなかで、EVシフトは緩やかに進みそうだ。
こうした市場背景のなか、国産メーカーのEVは、トヨタ「bZ4X」、レクサス「RZ」「UX300e」、日産「リーフ」「アリア」「サクラ」、ホンダ「N-VAN e」と量産間近の「0シリーズ」、マツダ「MX-30 EV」、スバル「ソルテラ」、三菱「eKクロスEV」「ミニキャブEV」、スズキ「eビターラ」といったところだ。
さらに、EVの技術を応用したPHEVは、トヨタ「プリウス」「RAV4」「ハリヤー」「クラウンスポーツ」「センチュリー」、レクサス「RX」「NX」、マツダ「CX60/80」、三菱「アウトランダー」「エクスリプスクロス」、マツダ「MX-30 」などで設定がある。
一方、輸入車ではここ数年でEVやPHEVのモデルラインアップが、欧米のEVシフトの余波を受けて増加している。日本自動車輸入組合(JAIA)によれば、EVとPHEVは2020年の10ブランド・20モデルだったが、2024年9月末時点では商用車を含めて19ブランド・151モデルまで拡大している。
いずれにしても、日系メーカーも海外ブランドメーカーも、2030年代には本格的なEV普及が始まると見ており、次の5年程で各メーカーからより多くのEVモデルが登場することは間違いなさそうだ。