2025年6月
TEXT:桃田健史
自動車メーカーですら苦戦する「EV」に電子やITメーカーが参入するのはなぜ? どこに「勝ち筋」を見いだしているのか

多くの非自動車メーカーがEV市場に参入 「ソニー」や「シャープ」など、電気/電子系やIT系のメーカーが近年、EV市場への参入を正式に発表している。こうした話は、コンセプトモデルや将来構想というレベルでは、随分前から国際展示会・見本市、または各社の自社で開催するイベントなどで紹介されることがあった。 そしていま、各社は量産に向けた準備に入ったわけだが、そこにユーザーとしてどんなメリットがあるのだろうか? まず触れておきたいのは、なぜ非自動車メーカーのEV参入が目立つようになったのか、という点だ。そこには自動車産業を取り巻く技術的な環境の変化がある。 2010年代半ば、ドイツのメルセデス・ベンツ(当時ダイムラー)がCASEを提唱した。通信によるコネクテッド、自動(自律)運転、シェアリングエコノミーを活用した新サービス、そしてEVに代表される電動化のことを指す。 それが2010年代後半になると、ESG投資の嵐がグローバルで吹き荒れた。従来のように財務状態だけではなく、環境、ソーシャル(社会性)、ガバナンスを重視した投資のことである。 このトレンドによって、一時期はやや停滞気味だった自動車メーカー各社のEV投資が活発化し、また非自動車メーカーでもESG投資を念頭としたEV戦略を描くようになったといえる。

TAG: #メーカー #発表
TEXT:TET 編集部
シーライオン7が大好評で他モデルも絶好調! BYDが国内の単月登録台数で過去最高を記録

輸入車ブランド別登録台数でも初のトップ10入り BYDの乗用車部門を担うBYD Auto Japanは、2025年5月の月間登録台数が416台に達したと発表した。これにより、同社の最高月間登録台数であった2024年3月の353台を上まわる過去最高の成績を収めたばかりでなく、日本自動車輸入組合(JAIA)の輸入車ブランド別登録台数ランキングにおいても、BYDが初のトップ10入りを果たすこととなった。 その原動力となったのは、4月に発売されたばかりの大型クロスオーバーeSUV「シーライオン 7」だ。品質、装備、価格などがユーザーから高く評価され、BYDの予想を大きく上まわる反響があったのだという。 その新車効果に加え、BYDそのものへの関心が高まり、店舗への来店者数が向上したことで小型EVハッチバックのドルフィン、中型eSUVのアット 3、中型スポーツEVセダンのシールのいずれもが、対前月比で大幅な販売増を記録している。これにより過去最高の月間登録台数を達成したと、BYDはコメントを発した。 なお、シーライオン 7の初期販売では、車両価格が500万円を切る後輪駆動モデルに人気が集中しているようで、その比率は全体の8割になるという。一方で、全4色のボディカラーはオーロラホワイトが約半数を占めるものの、次いでシャークグレーとコスモブラックがほぼ同等の人気で、駆動方式ほどの極端な傾向はみられない。 BYD Auto Japanは年内にプラグインハイブリッド(PHEV)の発表を控えるほか、軽自動車規格のEVを2026年後半以降に国内導入する方針を示すなど、今後も日本国内へ積極的な商品ラインアップの拡充を図っていく構えだ。 国内販売拠点の整備が急速に進んでいるほか、テレビCMなどのプロモーション活動も活発で、それらの努力の積み重ねと潜在顧客に対する取り組みが、成果として過去最高の月間登録台数という記録に結びついていることに疑いの余地はない。シーライオン 7の国内発売を機に、新たなBYD乗用車事業の成長期に向けたスタート地点に位置付けることを明言しているBYD Auto Japan。今後もその勢いは増していくものと思われる。

TAG: #BYD #シーライオン 7 #販売
TEXT:御堀直嗣
EVのスペシャリストが選出! 後世に語り継ぐべきEV遺産!!

