EVヘッドライン
share:

京都大学、高温超伝導モーターの開発に成功……デイリーEVヘッドライン[2023.03.27]


TEXT:福田 雅敏、ABT werke
TAG:

室温で超伝導状態での運転に成功
EVに革命を起こす技術に成就するか

【THE 視点】京都大学電気工学専攻の中村武恒特定教授らのグループは「高温超伝導モーター」の室温運転に成功した。

「高温超伝導誘導同期モーター」の巻線を高温超伝導体と常伝導体のハイブリッド構造にすることで、室温状態でも出力を低下させて連続駆動できた。本開発は、イムラ・ジャパン株式会社ならびに三菱重工業株式会社により共同研究された。

日本の電力は発電機から供給されるが、その消費の55%は電気モーターによる。発電機とモーターは同じ仕組みの回転機であり、それらすべての効率を平均1%でも改善できれば、極めて大きな省エネ効果や低炭素効果を実現できる。この効果の実現に超伝導材料が期待されている。

超伝導材料は極めて大きな電流を抵抗ゼロで流すことが可能で、さらに高い磁界を発生させることができることから、回転機の効率を大きく改善しながら小型軽量化が可能となる。

しかし通常の超伝導回転機はー200℃域以下の極低温状態を保つ必要がある。機器の故障などで温度が上昇してしまうと超伝導状態ではなくなるため抵抗が発生する。そこから爆発・焼損事故につながるため、超伝導回転機の実用化への大きなさまたげとなっていた。

今回の開発で、常温下でも超伝導状態モーターが回るようになったことで、将来的にはEVへの活用も可能になると考えられる。EVの航続距離や重量問題を解決できる糸口となりそうだ。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★ランチア、バーチャルのイベント「2023 メタバース・ファッション・ウィーク」(3月28〜31日)に出展……EVの新型「イプシロン」公開の可能性詳細はこちら<click>

★★LGエナジーソリューション、アメリカ・アリゾナ州にバッテリー工場建設へ……EV用の円筒形電池などを製造、年間43GWhの生産能力詳細はこちら<click>

★フォード、米国で新型EVトラック「コードネーム:プロジェクトT3」製造を計画……アメリカ・テネシー州に建設中の工場「ブルーオーバル」にて2025年より

★ステランティス、米国エネルギー省(DOE)と官民一体・産学連携の施策「バッテリー・ワークフォース・チャレンジ」を発表……北栄全土の大学などと協力しバッテリーの開発エンジニアを養成

★ステランティス、アメリカ・インディアナ州のバッテリー工場建設を開始……サムスンとの合弁事業、2025年第1四半期に稼働予定

★フォーミュラE第6戦サンパウロ、ミッチ・エヴァンス選手(ジャガーTCSレーシング)が優勝……3番手スタートから荒れたレースを制す

★EU、エンジン車の販売継続を条件付きで容認へ……フランス・ティメルマンスEU上級副委員長がTwitterに投稿「e-フューエル(合成燃料)の使用についてドイツと合意を見出した」

★「第44回 ウィーン国際モーターシンポジウム」開催(4月26〜28日)……電動モーターを含めた駆動システム・燃料電池などテーマ

★正和工業、事業継続計画(BCP)対策パッケージを提供開始……太陽光発電やEVを活用し、自然災害や停電に備えた「カーボンマネージメントパック」を総合提案

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
EVバスを導入したい自治体や事業者の救世主となるか!? ヒョンデ中型EVバスを2024年末までに国内投入
ホンダの電動ロボット芝刈機/草刈機「ミーモ」シリーズが大幅改良! 国内で年間500台のセールスを目指す
ホンダCR-Vが帰ってきた! 新型燃料電池車「CR-V e:FCEV」が登場
more
コラム
電動化の失速どころかEV&PHEVがバカ売れ! テスラもドイツ御三家も押し出す中国メーカーの勢い
日本での走行テストを確認! 中国BYDの新たな刺客「Sea Lion 07」の驚異の性能
日本のEVシフトは2024年に入り低迷気味! 軽のサクラ&eKを除けば海外勢の健闘が目立つ
more
インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
more
試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
more
イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択