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災害支援は電動で進化する……「東京国際消防防災展2023」にEVバイク等が出展された理由[THE視点]


TEXT:福田 雅敏 PHOTO:福田 雅敏
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可搬ポンプの移動が電動化で力いらずに……シバウラ

シバウラは、電動運搬台車「ツムニィ EK01」を展示。可搬ポンプなどの運搬用という。12度の登坂能力があり、7.2kmの走行または100分の使用が可能。バッテリーが切れた場合には、手動での走行もできるという。

危険が大きい水中も電動ならリモートで救助が可能……ANewPow

マリンレスキューロボット「Ingenius」(photo=福田 雅敏)

ANewPowでは、「Ingenius」のマリンレスキューロボットを展示。リモコンでの遠隔操作が可能で、人が水中に入らずに救助ができる。1.2kWの定格出力に20Ahのバッテリーで最長50分の稼働が可能。GPSとAIを搭載しており、自動帰還や測位された場所への移動ができる。

危険が大きいEVの火災は被せて消火……ヨネ

YONE(ヨネ)は、デイリーEVヘッドラインでもお伝えしたファイヤーブランケットを出展[詳細はこちら<click>]。デモンストレーション用に「日産リーフ」を包んで展示していた。EVの火災やバッテリーの火災による延焼を防ぐのが目的だという。1,500℃にも耐える炭素系グラファイトが素材となっている。

「リーフ」「サクラ」などは災害時に電源車として活用が可能……日産

15日には、日産自動車の遠藤和志氏による講演が行われた。演題は「日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」~日本の地域課題の解決と電気自動車の活用~」。日産からこれまで初代リーフ発売以降およそ64万台のEVを販売してきたが、バッテリーによる火災はゼロだったと報告があった。

また日産が全国の自治体などと進めている電動化推進施策「ブルー・スイッチ」では、226の企業・自治体と連携し、災害時にEVから電力供給を行うといった活動をしているという。実際に、2019年の台風15号により、千葉県内にて停電があった際には、53台のEVを提供したという。

電動で人をサポートすることは助かる可能性を上げること

消防展を前後編にわたってレポートしたが、消防・防災においても電動化が進んでいることは間違いない。特に、三輪のバイクを活用した消防車両が多い印象だった。初期消火が火災の延焼を防ぐ第一歩と言われており、機動性に富むバイクこそ初期消火には有効である。

二輪よりも積載性と安定性が高いのが特徴で、重く嵩張る消防用具を積むのに打って付け。しかもモーターは瞬時に最大トルクを出せるため、消防用具を運ぶことを前提として考えれば、内燃エンジン式よりも走行性能は高いと言える。三輪のEVバイクは、消防用バイクとして活用の範囲を広げられそうである。

またヤマハ発動機は、言うなれば「電動アシストリヤカー」なる製品を展示したが、人力をアシストする小型の装置を作れるのも電動ならではだろう。人間を少しでもアシストできれば救助効率は上がる。消防の電動化は、単にエコというだけではなく、人命救助の可能性を高めると言えるだろう。

電動化により消防の新しい可能性を感じた今回の展示会であった。

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