三菱i-MiEVや日産リーフに採用されたバッテリー 私が考えるEV遺産の第一は、三菱i-MiEVや日産の初代リーフが採用した、マンガン酸リチウムを正極に使ったEV用リチウムイオンバッテリーの実用化だ。 マンガン酸リチウムを正極に使ったリチウムイオンバッテリーは何が凄いかというと、安全性の高さである。 リチウムイオンバッテリーは、旭化成に在籍した吉野 彰(2019年にノーベル化学賞を受賞)が実用化し、まずラップトップ式パーソナルコンピュータ(PC)や携帯電話などで商品化された。そのリチウムイオンバッテリーの正極は、コバルト酸リチウムだった。小さくて軽く、多くの充電容量をもつことができたが、過充電により熱を持ち、膨張や発火の懸念があった。 そのような危険性をはらんだまま何百セルも搭載して、EVで火災事故が起きては大ごとである。携帯電話で使われたリチウムイオンバッテリーは、3Wh程度であったが、EVでは初代リーフでも24kWhの容量を持ち、それは携帯電話の8000倍になる。それが発火したら、ただごとで済まないことは想像できるだろう。 そこで開発されたのが、マンガン酸リチウムを正極に使うリチウムイオンバッテリーである。 マンガンとコバルトでは、結晶構造が違う。 マンガンは、スピネル構造と呼ばれ、リチウムがマンガンの結晶の隙間に収まる状態になっている。これに対し、コバルトの結晶は層状構造と呼ばれ、コバルトの層と層の間にリチウムが、やはり層状に挟まれた状態で収まっている。 充電の際は、負極へリチウムイオンが移動する。スピネル構造のマンガンは、リチウムがすべて負極へ移動したとしても結晶構造が崩れない。一方のコバルトは、層と層の間にあったリチウムがすべて抜けてしまうと、建物の床が落ちるようにコバルトの結晶構造が崩れる。これが短絡(ショート)の一因となり、発熱や膨張、あるいは発火といった事態を起こす懸念が生じる。 一方、スピネル構造のマンガンは、リチウムが入り込む隙間がコバルトに比べ少ないので、充電容量が小さくなる。つまり、満充電からの走行距離が短くなってしまう。 それでもあえて三菱自動車工業と日産が、世界初といえるEVを市販するにあたり、マンガン酸リチウムを正極に使うリチウムイオンバッテリーを実用化し、それなりの一充電走行距離を実現した意義は大きい。

TAG: #リチウムイオンバッテリー #技術
TEXT:高橋 優
BYDの更なる一手は欧州獲り!? ドルフィンサーフの投入で小型EVバトルはどうなる?

BYDのコンパクトカーが欧州で発売 BYDは、待望されていたコンパクトEV「ドルフィンサーフ」を発売しました。2万ユーロ以下というコスト競争力を実現することで、欧州でもっとも安価なEVのひとつとして欧州へのプレゼンスをさらに高めようとしています。 まず、BYDの欧州市場における最新動向について、このグラフはBYDの2025年シーズンにおける車種別の月間登録台数の変遷を示したものです。BYDは着々と販売台数を伸ばしており、直近の4月は欧州で1.2万台超を販売。欧州全体の登録台数に占めるBYDのマーケットシェア率は1.16%と史上最高を更新しており、欧州におけるBYDのプレゼンスが高まっている状況です。 とくにBYDの需要急増にもっとも大きく貢献しているのがシールU(中国市場ではSong Plus、グローバルサウスにおいてはシーライオン6として発売)というミッドサイズSUVの存在です。シールUはBEVとともにPHEVもラインアップし、PHEVの販売台数が大半を占めています。実際に4月のシールUのPHEVバージョンの登録台数は5294台であり、これはBYDの登録台数全体のうちの42.3%に相当します。 PHEVは、BYDだけでなくその他の中国勢も欧州にこぞってラインアップを拡大中です。4月における中国勢のPHEV登録台数は9649台であり、これは前年比で546%という急成長です。これは欧州で売れたPHEVの販売総数の10%が中国製であることを意味します。 欧州は、中国製EVに対する追加関税措置を課しているものの、この対象はあくまでもBEVであり、PHEVは基本関税の10%で済むのです。よってBYDは、追加関税措置の影響による短期的な販売鈍化を回避するために、シールUを筆頭とするPHEVの販売にも同時に注力してきているわけです。 そしてBYDは、2025年末までにハンガリーの車両生産工場の稼働をスタートさせます。さらに、2026年前半にはトルコ工場の稼働もスタート予定であり、これらの欧州域内における現地工場が稼働することによって、BYDは現在PHEVに対する10%の関税、そしてBEVに対する27%の関税を回避することが可能となります。よって、その分だけ車両の値段設定を安価にすることが可能となるのです。 そして、BYDが欧州に投入した新型モデルがドルフィンサーフです。ドルフィンサーフは、中国市場でシーガル、グローバルサウスではドルフィンミニと命名されて発売中です。ドルフィンサーフは、全長3990mm、全幅1720mm、全高1590mm、ホイールベースが2500mmというコンパクトカーです。たとえば全長3950mm、全幅1965mmのトヨタ・ヤリス、全長4045mm、全幅1695mmの日産ノートと同じようなサイズ感で、日本でも扱いやすいサイズとなります。 ドルフィンサーフは2種類のバッテリー容量と2種類のモーターを組み合わせた3グレード展開です。とくにエントリーグレード「Active」は30kWhという控えめなバッテリー容量ながら、WLTPサイクルに基づくWLTCモードクラス3で220kmという航続距離を確保。中級グレードであるBoostには43.2kWhが搭載され、322kmという航続距離を実現しています。 また、充電性能について、じつは中国市場におけるシーガルでは、30.08kWhと38.88kWhという2種類の電池容量をラインアップしているものの、シーガルの30.08kWh搭載グレードは、最大30kWの急速充電にしか対応していません。ところがドルフィンサーフの30kWhでは最大65kWの急速充電に対応しており、中国仕様の倍の充電性能を実現しているのです。また、ドルフィンサーフは、11kWの普通充電とともに3.3kWのV2L機能も標準設定しており、EVの使い方を広げる優れた性能となっています。

