日本メーカーからも電動バイクが登場
中国に負けじと気勢を吐いているのがほかでもない、ハーレーダビッドソン資本の電動バイクメーカー、ライブワイヤーでしょう。2020年に突如現れた2輪EV「ライブワイヤー」は、0-100km/h加速3秒、15.5kWhの高電圧バッテリーを搭載し、エコモードなら235kmの航続距離を誇るモデル。次いで、S2シリーズとしてアルピニスタやパトロールといったモデルをリリースし続けているものの、最新リリースでは減収に次ぐ減収で「売れていない」ことが如実に語られています。
やはり最大のネックは航続距離だと思われ、市街地はともかく郊外の充電インフラがまだまだ充実しきっていないアメリカでは致し方ないところかもしれません。映画のなかでブラックウィドウが颯爽と乗りこなしていたのに、なんだか残念な気もしますね。
もちろん、国産バイクでもEVのラインアップが続いています。ホンダ、ヤマハ、そしてスズキはスクーターをリリースし始めていますし、カワサキに至っては主要モデルNinjaのEV(Ninja e-1)を発売。これはガソリンモデルのNinja250の166kgに対し、バッテリー搭載状態でも車重が140kgと軽量で、その運動性能にも大いに期待がもたれています。が、満充電で航続距離72kmというのはいささか寂しいもの。ガソリンモデルならば、ワンタンクで200~300kmは走れるはずなので、痛しかゆしのバーターといわざるを得ません。
このように、EVバイクの普及には4輪と同様に航続距離や充電インフラの整備、そして普及しやすい価格となることが欠かせない条件かと。たしかにEVバイクによるレースやモトクロスも増えてはいるものの、こちらは限られたエリア内という条件付き。自由へのパスポートと称されるオートバイにとって、現状はあまりにも厳しいのではないでしょうか。
筆者は電動オフロードバイクで森のなかにあるコースを走ったことがあるのですが、最初こそ耳慣れたエンジン音が聞こえないことに違和感を覚えたものの、走っているうちに鳥のさえずりや風の流れる音などが耳に入るようになり、じつに心穏やかなライディングだった印象をもっています。じつをいえば、価格さえ手に届きやすくなればいまでもほしいと思っています。
自由へのパスポートとは本末転倒かもしれませんが、航続距離や充電はトランスポーターや発電機を利用することでどうにかなるもの。普及への道のりはいまだ険しいかもしれませんが、2輪EVには期待しかもちえていないのです。