イネーブラーとしての優位性
そうした中で、BlackBerryは独自路線を貫き、他に類のないビジネス領域を自社開発してきたという印象がある。
筆者はこれまで、国内と海外の同社関係者と定常的に同社の事業やシステムの概要について情報交換をしてきた。その中で感じているのは、同社は常に短期間で変化する業界の動向に合わせて、OSという考え方を幅広く捉えて、例えばミドルウエアと呼ばれる領域で独自の発想を構築している。
同社のシステムをすでに、全世界で2億3500万台の自動車に組み込まれているほか、企業、政府機関、また様々な工業製品での使用されている。
こうした事業や企業、またはシステムを一般的に、「イネーブラー」と呼ばれる。共栄共存する媒介のような存在という意味合いだ。
次世代車については、今後さらにセーフティやセキュリティに対する信頼性が重要されていくことは間違いない。
今回の発表では、2020年に発表された、クラウド接続型AIプラットフォーム「BlackBerry IVY」の日本国内提供を開始したことを明らかにした。
BlackBerry IVYの特徴は、クルマに関するデータ処理の7割を車載型(エッジ)で行い、クラウドからはアルゴリズム等の最適化でバックアップする仕組み。これにより、通信料などのコスト削減を実現しつつ、システムの高性能化と両立させたという。
このように、BlackBerry/QNXは常にフレキシブルな対応を念頭に、新たな事業展開をグローバルで進めている。
「ソフトウエアファースト」という表現があるが、EV本格普及時代はまさに、ソフトウエアの時代になっていくことだろう。