TAG: #ドルフィンサーフ #欧州
TEXT:石橋 寛
EVが普及しない……とか言われるのは4輪! 2輪の世界はどうなってる?

中国が世界シェアの70%を占める これだけEVのニュースが溢れかえっているのに、一般家庭への普及となるとさほど進んでいない印象を受けるのは筆者だけではないでしょう。クルマがそうなら、嗜好品ともいわれるオートバイの世界ではどうなっているのでしょう。2輪のEVについても、各国からさまざまなモデルが登場しているものの、クルマ同様にさほど普及しているようには見えません。そのあたりのリアルを探ってみましょう。 2輪のEVは4輪のEVに遅れること70年くらいでしょうか、1895年には特許の出願がなされていました。20世紀にはいるとすぐに電動バイクが世に出され、メディアがテストした記事をリリースしています。それによると、「1回の充電で120~160kmの航続が可能」とか「3速ギヤで最高速は56km/h」とのことですが、真偽のほどは確かめようがありません。だいたい、電源からしてどんなものを使っていたのか不明ですし、制御についても現代のそれとは比べ物にならないはず。 このあたり、エジソンが作ったEVも似たようなもので、高コストというデメリットと合わせて普及に至らなかった要因でしょう。 4輪と同じく、2輪EVのバッテリーも当初の鉛蓄電池から始まって、燃料電池/ニッケルカドミウム、リチウムイオンなどなど進化の一途。また、モーターにしても航空機のスターターモーターを流用したり、可変リクラタンスモーターといったバイクならではのイノベーションも繰り返し行われています。 こうした背景から頭ひとつ抜け出たのは、ほかでもない中国メーカー。電動スクーターという比較的部品も少なく、生産もしやすい製品からスタートして、現在では世界シェアの70%を握っています。余談ながら、電動キックボードについても中国のリードは変わらないばかりか、シェアは90%以上とのこと。

TAG: #2輪 #バイク
TEXT:琴條孝詩
EV推しのオーナーが本音で語る! ここが嫌だよEVライフ!!

多くのオーナーが充電に苦労 電気自動車(EV)はここ数年で確実に普及が進み、道路を眺めていてもその数がぐっと増えている。私自身も3年前からEVオーナーとなっている。世間でよく耳にする「静粛性が高い」「排ガス臭がしない」「メンテナンスコストが低い」という肯定的な声はウソではない。だが、ことさら「EVはどんな感じですか?」などと聞かれると、とかく表面的ないい点ばかり話してしまうのも人情だ。しかし、愛着をもっているからこそ、あえて「ここは本当に困る」「これにはイラつく」という、EVオーナーが胸の内に隠す“嫌なポイント”について率直に書いてみたい。 <充電設備への“家事情”ハードル> EVの弱点として真っ先に挙げられるのが充電インフラの問題だろう。自宅にEV充電設備を設置するのがベストだが、そうでない多くのオーナーがこの点で苦労している。たとえばマンションやアパート住まいの人にとって、自宅充電は夢のまた夢だ。管理組合に充電設備の設置を交渉しても、「コストが高い」「誰が責任をもつのか」などと議論が平行線をたどるまま進展しないことはよくある。 戸建て住宅でも、EV充電設備を新たに設置するためには、安くもない追加工事費がかかる。私もわざわざコストをかけてまでEV専用の200Vコンセントを設置するのに二の足を踏み、もともとガレージにあった100Vコンセントで8A程度と、アンペア数を低くして充電している。しかし、この電圧では20%程度の残バッテリー容量から80%充電にするには24時間以上かかる。場合によってはもっとかかる。これが200V普通充電であっても、6~8時間かかるのは当たり前。数分で満タンになるICE(内燃機関)車と比べると不便さを感じる。仕事が忙しく深夜帰宅して、そのまま朝イチで出発するようなスケジュールでは、自宅では十分に充電できない。 この場合、近くの急速充電器を利用するしかない。そもそも外出先での充電は「急速充電器がどこにどれだけあるか」を常にアタマのどこかで意識して把握しておかなければならない。しかし、いつも急速充電器が使用できるとは限らない。故障のこともあるし先客がいれば最悪充電までに30分、加えて自車の充電に30分の合計約1時間は待つ必要がある。私はテスラ所有なので他メーカーのEVオーナーよりは恵まれている。というのも、自宅の3〜5km圏内にいくつかのテスラ専用SC(スーパーチャージャー)があり、SCは故障も少なく、満車になるということもめったにない。

