BYDのすべてのモデルで大幅な値下げを実施
次にこのグラフは、バッテリーEVに限った販売ランキングトップ20を示しています。ここでもBYDが6車種をランクインさせるという強さが見て取れるものの、個人的にもっとも注目するべき販売動向というのが、第17位にランクインしてきたジーリーの高級EVブランドZeekrの007の存在です。
2024年元旦から納車がスタートしているZeekr 007というのは、現状、世界最強のコストパフォーマンスを実現しているバッテリーEVセダンです。
航続距離は最長870km、充電残量80%まで15分で充電完了、0-100km/h加速も2秒台、インテリアの質感についても、プレミアムセグメントの車種としてこれ以上の装備内容は考えられないほど充実させ、その値段設定が21万元未満、日本円に換算して400万円台前半からのスタートという、まさに化け物級のコスパを実現しているとして、販売台数にも大きく期待していたという背景が存在しました。
そして、実際に納車初月において、早速6000台近い販売台数を実現。人気EVトップ20にランクインしていることから、2月以降、さらに販売台数が増加していくことことが期待されます。
また、このZeekr 007の該当するプレミアムセダンセグメントについては、2024年シーズンもっとも注目するべきセグメントでもあります。
このグラフのとおり、これまで販売台数をリードしてきていたのがテスラモデル3とBYD Hanの存在です。ところが、Zeekr 007を筆頭として、Luxeed S7、Exeed Sterra ES、Galaxy E8というEVセダンが矢継ぎ早に発売スタート。モデルチェンジバージョンの納車をスタートしているモデル3と比較しても、発売当初で販売規模が接近し始めている状況です。
とくにZeekr 007の兄弟車である、ジーリーのEV専門シリーズであるGalaxyのE8についても1月上旬から納車をスタートしているにもかかわらず、3000台以上の販売台数を実現しています。ジーリーグループ全体で、モデル3の追撃体制を着実に構築している様子を確認可能です。
他方で販売台数が伸びてきていないのが、11月末から発売をスタートしていたファーウェイのLuxeed S7の存在です。じつはLuxeedに関しては、生産を任されているCheryの生産体制がうまく構築できておらず、すでに1万台の注文がありながら、その注文をまったく捌くことができていない状況なのです。
とくにLuxeedに関しては、AITOと同じくファーウェイストアでも展示、販売されていることから、AITOと同様に成功が約束されているはずなものの、肝心の生産が満足にできていない状況であり、完全に出鼻をくじかれてしまった格好です。
そのS7の兄弟車であり、Cheryの高級ブランドであるExeedのSterra ESについてもまったく同様に販売台数が伸びていないことから、初動という観点では、ファーウェイとChery連合は完全に失敗。他方で、ジーリーグループは生産も順調であり、とくにZeekr 007については、モデル3キラーとして販売台数越えを実現できるのかに、大きく期待することができるでしょう。
このようにして、中国EV市場における最新の1月については、EVの販売台数全体が縮小してしまっているものの、これは例年どおりの動きであり、とくに旧正月が明けて需要が本格化していく3月以降、さらに販売シェアが伸びていくことに期待可能です。
他方で、足もとのPHEVのシェア率が、とくにAITO M7の爆発的ヒットによって高まりを見せていることから、どこまで伸びていくのか。個人的には、PHEVの販売シェア率については、この1-2年にピークを迎えると推測してはいます。
というのもファーウェイについては、バッテリーEVのラインアップが増えていくという点、さらに同じくレンジエクステンダーで販売台数を伸ばしているLi Autoに関しても、今年からバッテリーEVのラインアップを急拡大させる方針です。
よって、この2024年か2025年がPHEVのピークとなるのか、それとも2020年台後半もPHEVのシェアが高まり続け、バッテリーEVのシェアを超えるのか、最新トレンドには注目していきたいと思います。
そして、中国だけではなく世界のEVシフトに大きな影響を与える中国BYDに関しては、すべてのモデルで大幅な値下げをしながら、さらにプレミアムブランドにおいて、新型EVの投入ラッシュが始まる1年となります。
いずれにしても、BYDの動きこそ2024年もっとも注目するべきニュースであり、このBYDの最新動向、および期待の新型EVに関する最新動向についても継続的に取り上げていきたいと思います。