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農業機器大手「やまびこ」が自律型草刈り機など次世代小型EV公開。独自発電システムにも注目


TEXT:桃田 健史 PHOTO:桃田 健史
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小型屋外作業機器の大手「やまびこ」が国内最大級の農業関連見本市「第10回 国際スマート農業EXPO」で次世代小型電動器のコンセプトモデルを出展した。自律走行草刈機やロボット芝刈機など、EVとして機能と自動化技術を連動させた最新機器の国内普及を図る。

「やまびこ」ってどんな会社?

東京都青梅市に本社を置く、株式会社「やまびこ」。

一般消費者には、馴染みが薄い企業名かもしれない。

だが、同社が扱うブランドを見ると、その存在の大きさを認識できるだろう。

「KIORITZ(共立)」、「shindaiwa(新ダイワ)」、そして「ECHO(エコー)」。

こうした名前を、ホームセンターで販売されている農業関連機器コーナーで見かけたことがある人もいるはずだ。

株式会社やまびこのホームページによると、同社は株式会社共立と新ダイワ工業株式会社が2008年12月に持株会社を設立し、2009年10月に両社を吸収合併して誕生した、とある。

共立は、1947年に共立農機として東京で設立。刈払機(かりはらいき)やチェーンソーなどを開発し販売してきた。

一方、新ダイワ工業は1952年に広島で創業。チェーンソー、小型発電機、大型ディーゼル発電機、また高圧洗浄機なども開発していた企業だ。

こうした老舗メーカーどうしが、農業や林業など一次産業におけるイノベーションを起こすため、「やまびこ」となって次世代技術の開発にまい進しているのだ。

自律・自動走行の最新モデル

今回の出展で来場者の注目を浴びていたのが、自律走行草刈機「RCM600 AUTO」。

やまびこの草刈機では、遠隔操作によるラジコ型草刈機「RCM600」がすでに発売されている。これをベースに自律走行させるモデルが登場したというわけだ。

自律走行するシステムでは、まず最初に作業エリアの四隅のマーカーを搭載カメラで認識させた上で、カメラとライダーで周辺情報を得ながら走行する。

ライダーは最近、自動車のADAS(先進運転支援システム)用として搭載が増えているセンサーのひとつだ。

「RCM600 AUTO」では、用途な走行条件によって、ラジコン機能と自律機能を切り替えて使うことができるのが特徴である。

もうひとつ、来場者の目を引いたコンセプトモデルが、ロボット芝刈機「TM-1000 RTK GNSS」だ。

このRTKとは、リアル・タイム・キネマティックのこと。位置情報システムといえば、衛星測位システムのGPS(グローバルポジショニングシステム)が知られている。GPSはアメリカ独自の衛星システムの名称であり、衛星測位システムの総称はGNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム)。

RTKでは、GNSS(全地球航法衛星システム)による衛星測位に加えて、地上に基準点(固定局)を置いて、そこからLTEなどで通信する。これにより、一般的なGPSでは数メートルが数十メートルある位置の誤差を数センチ以内まで一気に縮小することができる。

一般的なロボット芝刈機の場合、自機位置をGPSで測定しており、位置の誤差が大きいため、対応するエリアをランダムに走行することで結果的に芝を綺麗に刈っている。

一方、RTKを使うと隅から綺麗に芝を刈ることができる。これを、パターン走行と呼ぶ。

すでに海外では昨年あたりから実用化されているが、国内向けでは、やまびこが先行してプロトタイプを開発した。

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