TAG: #オーナー #所有
TEXT:山本晋也
EVを安く乗るなら「回生ブレーキ」の効率化をマスターすべし! EVオーナーが語る誰でもできるエコテク

減速エネルギーで充電するのが回生ブレーキの役割 最初に所有したEVが初代リーフで、2025年になってイタリアのEV「フィアット500e」を乗り始めた筆者。500eは軽量なコンパクトEVということもあって、日常的に10km/kWhを超える好電費で走れることも珍しくない。 初代リーフに乗っていたときも、200km近く走ったときの区間電費で9km/kWhを超えることはあった。同じような走り方で、なおかつ最新のEVであれば、電費の数字が向上するのは自然というのが正直な感想だ。 ※2021年頃、リーフ専用アプリに表示された走行距離と電費 こうした話をしても、EVのあるカーライフを送っていない人からすると、「その数字はどのくらいいいのかわからない」といわれてしまうことのほうが多い。日常的にEVに乗っていないと、電費の数字を見てもピンとこないのも当然だろう。 『km/kWh』という単位は1kWhの電力量で走れる距離を示すものだ。つまり、数字が大きいほど同じ電力量で長い距離を走れるわけだから、電費において優秀といえる。 たとえば、フィアット500eの搭載するバッテリー総電力量は42kWhで、カタログスペックの一充電走行距離は335kmとなっている。この数字から『km/kWh』の電費を計算すると、7.9km/kWhとなる。冒頭に記した10km/kWhを超える電費は、カタログスペックを上まわったことになる。 ちなみに、初代リーフはバッテリー総電力量が30kWhで、カタログに記載されている一充電走行距離は228km(当時はJC08モード)だった。ここから計算すると、7.6km/kWhがカタログスペックの電費と考えられ、これを超えた電費で走ったということは、上手にエコドライブができたという意味になるのだ。 このように電費の説明をすると、つづけて「電費をよくするEVならではの運転テクニックがあるの?」と聞かれることも多い。 筆者もつねに好電費が達成できるわけではなく、もっとエコドライブの上手なEVオーナーはたくさんいるのも承知しているが、EVのエコドライブにおいて筆者が気を付けている最大のポイントは、「回生ブレーキを効率的に活用する」ことだ。 EVに限らずHEV(ハイブリッドカー)などの電動車全般にあって、エンジン車にない機能が「回生ブレーキ」で、電動車においては非常に重要な役割を果たしている。 ご存知のように、回生ブレーキというのは減速時に駆動モーターを使って発電、バッテリーを充電する機能だ。一度、バッテリーから放出した電力を回収するということは、そのぶんだけ航続距離を伸ばすことにつながる。 誤解を恐れず単純化すると、100kmの距離を移動したときに加速で12kWhの電力を消費したとして、回生ブレーキによって2kWhを充電できれば、トータルでの消費電力は10kWhになるため、この区間での電費は10km/kWhと計算できる。 EVにしろHEVにしろ、技術的な進化による回生ブレーキによる発電・充電性能は進化している。この機能を活用しない手はない。

TAG: #ドラテク #回生ブレーキ
TEXT:桃田健史
最近自動車業界で名前を見かけることが増えた「鴻海(ホンハイ)」! 自動車メーカーじゃないけどいったいナニモノ?

