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熱ダレと充電エラーがキツイ! BYDドルフィンで1000kmロングランを行ってみた


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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1000km走破にかかった時間は約13時間

草津PA上り→浜松SA上り(150kW充電器)

・走行距離:195.4km
・消費電力量:85%→11%
・平均電費:4.72km/kWh
・外気温:0〜1℃

トータル走行距離もようやく800kmを超えました。一方で、1回目の充電セッションである浜松下りのような充電性能は発揮できず、67%まで回復させるのに48分もかかってしまっています。

さらに、恐れていた充電エラーも再度発生。ここまでの充電セッションを確認する限り、充電エラーが発生しているのはABB製の急速充電器であることから、ドルフィンを長距離走行させる際は、ABB製の急速充電器を避けたほうが無難かもしれません。

充電器のエラー画面

この充電エラーについては、詳細がわかり次第、最新情報をアップデートしたいと思います。

⑤ 浜松SA上り→駿河湾沼津SA上り(150kW充電器)

・走行距離:116.0km
・消費電力量:67%→15%
・平均電費:3.83km/kWh
・外気温:6〜9℃

最後の充電スポットは駿河湾沼津SAです。ここにも150kW級の急速充電器が存在しますが、先ほどと同様にABB製であることで、ドルフィンの充電の際は注意が必要です。一方で、すぐ横にはニチコン製の90kW充電器も存在することから、充電エラーによって充電ができないということはありません。

BYDドルフィンの充電シーン

ちなみに、浜松からの区間は120km/hを出すことができるので、そのぶんだけ電費は悪化します。ドルフィンのCd値は0.301とEVのなかでは優れた数値ではないので、今回の検証のようなタイムトライアルでない限りは、時速100km程度に抑えたほうが電気代の節約という観点では無難かもしれません。

⑥ 駿河湾沼津SA上り→海老名SA上り

・走行距離:76.0km
・消費電力量:37%→9%
・平均電費:5.0km/kWh
・外気温:8〜9℃

海老名SAに到着しました。トータルタイムは12時間59分、平均電費は4.53km/hでした。そして、充電にかかった時間は4時間オーバーと、これまでに行ってきた1000kmチャレンジのなかでもっとも充電の時間が必要だったEVの1台となってしまいました。

確かに、冬場であったことで電費が悪化してしまっていることは考慮に入れるべきですが、想定以上に時間がかかった要因は、なんといっても「熱ダレ問題」です。問題は、充電にかかる時間が最初の充電セッションと比較しても長くなってしまうことで、長距離になればなるほど不利になるという点。

こうなると、当初想定していた充電時間よりも多くの時間が必要となり、この後の行程に影響が出てしまうわけです。日産リーフオーナーとしても、とくにドルフィンについてはリーフとは異なりバッテリーの温度管理機構が搭載されていることから、もっとも残念な部分であったといわざるを得ません。

実際に、1000km走行するのに10時間ジャストで走破するEVが複数出てきていることからも、同じ走行距離で、車種によっては3時間も必要な時間が変わってしまうのがEVの現状です。長距離を中心に運用するのか、それとも自宅充電しかしないセカンドカーのような運用を想定しているのかによって、購入すべきEVが大きく変わってしまうという点は、押さえておきたいポイントです。

BYDドルフィンの1000kmチャレンジのデータ

いずれにしても、BYDの新型コンパクトEVであるドルフィンロングレンジについては、充電エラーと充電出力制限によって期待以下の結果に終わってしまいました。

ただし、このドルフィンについては、セカンドカーとしての運用として日産サクラとも競合関係にあることから、サクラの倍の航続距離、倍の充電性能、などという点を考慮すると、それでもなお、非常にオススメできるEVであることは間違いありません。

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