室温で超伝導状態での運転に成功
EVに革命を起こす技術に成就するか
【THE 視点】京都大学電気工学専攻の中村武恒特定教授らのグループは「高温超伝導モーター」の室温運転に成功した。
「高温超伝導誘導同期モーター」の巻線を高温超伝導体と常伝導体のハイブリッド構造にすることで、室温状態でも出力を低下させて連続駆動できた。本開発は、イムラ・ジャパン株式会社ならびに三菱重工業株式会社により共同研究された。
日本の電力は発電機から供給されるが、その消費の55%は電気モーターによる。発電機とモーターは同じ仕組みの回転機であり、それらすべての効率を平均1%でも改善できれば、極めて大きな省エネ効果や低炭素効果を実現できる。この効果の実現に超伝導材料が期待されている。
超伝導材料は極めて大きな電流を抵抗ゼロで流すことが可能で、さらに高い磁界を発生させることができることから、回転機の効率を大きく改善しながら小型軽量化が可能となる。
しかし通常の超伝導回転機はー200℃域以下の極低温状態を保つ必要がある。機器の故障などで温度が上昇してしまうと超伝導状態ではなくなるため抵抗が発生する。そこから爆発・焼損事故につながるため、超伝導回転機の実用化への大きなさまたげとなっていた。
今回の開発で、常温下でも超伝導状態モーターが回るようになったことで、将来的にはEVへの活用も可能になると考えられる。EVの航続距離や重量問題を解決できる糸口となりそうだ。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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