電機・電子業界での知名度が高い「ホンハイ」 2024年末、「ホンハイ」という名前がメディアに登場する機会が一気に増えた。ホンダと日産の経営統合に関して、あくまでも「噂」としてホンハイの存在が注目されたからだ。 ホンハイとは、台湾の鴻海科技集団のこと。日本では電機・電子業界での知名度が高い一方で、自動車産業界、そしてユーザーにとっては「初めて聞いた会社名」という人が少なくないだろう。 じつはこの会社、総売上高が約32兆円、また時価総額で約24兆円にも及ぶ大企業なのだ。 事業内容は、電子機器受託製造(EMS)で、その世界シェアは46.1%(直近データ:2023年)を誇る。どんな電子機器かといえば、スマートフォン、タブレット、デスクトップコンピューター、サーバー、ゲーム機、モニター、テレビ、自動搬送ロボットなど幅広い。 契約先の企業は、アマゾン、アップル、マイクロソフト、グーグル、ソニー、任天堂など、世界トップメーカーがズラリと並ぶ。 そんなホンハイは、コロナ禍前の2010年代後半、売上が高止まったことを受けて、中期的な成長戦略として「3+3」を打ち出した。産業として、EV、デジタルヘルス、ロボティクスという3分野。また、テクノロジーとして、AI(人工知能)、半導体、新たな通信コミュニケーションという3つだ。   「3+3」のなかでも、EVは単価が高いため、ホンハイとしては重要項目として位置付けている。EVについては徐々に拡大をしている高付加価値型と、今後さらに需要が増えるであろう低価格EV及び商業EVという、大きくふたつの括りがあると市場を分析している。 現在の戦略としては、ホンハイがEV市場を分析して独自にベースモデルを企画する。これを自動車メーカー各社に購入してもらうというもの。製造も当然、ホンハイが行うため、自動車メーカーとしては手間が省ける。 どんなモデルがあるかといえば、「モデルC」は、北米向けのコンパクトSUV。バッテリー容量が58kWhと83kWhがあり、航続距離はそれぞれ500kmと700km。すでに顧客(=自動車メーカー)がついている。 また、コンパクトクラスのクロスオーバー「モデルB」はバッテリー容量が58kWhで航続距離が500km。後輪駆動と四輪駆動がある。イタリアのピニンファリーナによる斬新なデザインが特徴だ。 2026年第2四半期には、オセアニア市場に対応した三菱自動車向けとして契約が成立している。 ホンハイとしては今後、各種モデルで顧客(=自動車メーカー)を増やしたいところだが、果たして思惑通りにことが進むのだろうか? 今後の動向を注視したい。

TAG: #ホンハイ #台湾
TEXT:大内明彦
4モーターの4WDも簡単に実現可能! エンジン車の4WDではできないEV四駆の底知れぬ可能性

EV は「四輪独立駆動」が可能!? 化石燃料(ガソリン、軽油など石油燃料)を使う内燃機関車に対して、電気モーターを動力とするEVの優れている点はなにか? 最大の違いは、燃料を燃焼しないことからEVは燃焼ガスを排出しない、簡単にいえば、排気ガスを出さないことが特徴として捉えられている。つまり、排出ガスがゼロだから大気に対して無公害、ということである。二酸化炭素も窒素酸化物も炭化水素も排出しない。だから、世界的な趨勢として、今後新たな内燃機関車は生産・販売をせず、その代わりにEVを普及させようという流れになったワケだ。 ところで、内燃機関車に対してEVの優れる点は、無公害車両ということだけなのだろうか。電気モーターを動力源とするEVの基本構造を考えてみると、自ずとその利点、特長が見えてくる。内燃機関(エンジン)は、小型・軽量といってもそれなりのサイズ、重量になってしまうが、それに対するEVの電気モーターは、かなり軽量コンパクトな仕様となっている。自動車の車体に搭載して使う動力源としての電気モーターは、スペースも含めた搭載性で相当に自由度が高くなる。 何をいいたいのかというと、内燃機関車の場合は、必然的にエンジンはひとつになってしまうが(例外的に競技車両でツインエンジンという形態も存在したが)、軽量コンパクトな電気モーターは、ひとつの車体に複数個を搭載することが可能、ということだ。極論すれば、自動車の標準的な形態を4輪車とした場合、4輪それぞれに専用の駆動モーターを装備することもできる、ということだ。 それはつまり4輪駆動? それなら現在の内燃機関車で数多く実用化されているではないか、となるのだが、4輪それぞれに駆動用の電気モーターを備えるということは、別の言葉で表現すれば「四輪独立駆動」ということである。それぞれのタイヤに伝える駆動力を、それぞれ独立して発生することができる、という点が大きな特長となる。

TAG: #モーター #駆動方式
TEXT:高橋 優
EVシフトの減速は幻想!? 世界規模でみたEVシェア率の伸びは想像を超えていた!

