コラム
share:

BEV大国の中国はもはや「中国メーカー」だらけに! テスラ以外の輸入メーカーは惨敗という現実


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
TAG:

ドイツ御三家の販売台数は減少

それでは、いくつかのセグメントをそれぞれ詳細に分析しましょう。

まず初めに、大衆セダンセグメントの販売動向について、やはりBYD Qin PlusのHonor Editionによる大幅値下げ、および第五世代のPHEVシステムで大きな注目を集めているQin LとSeal 06が、それぞれ6万台、7.6万台を1カ月に売り上げて競合を圧倒している状況です。この大衆セダンセグメントでは、もはやBYDには誰も対抗できなくなっています。

グラフ

日産シルフィこそ、前年同月比で11.2%のプラス成長を実現したものの、トヨタのカローラとレビンは42.7%ものマイナス成長。ホンダのシビックとインテグラは71.6%もの販売台数急減を記録。まさに、BYDの大衆セダンPHEVの存在によって、とくにホンダの大衆セダンの販売台数が壊滅している状況です。

このグラフは、BYDと日本メーカー勢など、大衆セグメントの販売が中心の大衆ブランドの月間販売台数の変遷を示したものです。このとおり、BYDが前年同月比で51.9%もの急成長を実現するなか、トヨタは9.5%ものマイナス成長。日産も4.3%ものマイナス成長。そしてホンダは42.8%ものマイナス成長を記録。

グラフ

ちなみに四半期別で確認してみても、このQ3においてBYDは前年同期比で49%もの急成長を実現した一方、トヨタは10.2%ものマイナス成長。日産も16.7%ものマイナス成長。そしてホンダは43.2%という販売台数減少を記録。よってBYDは、2022年Q4以降、8四半期連続で中国トップのブランドの地位を確立しています。

次に、プレミアムBEVセダンに関して、黄色で示されているテスラ・モデル3がセグメントトップの販売台数を実現しました。そして競合のシャオミSU7も1.3万台強で生産キャパの上限に到達済みです。シャオミは10月中の納車台数目標を2万台と大幅に引き上げてきており、モデル3とSU7によるセダンEVの頂上決戦が始まろうとしています。

グラフ

また、モデル3の販売台数は、事前の予測に反して非常に順調です。Q3は2021年Q1以来の高水準であり、ハイランドへのモデルチェンジ後としても史上最高の四半期となりました。

グラフ

そして、最後に注目したいのがドイツ御三家の販売動向です。このグラフは、ドイツ御三家とテスラ、そしてNIO、Li Auto、ファーウェイというプレミアムブランドの四半期別販売台数の変遷を示したものです。

グラフ

まず、中国勢が急速に販売台数を伸ばして、とくに直近のQ3では、Li Autoがドイツ御三家の販売台数を抜いています。さらにファーウェイもQ3で11.3万台超と、前年同期比で8倍もの販売台数増加を記録し、BMWの販売台数に接近しています。

よって、その影響によってドイツ御三家は販売台数が減少中です。アウディは前年同期比で18%ものマイナス成長。次にメルセデスも12.2%ものマイナス成長。そしてBMWに至っては30%ものマイナス成長となりました。

じつはドイツ御三家はQ3に突入してから揃って、中国市場における過度な値下げ競争からの撤退を表明していたという背景が存在します。ところが、とくに値下げをほぼ行わないようにしたBMWは、7月の販売台数が急落してしまったことを受けて、たまらず追加の値下げを容認した格好に。それでも直近の9月の販売台数は、前年同月比でマイナス29.5%と、販売減少に歯止めがかかっていない状況です。

ファーウェイLuxeed R7

※ファーウェイのLuxeed R7は発売開始2週間で2万台の確定注文を獲得済み。

いずれにしても、この中国EV市場の最新動向は、
・大衆セグメントではBYDが驚異的な支配力を発揮することで、日本メーカーの販売台数がさらに低下している状況
・中国市場が稼ぎどころでもあるドイツ御三家も、ファーウェイの台頭によって販売シェアを落とす。DenzaとNIOの更なる新型EV投入によって、より一層競争が激化
・年末から2025年前半は、売れ筋のモデルYに対抗する、Zeekr 7X、ファーウェイLuxeed R7、NIOの大衆ブランドOnvoのL60、IMモーターLS6のフルモデルチェンジバージョン、Avatr 07など、電動SUVが続々と市場に投入

これらの点に注目しながら、年末の中国国内のEVシフト動向には注目するべきでしょう。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
ロングホイールベース化で後席が7シリーズ並! BMW 5シリーズ 「i5 eDrive35L」と「525Li」に「Exclusive M Sport」を追加
中国専売EV第2弾はクロスオーバーSUV! スポーティなクーペ風スタイリングがマツダらしい「EZ-60」を上海モータショーで発表
上海モーターショーで見えたトヨタのマルチパスウェイ! フラッグシップEV「bZ7」とレクサス新型「ES」を同時発表
more
コラム
水素燃料電池車は大型トラックでこそ活きる? FCVトラックのいまの立ち位置と立ちはだかる課題
「濡れた手でコンセントを触るな」なんて言われてきたけど……雨の日に屋外の充電器でEVの充電をするのは危険?
BYDの最新SUV「シーライオン7」で1000kmロングラン! ちょっと気になる点はハイスピード電費と急速充電性能!!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択