インタビュー
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ジープはEV時代をどう生き抜く?電気のチカラは4×4に変革をもたらすか


TEXT:小川フミオ
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ジープ ラングラー マグニトー 3.0 コンセプトのフロントビュー

ジープは2023年4月に、ファンに向けた恒例の大イベント「イースター・ジープ・サファリ」を米国ユタ州モアブで開催した。ラングラーのピュアEV化コンセプトである「マグニトー」の最新進化形をはじめ、プラグインハイブリッド機構を搭載したコンセプトカー陣を出展。EV時代を見据えた「オフロードの雄」の可能性を大々的にアピールしてみせた。同イベントで、自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏がジープの電動化戦略について開発者へインタビューした。

ラングラーの将来はピュアEVに?

イースター・ジープ・サファリの様子

BEVだ水素だeフューエルだと、代替燃料の未来がやや混沌としている。しかし、いまは正解が見えないからと、従来の内燃機関にこだわっていては、競争で何周も遅れてしまう。

ジープも、例外でなく、電動車に熱心に取り組んでいる。

電動化戦略第1弾として市販された4×e(フォーバイイー)なる同社のプラグインハイブリッドシステムは、日本でも「レネゲード」「ラングラー」「グランドチェロキー」で紹介ずみ。

2023年4月の「イースター・ジープ・サファリ」では、「ラングラー・ルビコン4×e 20周年記念モデル」を運転する機会をジャーナリストに提供。オフロード性能の高さをアピールした。

同時に、ピュアEVの「ジープ ラングラー マグニトー 3.0 コンセプト」も、このとき登場。ラングラー・ルビコン4×eの試乗会場になったキャニオンランズ国立公園で話題を集めた。

電気で「4×4の限界をさらに超える」

ジープブランドの北米責任者、ジム・モリソン氏

マグニトー3.0は、ジープによれば「ラングラーの将来に向けてのコンセプト」。2021年の「マグニトー1.0」、2022年の「マグニトー2.0」の、いってみれば進化形だ。

1.0から3.0へと段階的に変わっていくなかで、出力がどんどん上がっている。3.0のトルクはなんと1,000Nmを超過。「4×4の限界をさらに超える」ことが開発テーマと、ジープではしている。

「イースター・ジープ・サファリに集まるジープの熱狂的なファンにお披露目して、彼らがどう思うか、もらったフィードバックを製品に活かしたい」

ジープの副社長であり、北米の事業をひきいるジム・モリスン氏は、キャニオンランズで、私たちにマグニトー3.0のドライブの機会を提供するにあたって、こう述べた。

「ここは、試験場みたいなものです。今年(2023年)のサファリへの出品車(マグニトーを含めたプロトタイプ)の核は、電動化と高い動力性能にあります。それを体験していただきたい」

4×eは米国で一番売れているPHEV

ジープが用意した資料にも、下記のように書かれている。

「大地を走破し、岩場を駆け上がる性能という、四輪駆動のポテンシャルにおいては、ジープに比肩しうるクルマはないと証明するのがコンセプトモデルです」

オフロード性能の強化や、車高のリフトアップ、ファットなタイヤの採用による、いわばマッスル化は、いまもジープのファンが期待するもの、とジープでは理解。

いっぽう、自動車界にはフル電動化の波が押し寄せてきている。ジープがこれを無視していられないのも事実。

ジープは、たとえば、ピュアEV化したラングラーを、2024年に北米市場に投入するとホームページに記している。

「私たちの4×eは、米国においても最も売れているPHEVです。これ(4×e)はジープが向かう方向へのステッピングストーンです」

モアブで出会った、ピート・マイロ氏はそう教えてくれた。このひとは、ラングラーと、ピックアップ版であるグラディエーターの開発責任者(ヘッド・オブ・ビークルデベロップメント)。

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