BEVとPHEVの合計販売台数は163.5万台超 2025年3月における世界全体のEV販売動向が判明しました。EVシフト減速といわれるなか、EVシフト減速のリアルとともに、2025年シーズンに注目するべき最新EV動向を含めて解説します。 まず初めに、最新のデータが判明している2025年3月の世界全体でのBEVとPHEVの合計販売台数は163.5万台超に到達し、前年同月比+24.4%となりました。成長率の内訳について、PHEVは前年同月比+14%だった一方で、BEVは+32%で成長しており、PHEVよりも販売台数が伸びています。 さらに、新車販売全体に占めるBEVとPHEVの合計販売台数のシェア率も、3月単体では25%に到達しています。前年同月が19%だったことを踏まえると、シェア率の伸びが加速している状況です。 次に、BEVに絞った販売動向について、1月から3月のQ1合計におけるBEV販売台数とBEVシェア率の変遷を2023年シーズンから追ってみると、黄色で示されたBEVの販売シェア率は9%、10%、そして14%とシェア率が上昇中です。2025年通期でのBEVシェア率20%にも期待可能でしょう。 また、世界の主要マーケットと比較したBEVシェア率の変遷について、日本市場のBEVシェア率は3月単体で1.56%と低迷しているものの、世界全体では17%に到達しており、主要先進地域において日本のBEVシェア率がまったく伸びていない様子も見て取れるでしょう。 次に、このEVシフト減速という言説が間違っているといえる世界全体のEVシフト成長の流れにおいて、人気のEVを分析しましょう。まず2025年Q1におけるBEVとPHEVの販売台数ランキングトップ20を見てみると、トップからテスラ・モデルY、BTD Song、テスラ・モデル3、ジーリーXingyuan、BYDシーガル、Hong Guang Mini EV、シャオミSU7と続いています。 また、トップ20のうちBYDが9車種、ジーリーが3車種ランクイン。とくにトップ20のうち、テスラと中国勢以外でランクインできたのはフォルクスワーゲンID.4だけであり、BYDやジーリーを筆頭とする中国勢の躍進の様子が見て取れます。 その一方で、それらの人気車種を2024年Q1での販売台数と比較しましょう。まず注目するべきは、ジーリーのXingyuan、Starship 7、シャオミSU7、BYD Qin L、Seal 06、Xpeng Mona M03、Li Auto L6であり、これらは1年前には発売されていなかった新型モデルです。また、BYD Song、テスラ・モデル3、BYDシーガル、Hong Guang Mini EVは、前年比で販売台数を伸ばしているものの、テスラ・モデルY、BYD Qin Plus、Yuan Plusは前年比で販売台数が減少しています。BYD Qin PlusとYuan PlusはQin LやYuan Upが登場したことによる販売が鈍化したことが推測可能です。モデルYはモデルチェンジにおける買い控えと生産ラインの切り替えが要因として考えられます。 そして、この人気車種ランキングにおいて注目するべきさらなるポイントとして、中国とアメリカ、欧州という主要マーケットを抜いたその他のマーケットにおける人気EVランキングについて、トップからBYD Song、テスラ・モデルY、Vinfast VF3、BYD ATTO 3が人気です。とくにベトナムの振興メーカーVinfastの小型SUV「VF3」の快進撃には驚かされるでしょう。 また、ピックアップトラックセグメントについて、3月単体でトップに躍り出たのがBYD Shark 6です。Q1全体だと、フォードF-150 Lightningが販売台数トップを維持しているものの、このShark 6はオーストラリアやメキシコ市場などの一部マーケットでしか販売されておらず、ピックアップが人気のタイ市場をはじめとする東南アジアで本格的に発売がスタートすると、F-150 Lightningを抜くはずです。 Q1のテスラ・サイバートラックは約6300台と、F-150 Lightningを下まわるという販売低迷に見舞われています。一時は予約台数200万台に達したなどといわれていたサイバートラックの低迷は、在庫過剰、生産ラインの稼働率低下によるテスラ全体の収益性低迷の理由とも推測でき、今後の販売動向には注目が集まります。

TAG: #EVシフト #普及 #販売

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