毎月450人を雇用し絶え間なく行う開発
私たちジャーナリストへのプレゼンは、i5のカーブドディスプレイを使っての、同社が開発したソフトウェアプログラムだった。なかには、ゲームもあれば、ビデオも。
BMWでは「エアコンソール」と名づけている。
グーグルやリナックスのシステムを必要に応じて、自社開発のOSと組み合わせているBMW。i7やi5ではOS8.5が動き、クリティカルテックワークスもそれをベースにソフトウェアを開発してきた。
いっぽうで、まもなく発表される新型車では、さらにOS9への発展が計画されているため、ソフトウェア開発者は休む時間がないという。
「私たちは100人でスタートし、1600人にまで拡大しています。いまは毎月450人を新規雇用するなど、着実に業務を拡大してきています」
私がさっとオフィスを通りすぎたところ、従業員はみな若い。ポルトガル人が中心とのことで、ドイツや、基本的に同じ言葉を使うブラジルの技術者も混ざるそうだ。
「従業員が増えていくと、頭を使わなくてはいけないのは、適材適所の人員配置です。仕事を依頼する前に、企業文化を伝え、企業のDNAを理解してもらわなくてはならないのも、重要な仕事だと思っています」
工場建設もまずデジタルで
本拠地をポルトガルのもうひとつの都市、ポルトに置くクリティカルテックワークスでは、車両開発の一部である(デジタル)プラットフォームの構築を進めている。
「デジタル技術を活用できるすべての分野で、よりよいソリューションを生むのが私たちのタスクです。生産、ロジスティクス、コンフィギュレーターなどからセールスの分析にいたるまで。かつ、データをグローバルでカバーする必要があります」
「iファクトリー(アイファクトリー)」と名付けられる「仮想工場」も計画に入っている。まずデジタルで立案から設計、そしてロジスティクスにいたるまですべて構築して、そのあと実際の建設に入るのだそう。
デジタルの領域で出来ることはすべて挑戦して実現する。それが企業間競争に打ち勝つために必要なこと、とキルシュバウム氏。中国にも同様の機能を持った企業を持ち、デジタライゼーションを進めていくBMWの姿勢には感心させられた。